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交易の街アルシャラ

 賊徒の襲撃を切り抜けてしばらく。

 ランハル一行に前に目的の街がようやく見えてくる。

 交易の街、アルシャラ。

 レンガ造りの建物が並ぶこの街はアルガン王国とダンバルカン王国との交易都市であり、人で賑わっている。

 先の大戦でも被害が少なく、王国復興の拠点にもなっている。

「通行料、六十セレカ(六千円)。確かに受け取りました」

 槍を持った門番に料金を手渡し、レンガ造りの門をくぐる。

 セレカとはニーナ大陸に流通する通貨であり、その歴史は古い。

「無事に取引を終えることができました、お二方ありがとうございました」

 交易所での商談を終え、売り上げの中から報酬を手渡す。

「それではここを発つときに再びお願いいたします」

 二人の同意を得ると、ランハルは宿泊所がある区画へと姿を消す。

「いきなり大金が手に入っちゃったね、コノハ」

 札でいっぱいの財布にホクホクするリラ。

「それで、どうする?高いバーでお酒でも飲む?」

「武器屋」

 それだけ言って武器屋へと向かうコノハ。

「新しい武器でも買うの?立派なもの下げているじゃない」

「武器の整備道具だ」

 リラをよそにコノハは武器屋へと向かう。

「整備用具一式、占めて二百セレカね」

 店主に代金を支払うと店を出て路地裏へと向かう。

 次に向かったのは怪しげな雰囲気の店。

 髑髏をかたどった水晶や首のない人形などのおどろおどろしい物が陳列されている。

「いらっしゃい、何か入用かい?」

 彼を出迎えたのは黒のローブをまとった老婆。

 にやにやと不気味に笑みを浮かべている。

「おすすめの呪物はないか?」

「取っておきのがあるよ、命の保証は出来ないけどね」

 そう言って店の奥から厳重に魔法で封印された箱を取り出す。

 魔法文字の鎖が複雑に絡む黒い箱。

 その鎖を簡単なしぐさで解いて箱を開けると、中から宝石が現れる。

 血のように赤い宝石。

 中心がまるで瞳孔の様に黒ずんでいる。

「これは…」

 コノハの表情が険しくなる。

「『邪龍の目』と呼ばれる代物さ。大昔に世界を恐怖に陥れた邪龍の力を封じたとかいう胡散臭い代物さ。

 買うかい?」

「いくらだ?」

「十万セレカ」

「やめておく」

「それは残念」

 そう言って再び封印をかけて箱を奥へしまう。

「ちょっとコノハ!」

 後ろから来た声に振り返ればそこには両手を腰に当てたリラの姿。

「まーた呪物を集めているのね。そんなに呪われるのが好きなの?」

「ああ、あの不気味な感触が好きだ」

「はあ…こんな奴に負けたのかと思うと情けなくなってくるわ…」 

 陰湿な店内にリラのため息が響いた。

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