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散歩

 リラが王城に向かっている一方、城下町にて。

「大分復興が進んでおるのう」

 王都のメインストリートの左右には仮設の建物が立ち並び、大勢の建築業者が目に付く。

 王城前の噴水広場では吟遊詩人が英雄譚を歌い上げ、子供たちが興味深そうに聞き入っている。

「城下町とは違って、城の修復は進んでおらんのか?」

 欠けた尖塔に崩れた防壁。

 戦争が終わったとはいえ、防衛に必要な施設が機能不全に陥っていることに一抹の不安を感じる。

 広場を離れ、今度は市場に向かう。

 露店が多く立ち並び、保存のきく食料品や布、薬などの生活必需品の陳列が目立つ。

「活気があるのは良い事じゃ」

 呼び込みの声を耳に、村人の作った緑色の財布を懐に村のために何を買おうかと考えながら散策する。

 追放された時は王国の将来を悲観したが、ほとんどがいらぬ心配だったことに安堵しながら(次はどこへ行こうか)と考えていた時、目の前から赤青の二色の髪の若い男が走ってくる。

 ドスンという衝突音。

 衝撃にルーベンスはしりもちを着く。

「わりぃ」

 たったそれだけを言って男は群衆に紛れていく。

「そそっかしい男じゃのう。

 イタタ…」

「大丈夫かい?」

 心配した人に支えられ、何とか立つ。

「うむ、助かったありがとう」

「あんた、さっきのスリじゃないかい?」

「スリ?」

 言われて懐を探ると、そこにあったはずの財布がない。

「最近よくあるのよ、老人を狙ったスリが。

 一応、衛兵さんが取り締まってはいるけど、対応しきれていないのよねぇ」

「良くないのう…」

 リラがこの場にいればすぐにでも財布を取り戻してくれるのだろうが、居ない以上は財布はもうあきらめるしかない。

 しょんぼりしながら帰路につく。

「戻ったぞ」

 宿に戻り、部屋の扉を開ける。

 しかしそこには誰もいなく、声だけがむなしく消える。

「お客様、お食事をお持ちしました」

 昼時になり、宿の娘が二人分の食事を持ってくる。

「お連れ様は?」

「外出中じゃ」

「左様でございましたか。

 次からはその旨をお伝えください」

「う、うむ、すまんの」

 テーブルに置かれる二人分の食事。

 自分の分をゆっくりと食べ進め、残った分は布をかぶせて取り置く。

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