会談
大勢の衛兵に見守られた謁見の間。
玉座に座るアルトロの前に、ルーベンスとリラは姿を現す。
貧民とは思えない立派な姿に、国王追放に立ち会ったグレゴールやヴァリアは少し驚く。
(「俺たちを恨んでは、なさそうだな…」)
(「意外と、今の生活があっているのかもな」)
ルーベンスの様子を見ながらひそひそ話すグレゴールとヴァリアの二人。
一方でシャラヴェルは暗殺業を営むリラを睨む。
「国王陛下におかれましては、ご機嫌麗しく。
卑しい身分である私たちにこのような場を設けてくださったこと、感謝の念に絶えません」
自身に対して追放宣言のされた部屋で、ルーベンスは現国王であるアルトロに対して口上を述べる。
「面を上げよ」
促されて顔を上げるルーベンスとリラ。
謁見の儀を終えた後、一行は会議室に向かう。
左右に鎧の置かれた廊下。
装備させている短剣をはじめとする武器や盾は本物と遜色なく頑丈に作られており、鎧職人のこだわりを感じる。
「そういえば陛下、クランはどうしておりますか?」
謁見の場に居なかった孫娘を気に掛けるルーベンス。
「今日は、戦災地に慰問に出かけております」
「そうですか、叶うのであれば一目見たかったのう」
「公務としてアルジャーノ村に訪問させることもできますが、どうですか?」
「陛下のお気遣い感謝いたします。しかし彼の地はいまだ治安が悪く、安全を保障することができません。また資源に乏しく十分なもてなしもできません」
クランの身を案じ、アルトロの提案を断る。
会議室に通された後、ルーベンスはアルトロの対面に座る。
「―――という訳でして、貴国の抱えるダンバルカンの難民を村に送っていただきたいのです」
粛々と進む会談。
アルトロの後ろ左右にグレゴール達、ルーベンスの後ろにリラが護衛として立っている。
「当然ながら、一度に全員を受け入れるのは不可能です。
始めに百人、そこからひと月ごとに五十人ずつでいかがでしょうか?」
「シャラベルはどう思う?」
ルーベンスの提案の内容をシャラヴェルに問いかける。
「送ること自体は可能です。
ただ、国境を越えて難民を送る以上はダンバルカン王国の認可をもらう必要があるかと」
「そうか。
聞いての通りです。アルジャーノ村に難民を送る事はアルガン王国の一存ではできません。
ダンバルカン王国の認可必要である以上は、相応の時間を要します。
それでもよろしければ、こちらですべて進めますが、いかがでしょうか?」
「わかりました。それでよろしくお願いいたします」
王国側の提案を承諾する。
時間がかかるとはいえ、寒村の要求を王国に通せた時点で成果としては十分である。
合意書に署名をしたためて会談を終えたとき、リラの耳がピクンと反応する。
「どうしましたか?」
リラのわずかな動きにシャラヴェルが反応する。
「貴方たちは天井裏にも警備を置いてるのかしら?」
「っ!」
リラの指摘に、シャラベルはいち早く反応する。
直後、天井が爆発。
がれきと共に武装した刺客が襲来する。
顔を覆った覆面の男達。
「陛下、こちらへ」
アルトロの手を引いて部屋から脱出するヴァリア。
一方でグレゴールとシャラヴェルは臨戦態勢に移る。
「逃げるわよ」
「うむ」
ルーベンスの手を引いて避難させるリラ。
廊下に並べられた鎧から短剣を引き抜くと、追いかけてきた刺客目掛けて短剣を投擲、グサッという音が鳴り、刺客が仰向けに倒れる。
「何事か!?」と衛兵達が駆け付ける中、まともな装備がないリラたちは身の安全を優先して王城から一目散に離脱する。




