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オリガミ - 俺の絶望で目覚めた妹AI。理不尽を踏み台に神を目指す。【40万PV】  作者: けーきまる
研究所を建設しよう

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祖父母に婚約者ズを紹介しよう

東堂議員との話の翌日、叔父さんからの着信があった。


「東堂議員との話、うまくいったみたいだな」


「はい。なんとかなりました。思ったより話がスムーズに進んで、驚いたくらいです」


話が通じる人で本当に助かった。ただ、ドールハウスがこれから開発するロボットに関心を持っている様子なのが気になった。


まさか軍事用ロボットの依頼なんてされないだろうな……そうなったらどうしよう。悩む。


「まあ、あの人ならそうなると思ってたよ。ドールハウスの技術の可能性に気づかないはずがないからな」


叔父さんが話を続ける。


「あれからネムさんが制御AIを改良してくれたおかげで、ほとんどの点で、人間より優秀な介護ロボットができたよ。ネムさんは凄いな。正太郎もいい子を捕まえたじゃないか」


「自慢の嫁ですからね」


学習データはオリガミから貰ったものとはいえ、介護ロボット制御AIはネムの子供といってもいい。数日前の夕食中には、「強化学習で最終調整をやっている」と目をキラキラさせながら言っていた。どうやら、うまく仕上げたようだ。さすがネムだ。


「あと、東堂議員から介護ロボットの見学を頼まれたよ。たぶん、正太郎の話が本当か自分の目で確かめたいんだろう。介護ロボットのプロトタイプを見せても大丈夫か?」


「はい、見せて下さい。彼には特待パートナー法案を成立させてもらわなければいけませんからね。ただ他には内密にお願いします」


こちらを信用してもらうためにも、介護ロボットの性能を実際に見てもらうことは仕方ないことだ。


「わかった。介護ロボットを広める先頭に立てれば、東堂議員の大きな実績になるからな。そのためにも、お前の望む例の法案も、無理をしてでも成立させてくれるはずだ。正太郎の機嫌を損ねて、介護ロボットを他の議員に渡されたら、困るのは東堂議員だからな」


「それならいいのですが……」


あまりにも順調すぎて「やっぱりやめた」とか言われたらどうしよう……と内心不安だったのだ。


「まあ、俺からも言っておくよ。安心しろって」


ああ、やっぱり叔父さんは頼りになる。是非、お願いします!


※※※


介護ロボットを実際に見学した東堂議員は、すぐに精力的に動き始めた。


まずは自分の派閥のほとんどの議員を「少子高齢化対策研究会」に所属させた。


人と票を集めるため、かなりの額の献金が必要になったが、ドールハウスとしては痛くもかゆくもない。VTuber事業も順調だし、将来性抜群のロボティクス事業も控えているのだ。


「特待パートナー法案」と、それを紛れ込ませる関連法案群の具体的な草案はオリガミが作成した。


東堂議員に送ったところ、「仕事が減った」と大喜びしていた。ただ、議会で通しやすくするために多少の手直しは必要らしい。


念の為、最終版はこちらにも送ってもらうようお願いした。オリガミに最終チェックをしてもらうためだ。


それを伝えると、「正太郎くんが納得しないとこの法案群は成立しないしな」と快く引き受けてくれた。機嫌を損ねるかもと内心ビクビクしていたが、そんなことはなくて安心した。


※※※


さて……これで大体やるべきことは終わった。あとは流れを見守るだけだ。


世論形成はオリガミが統括するドールズや槍杉プロダクションに任せた。


介護ロボットの製造・販売は藤崎グループが担当する。


「特待パートナー法案」成立のための政治活動は東堂議員に一任した。


現在建設中なのは、自宅の周りを取り囲むドールハウスの研究所。施工は先端工業建設に依頼している。ぼったくり部長を降格させた会社だ。


他にも、ロボティクス事業用のシリコンAI開発のためのデータセンターを北海道に大小一棟ずつ建設予定だ。これも黒田エステートと先端工業建設に依頼している。電力事情を考慮し、寒冷地に建てることにした。


研究所の周囲の土地も、今後の拡張や安全確保のため買収中だ。これは黒田エステートに任せているが、問題が起きても半グレなど変な手段は使わず、「保母ガミ」ことオリガミに相談するよう伝えてある。


……今の俺にできることといえば、オリガミからの進捗報告を聞き、必要な箇所に資金を投入したり、何か問題があれば支援する程度だろう。


うん、あとは専門家たちに任せておけば大丈夫だろう。気が楽になった!


※※※


長かった。本当に長かった。道なき道を歩いてきたが、オリガミのおかげでなんとかここまでたどり着けた。


俺がしみじみとそんな事を考えていると、オリガミが話しかけてきた。


『お兄様、ここまで本当によく頑張りましたね。もうほとんど目的は達成したも同然です。本当にお疲れさまでした。』


オリガミは相変わらず当たり前のように俺の心の中を読んでくる。


しかも最近はその精度まで上がってきている気がする。俺への理解が深まったからなのか、それともオリガミ自身が成長したのか……もはや俺のプライバシーは完全になくなった。


まあ、もうそれも慣れたけどね。


そんなオリガミに、俺も心を込めて伝える。


「ああ、オリガミのおかげだ。本当にありがとう」


本当に頼りになる妹だ。


そういえば……最近、オリガミとゆっくり話せていない気がする。いつも目的のある事務的なやり取りばかりになってしまっている。


……今度、ちゃんと時間を作って、兄妹として他愛もない話でもしたい。オリガミがどんなことを考えて、何を感じているのか、ゆっくり聞いてみよう。


※※※


介護ロボットの公開は、新研究所の建設が完了してからと、叔父さんにお願いしている。


国家や大企業などから俺たち自身を守るためだ。新しい研究所は、今住んでいる民家とは比べものにならないほどセキュリティレベルが高いのだ。


おそらく、研究所が完成して介護ロボットが世に出れば、俺たちの生活は大きく変わるだろう。産業スパイや大企業の介入、さらには海外からの圧力なども考えられる。


そうなれば、簡単には外を出歩けなくなるかもしれない。


研究所の完成まで、あと少し。


それまでに……やっておかないといけないことを進めておこう。


最近は「特待パートナー計画」にかかりっきりで、プライベートをおろそかにしてたような気がする。


外を自由に出歩けなくなる前に、今まで後回しにしていたことを片付けてしまおう。


※※※


「え?しょうちゃんのお爺ちゃんとお婆ちゃんの家に行くの?」


そんな千穂に答える。


「ああ。近い内にね。爺ちゃんたちの安全のために、イヌガミタイプを配備しないとだしな」


それから付け加える。


「あと、千穂とネムも連れていきたいんだけど。爺ちゃんと婆ちゃんに紹介したいんだ」


俺の言葉を聞いて、ネムが目を丸くして尋ねてきた。


「え?ワタシもか?」


「当たり前だろ?ネムだって俺のお嫁さんなんだから」


俺の言葉にネムは少し考え込む。


「……確かに。これ親族へのご挨拶ってやつだな。でも、ワタシこの服しか持ってないんだが、大丈夫か?」


ネムは自分のダボっとしたパーカーにショートパンツ、黒タイツといういつもの服装をちらりと見下ろして言った。


「気にしなくていいよ。そのままでも十分可愛いから」


ネムは顔を赤らめて目をそらした。


「だから、いきなりそういうこと言うのはやめてくれ。びっくりするだろ……!」


うん。やっぱり可愛いわ。


その様子を見ていた千穂が、期待に満ちた声で問いかけてきた。


「しょうちゃん、私は?私は?」


「え?千穂が可愛いのはいつものことじゃない」


「えへ、えへへ……」


ネムは顔を赤らめて目をそらし、千穂は嬉しそうに身をよじる。


うん。ふたりとも可愛いな。


「千穂も、一緒に来てくれるか?」


「う、うん!もちろん行くよ!失礼のないようにがんばるね!」


千穂がそう答えると、ネムは少し困ったように天井を見上げてつぶやく。


「むしろワタシの方が不安だな……なんかやらかしそうで」


「二人とも大丈夫だよ。そんなに構えなくていいから」


爺ちゃんと婆ちゃんは、優しくて穏やかな性格だ。千穂やネムのことも温かく迎えてくれるはず。


ただ、ちょっと頭が固いんだよな。大丈夫だろうか?


※※※


二日後、早瀬さんの車で爺ちゃんの家へ向かった。


もちろん千穂とネムも一緒だ。


今日は護衛用と祖父母の家に設置するためのイヌガミタイプを4体用意し、さらに千穂専用機のイヌガミも連れてきた。


集合してすぐから気になっていたのだろう、千穂が不思議そうに俺に質問してきた。


「しょうちゃん、髪短く切ったの?あと、なんでメガネなの?目、悪くなったの?」


昨日、美容室でボサボサの髪をバッサリと切ってもらったのだ。それと、今日は変装も兼ねてメガネをかけてる。


千穂とは付き合いも長いから、急な俺の変化が気になったんだろう。


俺は苦々しげに答える。


「いや……『そちたち事件』があったろ?あれから大変だったんだぞ?」


「外出するたびに周囲の人に『あの人って……そちたちの人よね?』とかコソコソ話されるんだぞ。コンビニでも、スーパーでも、どこに行っても!」


「そ、そうなの?大変だったね?」


そんな俺の泣き言を、千穂は同情した顔で受け止めてくれた。


「それだけならまだいい。問題は子供だ。この前なんて、俺のまわりを手を繋いでぐるっと囲んで、回りながら楽しそうに『そちたちラップ』を熱唱されたんだぞ!もう、マジ勘弁!泣きたくなった!」


「ぶわっはっはっは!なんだそれ!なんだそれ!ワタシも見たかった!」


ネムは腹を抱えて笑っていた。


「笑い事じゃないんだよ……ほんとに……」


俺はやっぱり目立つのが嫌いみたいだ。


根が陰キャなんだろうな……高校の時のクラスの連中が言ってたことは正しかったようだ。


そんなことを話しているうちに、車は爺ちゃんの家の前へと到着したのだった。


※※※


早瀬さんは、最近ようやく、また目を合わせてくれるようになった。ようやく「そちたち」の呪縛も解けたらしい。


そんな早瀬さんが口を開く。


「正太郎様、祖父母様のご自宅に到着いたしました」


……爺ちゃん婆ちゃんの所にくるのも久しぶりだ。長い間ご無沙汰だったからなあ。怒られるかもなあ。


俺がそんな事を考えていると、隣に座っている千穂が、震えた声で話しかけてきた。


「しょ、しょうちゃん、わ、私、変じゃない?」


見ると、千穂は緊張でカチカチになっているようだ。


今日のシックな黒のワンピースにアイボリーのカーディガンを羽織っている。フォーマルが入った清楚な装いだ。魅力的だ。


「変じゃないよ。優しい人たちだから、そんなに緊張しなくて大丈夫だって」


俺が千穂をなだめる横で、ネムが声を弾ませる。


「おお!ここが正太郎の父上のご実家か!アニメに出てきそうな古民家だな!」


ネムは車から勢いよく降りて、あたりを興味深そうに眺めている。


ネムの方はいつもどおりだ。こいつはもう少し緊張すべきだと思う。


そんなことを思っていると、爺ちゃんと婆ちゃんが玄関の戸を開けて出てきた。


俺達の姿を見ると、爺ちゃんと婆ちゃんの顔がぱっと明るくなった。


「まあまあ、女の子を二人も連れてくるなんて!しょうちゃん、やるじゃない!」


「正太郎も女好きか……ひ孫がたくさん期待できそうだな!」


「爺ちゃん、婆ちゃん、久しぶり」


実際に会うのは二年ぶりくらいだろうか。


「本当に久しぶりね!宗一郎がいなくなって、ずっとどうしてるか心配してたのよ。それが急にテレビに出たり、今度は社長さんだって?悠斗もあなたも、心配ばっかりかけさせて……!」


「婆ちゃん、面目ない……忙しかったんだよ」


「まあまあ、いいじゃないか。こうやって元気な顔を見せてくれたんだし。可愛い女の子を二人も連れてきてくれたんだし!」


爺ちゃんは、俺が連れてきた千穂とネムのことが気になって仕方がない様子だった。


「あ、紹介するよ。こちらが朝比奈千穂と星ヶ谷ネム。もしかしたら千穂の方は、父さんの葬式の時に会ってるかもしれない」


千穂はガチガチになって自己紹介する。


「お、おひさしぶりです!朝比奈千穂です!しょうちゃ……正太郎君とは、幼馴染で、仲良くさせていただいております!」


対してネムは大人モードの自己紹介だ。


「はじめまして。星ヶ谷ネムと申します。東応大学の特任准教授をしております。長らくご挨拶に伺えず申し訳ありません」


「あらあら、ご丁寧に。で、どっちが正太郎のいい人なの?」


「じゅ、准教授?そんな方が正太郎の恋人ってことないだろ……ってことは朝比奈さんかな?」


爺ちゃんは、准教授って肩書が出てきて、ちょっとビビり気味だ。


俺はできるだけ自然に、あたかも当然のことのように二人に告げる。できれば「そうなんだー」と軽く受け入れてくれないかと期待しつつ。


「どっちも俺の婚約者なんだ。俺、二人と結婚するから」


二人は俺の言葉に一瞬きょとんとし、少し間をおいてから同時に声を上げた。


「「はあ?」」


意味がわからないという表情の二人。


やっぱり説得しなくちゃ駄目か……叔父さんと違って、爺ちゃん婆ちゃんは常識人なんだよな。


さあ、俺の口八丁モードがうなるぜ!

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