行き止まり
「所詮は子供ね」
五分後、路地に転がる少年たちを見下ろしながらリラは呟く。
「バ、化け物女…」
壁を背に、スリの青年は戦慄く。
「それじゃ、返してもらうわよ」
「そんなもんとっくに捨てたよ。
金も全部使った」
彼女に対して、青年はそう吐き捨てる。
「ねぇ、あなた達はいつまでこんな生活を続けるつもりかしら?」
犯罪を生活の糧にする青年たちに対して問いかける。
「このままだと遅かれ早かれ全員死罪になるわよ。
今は戦後の混乱で盗みやすいでしょうけど、王国が治安回復に動き出せばあなた達なんて一瞬よ?
世界は人手不足だから、お金が欲しいのなら冒険者なりして働けば今よりも生活は楽になるはずよ?」
「できるわけねぇだろ」
リラの提案を弾くと、青年は袖をまくって右腕を見せる。
「…三本線」
腕に入れられた三本の黒い入れ墨に言葉が止まる。
重罪人の証であり、冒険者ギルドにすら入れない。
「わかっただろ?俺はもうまともには生きられねぇんだ!」
袖を伸ばしながら、青年は立ち上がる。
「貴方、何をしたの?」
「殺し」
それだけを言ってアジトに体を向ける。
「さっさとここから出て行け、顔も見たくない」
バタンと閉ざされるボロの扉。
「戻りましょう」
うめく少年少女たちを一顧だにせず、リラは帰路につく。
(あの子達、これからどうなるのかしら?)
盗品を返した後、人ごみの中で青年たちの今後を心配する。
冒険者ギルドにすら入れないとなれば、今のまま犯罪を繰り返してその場しのぎの生活を送るか、犯罪組織に捕まっていいように使われるか、衛兵に処罰されるか。
どちらにせよ、まともな将来は見込めない。
(いっそ殺してあげたほうがよかったかしら?)
このまま害をもたらし続けるのならば、その前にひと思いに死なせてやった方が王国にとってもはるかに有益かもしれない。
そんなことを考えながら、リラは宿の扉を開ける。




