↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オリガミ - 妹AIを神にするため、俺は成り上がる【カクヨム完結済/なろう連載中・累計59万PV】  作者: けーきまる
研究所を建設しよう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

170/299

ゴリ押し正太郎

「どっちも俺の婚約者なんだ。俺、二人と結婚するから」


俺がそう言うと、爺ちゃんと婆ちゃんは素っ頓狂な声を上げた。


「「はあ?」」


やはり、これが普通の当然の反応だろう。


俺の考えを受け入れてくれた、叔父さんや柚希さんの反応の方がおかしかったのだ。


先に正気を取り戻したのは、爺ちゃんだった。


「まあ、なんじゃ。とりあえず家の中で話そうか」


※※※


俺たちは爺ちゃんと婆ちゃんに居間へと案内された。


ちなみに早瀬さんは、近くのホテルに滞在することになり、この場にはいない。イヌガミもイヌガミタイプもいるので、家での護衛は必要ないと俺が告げたからだ。少し申し訳ない気もしたが、顔合わせの場では早瀬さんも気を遣うだろうし、これでよかったと思う。


案内された居間には、畳の上に黒いソファが置かれていた。畳の香りがどこか懐かしく、鼻をくすぐる。


この部屋に入るのも久しぶりだ。昔、畳の上で寝転がりながら折り紙をしたことを思い出す。懐かしい思い出だ。


皆がソファに座って落ち着いたところで、呆れたように爺ちゃんが口を開いた。


「正太郎……二人と結婚なんて出来るわけ無いじゃろが」


婆ちゃんも同意するように口を挟んだ。


「さすがにそれはねぇ……二人ともいい子だろうってのはわかるけど」


これくらいの反応は予想していた。ここからが本番だ!


「わかる。わかるよ、爺ちゃんと婆ちゃんの言いたいこと。普通は二人と結婚できるわけないよね。重婚だもんね。その気持ちよーく分かる」


俺はゆっくりと説明を続けた。


「でもさ、今度、合法化されるんだよ。二人と結婚できるようになるんだよ。正確には、一人は特待パートナーって形になるんだけどね?」


「と、特待パートナー?」


初めて聞いたであろう単語に、目を見開いて驚く爺ちゃん。


「そう、特待パートナー。一定の条件を満たした人が、その国と世帯への貢献を条件に、もう一人のパートナーになれるんだ」


「そ、そうなのか?」


爺ちゃんは、どうも半信半疑といった様子だ。


「ああ。ネムに俺の特待パートナーになってもらう。ネムはAI関連の論文をたくさん書いている、天才科学者だからさ。国への貢献はバッチリだし、俺の会社の共同経営者でもあるから、俺と千穂の世帯への貢献も十分にできる。というかネムがいなきゃ、俺の会社は回らない」


「ビジネス的な関係ってことか?」


爺ちゃんが尋ねてきた。当然の疑問だ。


「まあ、世の中にはそういう人も出てくるだろうけど、俺は違う。俺は、千穂もネムも愛してるから、ネムにこの制度を使ってもらうんだ」


「千穂ちゃんはいいのかい?正太郎、こんなこと言ってるけど」


「は、はい。私が言い出したことなので……」


そういえば、「一緒にお嫁さんになろう」ってネムに提案したのは千穂だった。あのときは驚いたな。


最初に言い出したのは千穂だけど、今は俺自身の強い願望だ。


「千穂ちゃんが言い出したの?なんで!?」


「私が間違っちゃったときに、しょうちゃんを、ささえてくれたのが、ネムちゃんだったんです……」


間違えについては、言わなくていいと後で言っておこう。あれは千穂だけの責任じゃないし、俺にも非がある。


「間違え?いや、それはいい。ネムさんはいいのか?それで?」


「ええ。問題ありません。やりたい研究を進めるうえで、その秘匿必要性の観点から、ワタシは正太郎しか伴侶を選ぶことができませんから。それに……」


ネムは大人モードで話し続ける。爺ちゃんが続きをうながした。


「それに、なんじゃ?」


「正太郎から離れたら、千穂ちゃんのおいしい手料理が食べられなくなるじゃないですか!それは困るんです!」


ううっ、やっぱり千穂の手料理には敵わないのか……


「そんな理由?正太郎が好きってわけじゃないのか?」


まっすぐ聞いてくる爺ちゃんに、ネムは顔を赤らめながら答えた。


「い、いえ……いや……ワタシも……しょ、正太郎を、あ、あ、あ、愛していますし!」


ネムに「愛してる」って言われたの、もしかして初めてかもしれない。めちゃくちゃ嬉しい!


「ネムぅ!俺も愛してるぞ!」


「やめっ!やめろよぉ!照れるだろぉ!」


感極まってネムに抱きつこうとした俺を、ネムが顔を赤くしながら慌てて押し返そうとする。その様子を見て、千穂も慌てて間に入ってくる。


「しょうちゃん!私は!?私は!?」


「勿論、千穂も愛してるぞ!」


「えへ、えへへ……」


千穂は嬉しそうに笑って、そっと俺の背中に身を寄せてきた。


そう、俺は二人とも愛してるのだ。


そんな俺達のイチャイチャシーンを見た爺ちゃんが、驚きと感心が入り混じった目でこちらを見ていた。


「な、なんて野郎だ……正太郎……やるじゃねぇか……」


「わ、私は認めませんよ!重婚だなんて!」


まあ、婆ちゃんの反応が普通だよな。


「婆ちゃん、重婚じゃないよ、特待パートナーだ」


「第一、その特待パートナーってなんなの!?わたし聞いたことありませんよ!」


「そりゃそうだよ。だって俺が提案して、これから成立させる予定の法律だからね」


「正太郎が提案する法律!?どういうことなの?」


困惑ぎみの婆ちゃん。無理もない。


「だからね、頑張ったんだ。胸を張って合法的に二人をお嫁さんにするために、たくさん頑張ったんだ。VTuberって知ってる?まずは、彼ら彼女らを使って三千万人規模で『特待パートナー法案』が通りやすくなるような世論形成をしたんだ」


「さ、三千万人?とんでもない規模じゃな……」


さて、ここからはお金と権威、それに情熱で説得だ!


「あと、俺が作った政治団体に東堂議員とその派閥メンバーに所属してもらったんだ。ちなみに、百億円くらい政治献金として使ったよ。今、東堂議員に、法案成立のために動いてもらってる」


「東堂議員って、あの東堂派のか!?いや、百億円!?なんじゃ、その金額!」


「ひゃ、百億円!?」


爺ちゃんも婆ちゃんもその大金に驚く。


俺がどれだけ真面目に二人と結婚するつもりなのか、これで伝わったろう。


「そう、百億円。献金は合法にやってるから安心してね。東堂議員も東堂派のトップの議員であってるよ。最近は、頻繁にやり取りしてる」


「………ほ、ほんとなのか……?」


あまりの大金と大物の名前に、爺ちゃんは唖然としていた。


でも、ここからが本番だ。さらに説得を続けるぞ。


「それに、この法案を後押しするために、人間に負けないくらい優秀な介護ロボットも開発したんだ。もちろん人間の全てを代わりにできるわけじゃないけど、介護にかかるコストは今までよりずっと抑えられる。その分、浮いたお金を高齢者の医療費や少子化対策にまわすんだ」


「俺は、二人を合法的にお嫁さんにするついでに、この国の少子高齢化をなんとかしたいんだ!」


そんな俺の言葉に、爺ちゃんが小さくつぶやいた。


「ついでにすることじゃないじゃろ……」


爺ちゃんの気持ちは分かるが、俺にとってはあくまで「ついで」だ。主目的は、千穂とネムの二人と合法的に結婚することだ。二人と結婚できないなら、少子高齢化をなんとかするつもりなんてない。東堂議員にもそれは伝えてある。


爺ちゃんも婆ちゃんも黙り込んでしまった。俺はさらに、自分のパッションをぶつけることにした。


「わかる!爺ちゃんたちの複雑な気持ちはとーっても分かる!世論操作も献金で政治をコントロールするのも、褒められたことじゃない!許されないという考えもあると思う!グレーなやり方だということも理解してる!でも、それだけ、俺は二人を愛してるんだ!二人とも、一生、俺と一緒にいてほしいんだ!」


「じゅ、純愛……?」


婆ちゃんが小さくつぶやく。


……純愛、か。そうだ、これは純愛だ!


「うん、完全に純愛!わかる!わかるよ!爺ちゃん達の考えてること!でも、二人じゃなきゃ駄目なんだ!二人がいないと俺は上手く動けない!少子高齢化も解決できない!この国の大きな問題を解決できないんだ!」


「ちょとま……」


待たない。さらに情報の洪水を浴びせかけて、俺の主張を押し通す。


「わかってる!でも二人が必要なんだ!千穂だけじゃ、俺は介護ロボット開発まで手が回らないし、ネムだけじゃ、俺とネムはいつか不摂生で倒れて死んでしまうかも知れない!俺は死にたくない!ネムも死なせたくない!千穂のご飯を一生食べたい!」


「ちょっと……」


二人が俺の口を止めようとするが、まだだ。伝えたいことは山ほどある。


「大丈夫!爺ちゃんたちの、気持ち分かってるから!だからこそ、二人が必要なんだ!二人が俺のもとにいてくれれば、少子高齢化を解決に導いて、この国の人達を幸せにできる!でも一人でも欠けてたら、それができない。何より俺は二人を超愛してる!絶対に他の男には渡したくないんだ!」


「まちなさ……」


次は有力者の名前を出して、説得力を持たせる作戦だ!


「わかってる!爺ちゃん達の言いたいこと分かる!悠斗叔父さんも、俺の話には賛同してくれてるし、東堂議員も俺にはその権利があるって言ってくれてる!だから、俺は二人と家族をつくって、たくさん子供をつくるんだ!その子供たちのためにも、この国を住みよい国にしたいんだ!」


「ま……」


次は、家の繁栄の観点からアプローチだ!


「そうだよね!受け入れられないよね!でも、考えてみて!俺にお嫁さんが二人いれば、爺ちゃん婆ちゃんのひ孫も増えるかもしれないんだよ!なんせ、お嫁さんが二人いるからね!ひ孫誕生の可能性は二倍だよ二倍!二倍のひ孫が爺ちゃんと婆ちゃんのところに遊びに来るんだよ!」


「ひ、ひまご?」


お、反応が変わってきた。ここが攻めのポイントかも?


「そう、ひ孫!孫って可愛いっていうじゃない?きっとひ孫はもっと可愛いよ!それに俺は千穂が大学卒業したら、すぐに結婚するつもりだから!ネムとも、そのときに一緒に結婚するつもりだから!案外、あと数年でひ孫ができるかもよ!?どうよ!」


よく考えたら、「孫」って俺のことだよな。爺ちゃん婆ちゃんにとって、俺って可愛い孫になれてるのかな……?


でも全部言いきったぞ……なんだかスッキリしたけど、どうだろう……?


「どうよ!ってなんじゃ!わかった!わかったから!そのペラペラとよく回る口を閉じろ!」


怒られた。ゴリ押しが過ぎたかもしれない。


「正太郎……本気なのね……?」


「ああ、本気も本気、超本気だよ。二人のお嫁さんが得られるなら、この国の問題を解決していくつもり。俺は二人を愛してるんだよ!超ウルトラ愛してる!二人がいなかったら生きていけない。生きていく意味もない!それくらい愛してるんだ!」


再びペラペラと回転し始める俺の舌。


「わかった!わかったから、それを止めろ!認める!ワシは認めるから!」


「はあ、私も認めるわ……。悠斗の即日結婚でも呆れたのに、正太郎は二人のお嫁さんを連れてくるなんて……。頭痛いわ……」


「ありがとう!信じてたよ!爺ちゃん婆ちゃん!」


「正太郎、都合良すぎじゃろ……いや、でも強くなったな。宗一郎も天国で誇らしく思ってると思うぞ。呆れてるかもしれんが……いや、あいつも相当頭のネジが外れてたからな……きっと大賛成だろうな……」


俺も、父さんならきっと許してくれる気がする。あの人、昔から型破りだったし。


「なんで、うちのコたちは、こんなんなんだろうねえ……」


婆ちゃんが呆れたようにため息をつく。


そんなとき、爺ちゃんが戸惑い混じりの声を上げてきた。


視線は、俺の隣を向いている。


「おい正太郎。お前の大切なお嫁さん達じゃが、凄いことになってるぞ……?」


※※※


爺ちゃんの視線の先に目をやると、ぼうっとしている千穂とネムがいた。


二人とも、顔を赤くし、今にもヨダレを垂れ流しそうな、たるみきった表情をしていた。


ど、どうしたんだ?


「えへ、えへ、えへへへ……しょうちゃんが、たくさん愛してるって言ってくれたぁ。赤ちゃん……」


「ウヘヘへ……正太郎、ワタシのこと好きすぎるだろ……いや、ウヘヘヘへ……ワタシのこと愛しすぎだろ……ウヘヘヘ……」


やばい、愛の告白を重ね過ぎたか。二人とも人の前に出せる顔してない。


千穂もネムも、こんな姿を爺ちゃんたちに見られたくないだろう。俺は、慌てて二人を、自分たちに割り当てられた部屋まで連れてったのだった。


そんなとき、背後から爺ちゃんの声が響いた。


「おーい、正太郎。結婚前は、ちゃんと避妊するんじゃぞー?」


爺ちゃん、そんなこと大声で言わないで。恥ずかしい!


あと、父さんの実家でそんなことしないから!

もし気に入っていただけたら、【ブックマーク】と【下の評価 ★★★★★】をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。