帰還
村を出て5日、一行は国境線を越えてついに王都へとたどり着く。
追放された時と比べて王都の戦傷は修理され、一部の城壁や防衛設備が新品に変えられている。
「特に異常はなさそうじゃな」
門を抜け、ランハルと別れてリラと王都を歩く。
村での生活で痩せたことですっかり容姿の変わったルーベンス。
パッと見、痩せた老人にしか見えない彼に王都の人々は挨拶するだけでそのまま過ぎ去ってゆく。
「なんか、寂しいのう」
「むしろ気づかれない方がいいんじゃないかしら?」
「それはそうなんじゃが…」
整備された石畳の上を歩いていると、宿屋の簡素な看板が目に入る。
「ここにしましょう」
木製の宿屋の扉を開けて、受付に向かう。
「いらっしゃいませ。何泊しますか?」
簡素な内装には合わない立派な容姿の受付嬢。
「2人、1階の1部屋、7日分の食事つきでお願いできるかしら?」
「140セレカになります。
延長は1日おきに20セレカです」
代金を支払い、部屋のカギを受け取る。
「この木の匂い、建てられたばかりね」
「仮設じゃろうな」
都市の復興の上で優先するべきは安全な居住スペースとインフラの確保であり、まずは最低限機能する簡素な建造物を建てることから始まる。
1階の部屋の扉を開け、荷物を床に下ろす。
「さて、どうやって接触するかじゃな」
会談を申し込むにしても、正面から向かえば衛兵に叩き出されるのは明らか。
「貴方の名前で手紙を書いて。それを私が国王に直接届けるわ」
「良いのか?そんなことをすれば大騒ぎじゃぞ?」
「他にないでしょ?大丈夫、城の構造は把握しているわ」
「そういえば、そうじゃったのう」
会談を申し込む旨の文書をサッと書いて、リラに手渡す。
「それじゃ、届けてくるから部屋で待っていなさい」
文書をしまうと、リラは駆け足で宿を出ていく。




