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神の筋書き

 父いわく、睡眠と失神の主要な差異は物理的要因の有無だという。そういう意味では少なくとも凪は睡眠に近いのだろう。きれいに地面に着地しているのが見えたから、私が目を覚ました時に倒れていて少し驚いた。一方私は地面に激突して意識を落としたから普通に失神だ。侭はどっちかな。


「次はクッション置いとかなきゃ」


 立ち上がると、デニム生地の隙間から白い砂がこぼれる。湖の近くにあったものだ。つまりこれは瞬間移動の類ではなく、物理的な移動らしい。


「あれ?」


 立ち上がる手に違和感。見ると、打ち身になっていたはずの手の傷が消えている。不審に思うのと同じタイミングで、理人が地面に硬着陸してくる。


「痛ぇ」


 受け身をとった右肩にウェットティッシュで気休めしつつ、その手を確認する。やはり理人の手も痣が治っている。


「どした?」

「いや、その手」

「手?」


 理人が自身の手を見やる。


「ちょっと悪化してるな。なんなんだ、これ」

「え?」


 理人の手には、傷があった。ずきりと、右手に痛みがぶり返す。反射的に手の甲に目をやると、稲妻の形をした痣が何事もなかったかのように存在を主張する。


「おら起きろ」


 理人が凪と侭を蹴り起こす間も、私の胸中には違和感が渦を巻く。まさか見間違いだったのだろうか。


「まったく、ひどい目に遭ったよ」


 こちらにお茶をせびりに来た侭に、それとなく話を振ってみる。


「手の刻印が消えた、ね」


 侭の手にも傷は変わりない。


「この、刻印って、何なの?」

「さあね。フレーバーだし」


 意外にも侭の反応も芳しくない。元ネタとしても、魔物としての立ち位置を明らかにするだけの役割で意味を持たないらしい。


「それより確認すべきはペナルティだ」


 侭の指示でアイテム類やステータスを検める。


「ポーションが四本減ってる」

「ほかは?」

「それだけだけど」

「……変だ」


 訝しむ侭。いわく、元となったTRPGでは全滅のたびにアイテムとステータスが五十パーセント消滅する被害が出るらしい。厳しすぎない?


「『厳しさを謳歌せよ』のキャッチコピーはどこに行ったんだ? おかしい。サイコロも変だ。こんなの僕が夢見た世界じゃない」


 とうとう頭を抱えてしまう侭。なんだかかわいそう。


「かわいそうはともかく、変だよな」

「うん」


 ばらまかれた不可解たち。私と理人もしばし悩み、さらに悩み、もう少し悩みたいところだったけど、「遅い」と凪に急かされ腰を上げる。


「進めば分かるだろ」

「それもそっか」


 世界の謎より次のクエストで悩んだほうが建設的だ。ボードに貼られていた依頼書たちを思い出しつつ建物に戻ろうとした私たちの足を、鐘の音が止める。

 体を揺らす三度の響き。どこから鳴ったのか定かではなく、けれども荘厳な存在感だ。


「とうとう動き出したね」

「例の、子羊が?」


 侭の首が縦に落ちる。ルールの化身たる黙示録の子羊だ。つまり私たちは、恩恵の一つを敵に奪われてしまったらしい。


「獲られたのはどの恩恵だ?」


 ひっくり返ったまま鋭い指摘をするのは理人。エーベン討伐時にそれらしき文章は出なかったから望み薄だけど、一応ログを確認してみる。


・???は呪術の火を放った(威力判定66):ディルフィラーに255のダメージ。

・???は何もしなかった。

・???は何もしなかった。

・ディルフィラーは何もしなかった。

・???は呪術の火を放った(威力判定66):ディルフィラーに255のダメージ。ディルフィラーを倒した。


 謎の戦闘ログは、直後に流れるレベルアップのファンファーレで上書きされていく。


「ディルフィラーの名前ならギルドで見たな。巨人のボスだ」理人が情報を補足する。

「ハテナマークは何なんだろう」

「まだ出会っていないキャラクターはマスクして表示するんじゃないかな。暫定子羊がディルフィラーを倒したか、あるいは」


 侭が言葉を濁す理由は私にも分かる。ボスモンスターらしきディルフィラーの行動回数と比較して、明らかにアンノウンのログが多いのだ。


「どういうことだ?」


 ピンと来ていない凪に、理人が説明を入れる。


「アンノウンは複数人いる可能性が高い」


 提示された仮説。私と侭も無言のままに肯定を示す。

 経験上、「何もしなかった」というメッセージは戦闘中に行動を放棄したときに出る文章だ。これが連続している以上、二人以上の人物がその場にいることは確定とみていいだろう。


「子羊じゃ、なさそうだね」

「和マンチは一人で十分なんだけどなあ」


 侭の意味不明な苦言はともかく、NPCや迷子の一般人を期待するのは楽観視が過ぎる。


「The rENDか」


 追いついた凪も同じ結論を下す。正体は白鳥さんか別の幹部とやらか。頼むから話が通じるタイプの侵入者であってほしい。


「潰すか?」

「まずは状況整理でしょ」


 物騒な凪の先走りを制しつつ、ギルドを指さす。


「これまで通りなら、鐘が鳴るごとに何か進展があるはず。敵がいたとしても先に中心につけばいいわけだし」

「俺は戦いたい」

「いいから早く来る」


 文句言いたげな戦闘狂を引きずって建物に入る。




「おめでとうございます」


 一歩敷居をまたいだ途端、大音量で喝采の声が響く。声の主は受付のお姉さんだ。


「とうとうあのディルフィラーを倒してしまうなんて、あなたたちは歴史に残る英雄です」

「あの、それ私たちじゃないんですけど」

「あなたたちは歴史に残る英雄です」


 ああ、うん。もうそれでいいや。諦めて受け入れよう。あれよあれよという間にSランクとやらに昇格し、多額の報奨金を受け取らされる。


「なんかバグってねえか」理人は困惑し、凪は「うるさいなあ」と他人事。侭だけが冷静に思考を廻らせる。


「これで子羊が倒したわけじゃないことがはっきりしたね」

「みたいだね」


 おそらく侵入者はまとめて一つの陣営として扱われるのだろう。であれば、仮にそれらがThe rENDであったとしても対立する理由はない。


「泳がせよう」という提案に侭と理人が賛同し、凪は多数決で黙らせる。


 クエストボードに向かうと、予想通りに張り紙がいくつか増えていた。鉱石採掘、モグラ退治、それからひときわ大きな黒い依頼書。


「重要そうだな」


 理人に促されるままそれを取り、中身を確認する。


「『魔人伯爵の落とし物』だってさ」


 簡易説明を読むと、魔人の館に住む主が洞窟に落とし物をしてしまったらしい。詳細はともかく、依頼書の存在感からして重要なクエストであることは間違いない。興味津々な侭に黒ヤギさんを渡し、カウンターに向かわせる。


「なあ」


 侭が手続きを済ませる間、口を開いたのはボードを眺めていた理人。


「クエスト、減ってなかったよな」

「ルミナス討伐以外はね」

「だとすると、手ごわいな」


 少し意図を考え、悟る。


 受付のお姉さんの反応からして、ディルフィラー討伐は物語に対する一つの転換点だ。並び立つ竜と巨人の壁画からもその強大さがうかがえるし、討伐クエストも発行されていない。つまり、先のレオデキャイアと同様に本来太刀打ちできないレベルの相手ということだ。アンノウンが戦闘巧者であることは間違いない。


「でも実際、どうやってレベル差を覆したんだろう」


 レオデキャイアにはダメージがほとんど通らなかった。この世界の法則を考えると、いくらきれいに立ち回っても相手の行動ターンは来るはずで、回避もできない。だとすると勝ちの目はないはずだ。


「四肢切断とか」

「え、何」


 凪の物議をかもす発言。けれども理屈を詰めてみると、確かに行動不能の魔物は攻撃を仕掛けてこない。何より、隣の理人が気まずそうな顔をしていることが一つの証拠だ。なるほど、ルミナスもそうやって倒したんだね。


「しょうがねえだろ。ほかに方法なかったんだから」

「いや、別に悪いとは言ってないよ」

「俺は悪いと思ってるんだよ」

「難儀だなあ」


 流れるように始まった理人の懺悔に付き合ううち、侭が手続きを終えて戻ってくる。ともかく、話を進めるしかない。


 シナリオの都合かいきなり夜に変わる景色に戸惑いつつ、私たちは再びつきまといの森を横切る。魔人の館はフモトノ村のさらに先、塔を迂回して死源の北側にあるらしい。


「どうせ同じ方向なら、まとめてくれればいいのに」

「まあ、行ったり来たりも醍醐味だよ」


 若干疲労を感じさせつつも、侭はやはり楽しそうだ。普段からこれくらい前向きならいいのに。


 途中で村に立ち寄ってアイテムを補充し、それから少しだけ聞き込み調査をする。クエスト受注で会話のパターンが変わったらしく、いくつか情報を得ることができた。


「魔人の館っていうけど、住んでるのは魔人じゃないんだ」


 蟻と髷の店主が困った顔で言う。


「昔は塔の管理者をやってたんだが、途中でドラゴンが現れてな、それで追い出されちまったんだ。そん時に塔から落とされて頭でも打ったのか、今じゃ会話も成り立たねえ」

「塔から落ちたって、よく生きてましたね」

「今じゃ会話も成り立たねえ」

「その人の名前は?」

「今じゃ会話も成り立たねえ」


 ああもう会話が成り立たない。何度か話しかけ、これ以上の情報が得られないことを確認して、予定通り北へと向かう。


 目的の館は、村からさらに二十分ほど歩いた先にあった。ギルドとは少し趣が違う、白塗りの建物だ。黒染めの夜に静かな異物感が映える。


「なんか現代的だな」


 凪の感想も無理はない。建物は石造り、というよりコンクリート製に見えたし、窓にはめられたガラスもギルドのそれよりずいぶんと薄い。現実世界から持ってきた建物、何かの研究所のように見えた。


「詳しい話は館の主に聞いてみよう」


 開けっ放しの自動ドアらしき入り口をくぐり、建物の中に入る。


 魔人の館というから敵襲も警戒していたけれど、ここは安全な場所らしい。何も起こることなく二階の奥まで到着する。


 やはり何かの研究室らしきそこは、死源として造られたというより、死源に侵食された現実世界という様相をしていた。棘茨に覆われた壁には何かのポスター跡があったし、どういうわけか垣間見える部屋にはパソコンすら存在している。けれども一方で廊下にはドラゴンの薬液漬けが陳列されていたり、古めかしい絨毯と謎の発光物体(侭いわく魔石らしい)が現代建築を否定している。


「キメラだな」理人の言に同意だ。

「ドラゴンだろ」凪のずれたツッコミ。


 最奥の部屋は大学講堂の装い、けれども中央にある不似合いな大机には燭台とか水差しなんかが置かれていて、やはりファンタジーだ。


 机の対面には、人の姿があった。


「ようこそ、私の館へ」


 青年の声。振り返る姿を見るや否や、理人と凪が前に出る。理由は相手の頭部にあった。


「警戒することはない。こんななりをしているが、私はれっきとした人間だ」


 その頭部、頭髪を裂いて隆起していたのは、およそ人間的でない、七本の角。レオデキャイアの頭部と同じ構造だった。それだけでない。ローブの隙間から見える指先には、およそ人のそれとは異なる爪と毛皮が見て取れる。


「何者だ」


 鋭く言い放つ凪、けれどもNPCゆえに返事はない。滔々と、一方的な話は続く。


「冒険者諸君に来てもらったのはほかでもない、塔の管理を手伝ってほしいのだよ」


 敵にせよ味方にせよ、話は聞くべきだ。いったん凪たちを下がらせて、私は勝手にテーブルに着く。促したけど、私以外は立ったままでちょっと恥ずかしい。


「あの塔には魔竜が住んでいる。あれは人に懐かない堅物だが、義理堅い生き物だ。かつて人族に仕えていたらしい。笛を吹けば、ひと時だけおとなしくなる。君たちにはその笛を取ってきてほしい」

「笛? 笛って何ですか」

「笛は洞窟の一番奥に置いてある。どうにも魔物が住み着いてしまったようでね。かつて魔人とまで称されたこの私が、魔物ごときにしてやられるとは」


 クククと、創作でしか聞かないような笑い声を漏らす館の主。当然私の質問は無視されている。


「とはいえ、私は研究で忙しい。冒険者を安く使うのが合理的だ。理解したかね?」


 ぱたりと、そうオノマトペされそうなほど不意に館の主が口を閉じる。


「え、説明終わり?」

「やれやれ。これだから学のない冒険者は」


 会話が成立したかと思ったら、館の主はどういうわけかまったく同じ説明を最初から繰り返し始めた。横から耳打ちする侭の言葉によると、私の回答は界隈では「説明を繰り返せ」という意味になるらしい。


「理解したかね?」

「あ、はい」


 話を要約すると、塔に入るには竜をなだめる笛が必要で、それを洞窟に保管しているから取ってきてほしい、ということらしい。正直理解できない。笛が必要なのはともかく、なんでそんな大事な笛を洞窟の一番奥に配置するのか、そもそも管理とは何なのか。

 疑問をぶつけてはみたものの、館の主は「説明は済んだ。もう行きたまえよ無能諸君」などと失礼な言葉をぶつけてくるだけで話にならない。仕方なく私たちは館を出て洞窟を目指すことになる。


「たぶんだけど、あいつがラスボスだね」


 建物を出るなり、侭がぎょっとするような発言をする。


「根拠は?」

「元ネタ、この場合は元ネタの元ネタか。七本角で言葉を話す、獣。いかにもじゃないか」

「そういうもの?」


 説明は今一つ分からなかったけれど、私としては人型のしゃべる何かとはあんまり戦闘したくないなあ。


「というわけだから、ちょっと試してみようか」

「どういうわけ?」


 NPCじゃないのに私の言葉は無視され、侭は館の方に引き返す。


「アイテム錬成:濃縮トリニトロトルエン」


 嫌な響きの物体をいくつも生成し、館の周りに並べていく侭。


「一応聞くけど、何するつもり?」

「そりゃもちろん、爆破でしょ。天音、火起こして」

「やだよ」

「誰かが十字架を背負わないといけないんだよ。責任から逃げちゃダメだ」

「やだよ」


 繰り返すと諦めたのか肩を落として戻ってくる侭。


「はいこれ」差し出されるスマホの画面。促されるまま指を置く。


「アイテム錬成:メチルアルコール」

「あっ」


 全然諦めてないよこれ。わざわざ私に責任押し付けに来ただけだ。


「どうなっても知らないよ?」


 私たちが白い目で見る中、メチルアルコールを導火線代わりに配置して回る侭。途中で魔力が切れたのか嘆息し、その場で地面に手を付ける。うん、あれは能力使ってるね。

 弱化によって発火点を引き下げられた液体燃料は当人の想像を超えた早さで火花に変わり、その先のトリニトロトルエンに衝突する。


 星なき夜を照らす赤と白の閃光。一瞬の轟音を待って、私の周囲から音が消えた。何のことはない。聴覚が麻痺しただけだ。煙が上がり、土の破片が飛散し、それから静寂。少し待ってようやく視界が戻ると、そこには館の姿のみがあった。


「侭は?」

「飛んでったよ」とは凪の言葉。ログを見てみる。


・ジンは爆弾を使った(威力判定66):ソミシンに0のダメージ。

・ジンは爆弾を使った(威力判定66):ジンに100のダメージ。ジンは気絶した。


「……うん、まあ、そうだよね」


 住民すら倒せなかったのに、重要人物らしき館の主にダメージが与えられるはずがない。そして当人は仕掛けた爆弾でノックアウトと。どうでもいいけど、館の主はソミシンって名前なのか。カタカナだとちょっと読みにくいな。


「どうする? 迎えに行く?」


 一応確認してみると、三人の意見は同じらしい。アホはほっといて洞窟に行くとしよう。


「待て」


 踏み出しかけた一歩を止める、凪の鋭い声。


「何か妙だ」

「何かって?」


 返事はない。けれど、違和感は空気を通して私にも伝わってくる。

 急に森が呼吸をやめた。そう表現するのがふさわしいほどの静寂が、周囲を包んでいた。侭の人間花火がよくないものを呼び寄せたかのような嫌な感触。


「クエストが進んだってことじゃないか? ログはどうなってる」

「見てみる」


 周囲を警戒する理人の代わりにスマホを手繰る。けれどそこにあったのは侭の人間性を疑う襲撃履歴のみ。ゲームとしては何も起きていない。


「来る」


 空間を裂く凪の声。その視線を追いかける私と理人の前に、吹き飛んでくる何かの影。


「わ」


 ドズンと地面を揺らしながら着地する、大型の何か、魔物。魔物の、死骸。


「え、死んでる?」

「ゾンビか?」理人の推測、でもゾンビなら動くはずだ。

「ドラゴンだろ」凪はやっぱりずれている。


 長い首はだらりと下がり、ずんぐりした体躯はピクリとも動かない。レオデキャイアとはまた違うドラゴンが、目の前で確かに死んでいる。


「このドラゴン、研究所にいたよな?」

「うん」


 理人の言う通り、さっき研究所の中で実験体にされていたのと同じタイプのドラゴンだ。


「でも、別個体だと思う」


 研究所のドラゴンは腕がちぎれていたし、眼球も割れていた。今目の前にいるのは胴体に大きな衝撃痕があるだけで五体満足だ。


「戦うのか? ナイフ生成」


 結論より前に戦闘態勢に入る凪を片手で抑えつつ、状況確認。ゲームログはかく語る。


・エンカウント:エルダードラゴンが現れた。

・エルダードラゴンは地面に激突した。エルダードラゴンは5000のダメージを受けた。エルダードラゴンは倒れた。


「倒れたってさ」


 着地失敗? そんなバカな。ワンテンポ遅れて経験値獲得のログが続き、私たちのレベルが上がっていく。


 静寂する黒夜の森に流れる二人分の困惑。凪だけが冷静に戦利品の回収に向かっている。


「戦わずして勝つ、兵法の基本だな」などとうそぶく理人も明らかに声が上ずっている。

「どうしようか?」

「分かんねえ」


 明らかに異質な状況。けれどもゲームログは平常運転を続け、私たちの理解を許さない。これも何かのイベント? 肝心な時にシナリオ解説が吹き飛んでるせいで何も分からない。


「次、来るぞ」


 私を現実に引き戻す凪の警告。言葉通り、地響きが森の奥から聞こえてくる。音は複数、大群だ。


「今度のは生きてそうだな。どうする」

「撤退で。凪も聞こえた?」

「了解」


 逃げる先は館の反対側。目的地たる洞窟の方角だ。最低限の魔物を凪のナイフで蹴散らして、私の呪文で後ろを足止めし、隙を作る。やけに攻撃的な魔物の対応に追われつつもどうにかその場を脱し、休む間もなく走らされる。


 謎の死骸、サイコロ、館の主、洞窟と笛。惑星軌道で巡行する様々な要素。遠心力でバラバラにされる思考回路に合掌しつつ、洞窟に向けて足を動かし続けた。

椎名侭⑤:この時点で侭の人間性は30を下回っており、侭は0を下回ってアンダーフローさせれば世界が崩壊しないかとワクワクしながら行動しています。しません。

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