9時25分
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「よぉ、待たせたかよ」
明石真の言葉に、畔あさきは首を振った。
「いいえ、別に。そっちはもっと掛かるかと思ってた」
「前口上なしの突撃だったらこんなもんだろ。テンポ感は大切にしね〜となぁ」
「——それで、感想は?」
「ま〜、スペックの方は特にだな。最強無敵にゃ違いね〜けど、面白味はなかったな。それでも、真っ向からあれを殺せる奴は、少なくとも現世にゃいね〜だろ」
「それは『明石真』でも?」
「さ〜、それはやってみてのお楽しみってトコだろ」
「……じゃあ、スーツの採寸が終わったら、もう一度?」
「いや、少し予定変更だ。別角度からも〜ちょい、ちょっかい掛ける」
「……それは、何故?」
「決まってら〜。アイツをベストコンディションまで引っ張り上げる為さ」
明石真が、笑う。
「実際会ってわかったけどよ、アイツのマックスは『一人きり』の時だ。誰を気に掛ける必要もね〜、遠慮する事もね〜。その上で憎い敵をぶち殺すって本腰入れた状態が、〝最強の逆理〟が最強な状態だ」
明石真が、わらう。
「今のアイツは鎖に繋がれた子犬みて〜なもんだ。リード引っ張られりゃ身動き一つとれね〜やつ殺したところで面白味もクソもね〜……だから、野郎の首輪を俺が外してやるよ」
明石真は、嗤う。
「策略知略の限りを尽くしてヒーローをハメ殺すってのもヴィランとしては悪くね〜が、結局タイマンじゃ勝てね〜みたいな言説で炎上するのも退屈だ。男らしく正々堂々、ピークのアイツを『殺して』やるよ」
「……正々堂々の対義語みたいな能力の癖に」
「身に付いてる代物はノーカンだろ。それに今のは偏見だ。俺の能力こそ、逆理の象徴だぜ?」
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「一先ずまぁ〜、これにて第一章完、って奴だ。採点基準は任せるぜ、観客諸君。スーツの採寸が終わるまでは精々、退屈な人間ドラマでも眺めててくれよ」




