続けられる理由
「―――生きることは殺すこと。
私はそう考えているわ」
ルーベンスに対して、リーヴェルはそう答えを返す。
「貴方、肉は好きかしら?」
「?まあ、若いころはたくさん食べていたのう」
急に好物の話をされたことに困惑しつつも、素直に答える。
「その肉をたくさん食べるには、相当量の動物を屠殺する必要があったはずよね?」
「確かにそうじゃな」
「それだけじゃないわ、王族たちが着ている毛皮の服も動物の毛を剥いだものだし、王宮で使われていた魔石もモンスターを殺して剥ぎ取った物。
それにこの村の収入源にもモンスターの死が絡んでいるわ。
何が言いたいか、わかるかしら?」
「ワシらの生活は何かの犠牲の上に成り立っているという事か」
「そういうこと。
私の仕事はその生活の延長線にすぎないの。
まあ、人間と人狼の価値観は違うというのもあるでしょうけど、誰かを殺すことで他の誰かの生活が成り立つのならば、私は命を奪うことにためらいはないわ」
そうきっぱりと言い切るリーヴェル。
「さて、私の話はここまでにして、そろそろ王国に向かうわよ。
サンヴァルマンの降雪は早いから、閉ざされる前に全部済ませましょ」
荷物を背負って駆け足気味に外に出る彼女。
自分の手荷物を持って村の入り口に向かうと、そこにはランハルと護衛のコノハが待機している。
「…アルガン王国へは五日もあればつくでしょう。
荷馬車なので乗り心地は悪いですが、ご容赦を」
「うむ、よろしくお願いする」
交易品が積まれた荷馬車にリラの助けを借りてルーベンスが乗車する。
「それじゃ、行きましょうか。
護衛料は後で相談ね」
準備を終え、王国へと向かって山道を下り始める一行。
関を越え、森を避けて安全を重視して進む。
「今回はリスクを取らないのね」
以前に賊徒の潜む森を強行突破したことを思い返し、ランハルに問いかける。
「さすがに民間人を戦闘に巻き込むわけにはいきませんからね」
カラカラと車輪の回る音が街道に響く。




