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# ■第9話タイトル **「君は未来じゃない。僕の初恋だった」**

# ■第9話タイトル


**「君は未来じゃない。僕の初恋だった」**


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雨の匂いだった。


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夜守の脳裏に流れ込む記憶。


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病院。


白い廊下。


夕暮れ。


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そして。


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一人の少女。


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白い髪。


少しだけ寂しそうな笑顔。


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「こうちゃん」


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懐かしい声。


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夜守の呼吸が止まる。


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「……ユメ?」


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少女は微笑む。


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いや。


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その頃の彼女にはまだ名前があった。


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## ■記憶の始まり


夜守が小学五年生の頃。


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事故で入院していた時期。


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隣の病室にいた少女。


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彼女は重い病気を抱えていた。


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外へ出られない。


学校へも行けない。


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だから二人は毎日話した。


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夢の話。


未来の話。


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「大人になったら何したい?」


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「宇宙行く!」


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「絶対無理」


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「なんでだよ!」


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「こうちゃん方向音痴だもん」


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二人は笑った。


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## ■約束


ある日の夕方。


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病院の屋上。


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少女は言った。


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「もし私がいなくなっても」


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「忘れないでね」


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夜守は笑った。


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「忘れるわけないだろ」


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少女は少し悲しそうだった。


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「……うん」


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## ■失われた記憶


そして。


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少女は亡くなった。


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夜守は耐えられなかった。


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初めての喪失。


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初めての別れ。


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幼い心には重すぎた。


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だから。


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彼は無意識に忘れた。


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少女の存在を。


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名前を。


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約束を。


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全部。


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## ■現在


夢の世界。


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ユメは静かに言う。


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「私は未来でもある」


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「でも始まりは違う」


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夜守は震える。


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「じゃあ……」


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ユメは頷く。


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「私は」


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「あなたが忘れてしまった女の子」


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夜守の瞳から涙が落ちる。


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全部繋がった。


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なぜ彼女だけ特別だったのか。


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なぜ最初から親しかったのか。


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なぜ彼女の声が懐かしかったのか。


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全部。


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## ■黒いユメの正体


その時。


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黒いユメが前に出る。


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しかし。


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その顔にも涙が流れていた。


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「私もユメ」


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「私も同じ始まり」


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夜守は理解する。


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白いユメ。


黒いユメ。


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どちらも彼女だった。


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愛された未来。


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愛されなかった未来。


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救われた未来。


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救われなかった未来。


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全てがユメ。


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## ■世界崩壊開始


空が完全に割れる。


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未来が落ちてくる。


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街が崩れる。


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時間が逆流する。


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ゼロが叫ぶ。


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「もう限界だ!!」


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二つの扉。


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白。


黒。


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まだ残っている。


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しかし。


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ユメが首を振った。


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「違う」


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ゼロが振り返る。


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ユメは言う。


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「選択肢は二つじゃない」


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## ■第三の道


夜守が顔を上げる。


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ユメは微笑む。


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昔と同じ笑顔。


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「こうちゃん」


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「約束したでしょ」


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「未来は自分で作るって」


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その瞬間。


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夜守の胸が光る。


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白い花びら。


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一枚。


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二枚。


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三枚。


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今まで集めた全ての花びらが浮かび上がる。


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## ■真実


ユメは最後の秘密を明かす。


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「花びらは分岐じゃない」


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「希望だよ」


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ゼロが目を見開く。


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初めて知らない表情を見せる。


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「……まさか」


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ユメは笑う。


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「あなたは途中で諦めた」


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「だからゼロになった」


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そして。


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夜守を見る。


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「でも、この人は違う」


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## ■ラスト


光が世界を包む。


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未来が止まる。


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崩壊が止まる。


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そして。


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ユメの身体が少しずつ消え始める。


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夜守は叫ぶ。


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「待て!!」


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ユメは泣きながら笑う。


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「大丈夫」


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「今度は消えるためじゃないから」


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彼女は最後に手を伸ばす。


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夜守も手を伸ばす。


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指先が触れる。


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その瞬間。


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世界が真っ白になった。


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# ■第10話予告


**「君は、僕の眠りでしか生きられない」**


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ついにタイトル回収。


ユメは消えるのか。


世界は救われるのか。


そして夜守は、ゼロにならずに未来へ進めるのか。


物語は最終章へ。


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