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オリガミ - 俺の絶望で目覚めた妹AI。理不尽を踏み台に神を目指す。【40万PV】  作者: けーきまる
研究所を建設しよう

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正太郎、御老公でバズる

ハチガミ学習旅行から帰ってきた日の翌朝のこと。


俺は、オリガミから朝の定例報告を受けていた。


『おはようございます、お兄様。』


「おはよう、オリガミ」


『本日は、お兄様に特別なご報告がございます。』


「え?どうした、オリガミ。何かあったのか?」


オリガミが特別なんていうのは珍しい。いったい何があったんだろう。


『お兄様の動画がYuuTubeで大変な人気になっています。』


「俺の動画?いったい何の動画だ?」


『昨日、御老公のなりきりをされたでしょう?あれが撮影されていたようですね。』


……なんてことだ。俺にはわかる。これはきっと俺の新しい黒歴史になる。俺は……これから色々な人に笑われるんだろうな……


※※※


「ぶわっはっはっは!しょ、しょうたろう!おは、おは、おはよう!」


リビングに入った途端、ネムに笑われる。テレビには、あの管理釣り場の映像が流れている。ほら見ろ。予想的中だ。俺、天才。


「しょうちゃん!しょうちゃんの動画、ネットですごいことになってるよ!す、すごいね!ぷふぅ!」


「XYでもトレンド入りだぞ!『そちたち』がランキング一位だぞ。ぶふぉぉ!」


XYでトレンド一位って……そんなに大ごとになってるとは……。大丈夫なのかこれ……?


「ほら、正太郎。これがバズってる例の動画だ。超面白いぞ!」


ネムがそう言ってテレビで流されている映像を見るように促す。テレビでは……案の定、俺の御老公なりきり動画が再生されていた。どうやらYuuTubeにアップされているらしい。


タイトルは「ドールハウス高卒社長の御老公なりきりズバーン」?ズバーンてなんだ、どこから出てきたんだその言葉。再生回数は

……300万回!?あれから一日たってないぞ!


俺が呆然としている間にも、動画の中で続く、俺の御老公なりきりプレイは終わりに差し掛かっていた。


※※※


『これにて一件落着!ファッファッファ!』


『そちたち、もう面を上げてもよいぞ。そしてこれからは人に迷惑をかけずに生きていくがよい。』


『『『はは〜〜』』』


※※※


ぐっ……!


悔しいが……これは確かに笑える。普通に見てもおかしいのに、それをドールハウスの社長なんて肩書を持っている奴がやっている訳だから、他の人にとってはもっと面白いだろう。


こんなのネットでおもちゃにされても無理はない。何度もリピート再生してしまうくらいの破壊力がある。……俺が当事者じゃなければ、の話だが。


ちくしょう。俺だって一生懸命だったんだ。千穂を悲しませたくなくて、必死に頑張ったんだぞ!


俺の横で、千穂とネムが動画を見ながら肩を震わせている。クソ……もうここまできたらヤケだ。


せめてもの抵抗で、俺はできるだけ上品に、御老公っぽく声を張り上げてやった。


「そちたち、朝ご飯はまだかのう?」


「「ぶ、ぶふぉぉぉぉ!」」


千穂とネムの二人が盛大に吹き出す。ざまぁ。


「千穂?」


「はひぃぃぃ!?」


「まだかね?」


「ぷふふぅぅぅぅぅ!!やめ、ごめ、ごめんね。ちょっと、洗面所いってくる!朝ご飯、準備できてるからぁ!ふひぃ!」


千穂はそう言うと、リビングから飛び出ていったのだった。


俺は千穂を撃退したあと、ネムに向き直る。


「なあ、ネムだって、この動画に出演してるじゃないか?恥ずかしくないのか?」


「まあ、ワタシは持ち上げる側だしな。そんなに恥ずかしくない。ふひっ!」


ま、まさかこいつ、こうなることを見越してたんじゃないだろうな……?


俺を調子付かせて、変な行動をさせて……。


あ、ありうる……。


※※※


食後、部屋にこもり、改変・拡散されていく動画を横目で見ながら、俺は床に転がってゴロゴロと羞恥に悶えていた。


映像はどんどん魔改造されていく。髭を付けられたり、服を例の茶色っぽい格好にされていたりと、面白おかしく消費されていく。


俺の声を使った「そちたち」ラップまで作られ、バズりまくっていた。


そんな俺に、いつも通り冷静なオリガミが話しかけてきた。オリガミはいつも通りで助かる……。


『お兄様、ネット掲示板でもかなり盛り上がっているようです。ご覧になりますか?』


やっぱり……?


「見たくない。見たくないけど……見なきゃいけないんだろうな……」


俺はドールハウス株式会社の代表だ。ドールハウスには取引先も多いし、会社の評判に影響しそうなことはチェックしておかないといけない。


──【ネット掲示板:ドールハウス高卒社長の御老公なりきりズバーン】──


1 :名無しさん@お腹いっぱい。

なんか知らんが腹筋やられたwwwwクソ真面目にやってそうなのがイイwww

そ・ち・た・ちwww


12 :名無しさん@お腹いっぱい

やるならここまで振り切ってほしいよな、普通に好印象なんだがwww


16 :名無しさん@お腹いっぱい

リア充◯ね!


37 :名無しさん@お腹いっぱい。

この子?かわいくね?ちょっとしか映ってないけど!


42 :名無しさん@お腹いっぱい。

>>37

それな!


66 :名無しさん@お腹いっぱい

こういうの見ると現場感って大事だなw

社員になりたくなるww


86 :名無しさん@お腹いっぱい

>>66

部下を「そちたち」って読んでたりしてなwww


118 :名無しさん@お腹いっぱい

オヤジギャグかと思ったら意外と破壊力あって草草草


301 :名無しさん@お腹いっぱい

御老公ってなに?


341 :名無しさん@お腹いっぱい

>>301

なん……だと……


564 :名無しさん@お腹いっぱい

さっむwww

やっぱこういう寒いノリが無敵なんだよな


666 :名無しさん@お腹いっぱい

また祭りか…そちたちも好きだなww


809 :名無しさん@お腹いっぱい

うーん、俺には分からんノリ…でもコメント欄見てると楽しそうだなw


823 :名無しさん@お腹いっぱい

そちたちラップ、無限リピ―ト中www


845 :名無しさん@お腹いっぱい

>>823

そち そちたち そそち そちち そちちち

そちたちそち そちそちたち そちちたちそ

そち、そそそち、そちたち、そちちちち

そち!そちたち!そちち!そちたちたち!

そちそちたち そちちでバズるぜ そちそちち

そち!そちたち!そちち!そそちたち!

そち、そちたち、そそそち、そちちそちち

そちたちしか勝たん!そちそちしか勝たん!

そちちたち そちそち そちちちち そちたち

そちそちたち〜〜〜!!


872 :名無しさん@お腹いっぱい

>>845

やめれwww


950 :名無しさん@お腹いっぱい

これ黒歴史じゃね?

そちたちwww


973 :名無しさん@お腹いっぱい

なんだかんだで元気出た…ありがとう!w

そちたちも元気でな



――俺の新たな黒歴史がここに確定した瞬間だった。


※※※


その後、すべてを忘れたくてエアロバイクを全力でこいでいると、叔父さんから着信があった。もう、嫌な予感しかしない。


俺は、恐る恐る電話に出る。


「はい……」


『しょ、正太郎?お、お前芸人にでもなるつもりか?何だあの動画?面白すぎだろ!「そちたち」ってなんだよ!「そちたち」って!ぶふぉっ!』


叔父さんまで、ひどい……!


『柚希も、ダンゴムシみたいに丸まってプルプル震えてたぞ?あの柚希がだぞ!あんな柚希、俺だって初めて見たわ!ありがとうな、見たことのない柚希の姿を見せてくれて!ぶふぉっ!』


……わかりましたよ。そっちがその気なら、こっちにも考えはあります。


俺は御老公なりきりを、叔父さんにも披露した。


「そちたち?介護ロボットの件、どうなっておるのかのう?」


『ぶふぉぉ!ぶわっはっはっは!ひー、ひーっ、や、やめろって!笑いすぎて息できん!はぁ、はぁ……』


叔父さんの大爆笑を、俺はなんとも言えない気持ちで聞いていた。


でも、その時ふと思った。「そちたち」って言っておけば簡単にウケるなら、鉄板ネタにすればいいのでは?交渉とかのアイスブレイクに使えるんじゃないか?もしかして、色んな場面で便利なんじゃ?


もういいや。開き直ってポジティブにいこう。


そんなことを思っているうちに、叔父さんもやっと落ち着いてきて、本題の話になった。


『ぐ、ごほんっ、すまんな、んんっ。さて、本題の介護ロボットの件だ。結論から言うと、送ってもらった設計図通りにプロトタイプを作ってみたんだが、素晴らしい動きをしていたよ。最初は少しトラブルもあったが、実機で学習が進んだ今はほとんど問題ない。正太郎の所で見た人型ロボットよりずっとスムーズに仕事してたぞ』


「もともと、あの制御AIは今回の新しい介護ロボットを想定して仮想空間でシミュレーションしてましたから。当然の結果ですね」


『そうだったんだな。こちらは、あと少し検証して、特に問題なければ量産に移る予定だ。藤崎グループが製造と販売を担当する。正太郎の方は……』


「はい。政界への働きかけを進めていきます。先日、叔父さんもいらしていたパーティーで、東堂正人議員の息子である東堂勇気に恩を売ることができまして、東堂議員を紹介してもらえることになっています」


『東堂議員には、こちらからも正太郎のことをお願いしておく。あの人は派閥を持つ政界の大物だからな。くれぐれも、失礼のないようにな』


「ありがとうございます。失礼のないよう気をつけます」


『うまく立ち回れば、介護ロボットの購入に補助金を出す法案をつけられるかもしれない。そうすれば介護ロボットの普及も一気に進む。藤崎グループとドールハウスの功績になるし、お前の本当の目的にケチを付けられるような議員も減るだろう。まさしく、この国の影のフィクサーだな』


「それ、すごくカッコいいですね!頑張って東堂議員と話してみます。まずは『少子高齢化対策研究会』に入っていただくことからですかね?」


『そうだな。それが最初のステップだ。じゃあ、正太郎、お互い頑張ろうな』


「はい、頑張りましょう!」


せっかくだから、最後に叔父さんへ仕返ししておくことにした。あれほど俺を笑った報いだ。


「これにて一件落着!ファッファッファ!」


『ぶふぉぉ!しょ、正太郎っ!やめろって!ひゃっひゃっひゃっ!ぷひ』


プツッ、ツー…ツー…ツー…


そうして唐突に通話が切られる。笑いすぎた叔父さんがつい、通話を切ってしまったのかもしれない。


よし、叔父さんに勝ったぞ!


だが……勝利とはいつも虚しいものだ……。


※※※


それから一時間ほど経った頃だった。


東堂議員の息子、東堂勇気から連絡があった。


『父が……東堂正人が、正太郎さんと会ってくださるそうです。僕が正太郎さんに助けてもらったこと、しっかり伝えておきましたから!』


さあ、政界で影響力を持つための第一歩だ。しっかり気合を入れて臨もう。

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