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迫る脅威

「以上が報告です」

 アレハンドロ帝国にそびえるヴァルマン城。

 そこに設けられた秘密の部屋で、皇帝であるマーダルネス三世はローブの男から報告を受ける。

「そうか、暗殺は失敗したか」

 頬杖を付きながら、淡々と報告書を受け取るマーダルネス三世。

 そこにはアルガン王国で行われた国王暗殺作戦の一部始終が記されている。

「アルトロを消せば混乱に乗じて工作が進められると思っていたのだが、まあ良い。

 ダメで元々だ。

 ご苦労であった。死傷者に対する弔慰金を支払うゆえ、貴ギルドには今後も朕のために助力願いたい」

「はは、寛大な措置、痛み入ります」

 恭しく頭を下げるローブの男ことアサシンギルドのギルドマスター。

「下がれ」

「失礼いたします」 

 皇帝の言葉に従って退室すると、代わりにノードン外務大臣がやってくる。

「サーディン王国との密約を締結してまいりました」

「ご苦労」

 報告書を受け取る。

 そこには水の魔石を大量に提供することを見返りに道路整備や軍の配備を要請する旨の内容が記されている。

「しかし、なんとも愚かな。

 エイリアム王とか言ったか?

 貴重な水資源を娯楽のために使いたいなど、馬鹿にもほどがある」

「調べたところ、国内にいる水魔法の使い手を徴用しているようです。

 中にはそれを恐れて国外逃亡を図った者もいるとか」

「…決めたぞ、ノードン。

 その大馬鹿国王の顔を朕自ら拝んでやる。

 三日以内に出立の用意をいたせ。

 ああ、そうだ。ついでにアルトロも誘ってみよう」

「アルトロもですか?」

 まさかの発言に困惑するノードン。

「まさか暗殺の黒幕が外遊を誘ってくるとは思うまい。

 それに、相手を知ればつけ入る隙も見つかるというものだ」

「承知いたしました、直ちに手配いたします!」

 皇帝の意図を理解すると、ノードンは一礼して足早に部屋を出てゆく。

「さて」

 一人になると、マーダルネスはそばに忍ばせていたお気に入りの伝記を開く。

 そこにはかつてニーナ大陸を支配したとある皇帝の物語が記されている。

 神皇帝と呼ばれたその男は圧倒的なカリスマで臣下を束ね、たぐいまれなる能力で小国であった国家をわずか十年で大陸を支配する大国に育て上げた。

 マーダルネスも彼に憧れるあまり一人称を真似するほどであり、心酔している。

「もう少しだ、もう少しで朕もこの皇帝のように大陸を支配できるのだ。

 そしてゆくゆくは大陸を越え、外の世界を朕の手中に…

 クックックッ」

 幼少期より憧れた皇帝に自分の姿を重ね、そして超えてゆく様を夢想するマーダルネス。

 彼の野心は、留まることを知らない

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