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朝に彼女がやって来た。そして、今日は多越の番です。

翌朝。

テーブルを見ると、付近に人が立っていた。

アイスクリーム屋の店主である。


格好は相変わらず、登山家のような出で立ちで、

顔もフードを被っていて、髪もほとんど見えない。

僕が彼女を見ていると

「おはよう。昨日、

  国王から入室の許可はもらってるから朝食を持ってきたよ」

テーブルに出されたのは数種類の山菜料理であった。


これ以降から部屋を出るまで、記憶は無くなっていたが、

料理の味がおいしい事だけは覚えていた。


僕は工場へ行き、作業場に入る。

今日は他の店主から頼まれていたスライサーの成形をやる予定だ。


これから流れを指示するのは多越である。

「今からは城門付近にある服屋のスライサー?

  いや、衣服用に使う裁断機を作りたい。

   スライサーと似ている箇所もあるんだが、流れとしては、

 始めに地面を垂直に動く円盤のカッターを成形する。

  後は持ち手の上に円柱を作り、その部分は本来は電気だが、

   代わりに魔力を込めるといい感じで動いて止まるって感じだ」

僕はその説明を聞いて、若干不安に思う。


道上も不安に思ったらしく

「そんなに適当で大丈夫か?後で思わぬトラブルに発展するぞ」

多越は問題ないと裁断機を使った時のジェスチャーで伝える。


早速、円盤のカッターを成形し、持ち手と動力源となる円筒も作る。

道上が組み立てて完成し、多越が試しに使ってみる。


多越は「思いっきり行けば上手く行くんだよ」と魔力を込めて、

持ち手に力を込めて、円盤を手元から前に突き出す。

すると、裁断機とは思えない衝撃が出た。


次の瞬間。手元から作業場端まで地割れが出現し、工場を破壊しそうな時、

何者かが転移で地割れを丸ごと消し去っていた。


一同が工場が壊れるかと思い、震え上がっていると

「私の道具を作ってくれるのはありがたいけど、

  工場を破壊するのは良くないんじゃないか?」


一同の前に姿を現したのは、要望を出した服屋の店主であった。


「で、この騒ぎになったのは誰の仕業だ?」

店に居る時の接客口調では無い為、怖くなった僕は多越に目線をやった。

多越は慌てて

「いや、これは、その」

言葉になっていない。彼女は多腰の襟を掴むと、

そのまま転移で多越と共に姿を消した。


僕たちは震えながら言葉を失っていた。

(服屋の店主はどうして、狼の着ぐるみだったんだろうか)

同時に、彼女の身にまとっていた物についても気になった。


何はともあれ、作業場も無事に済んで良かった。

今度は道上に助言を受けながら、裁断機を改良したのである。


そこからはかなり時間が掛かり、やっとの思いで完成した。


時間は既に夕方になっていた事もあり、僕たちは工場から出ようとした時、

服がボロボロになった多越が僕たちの前をへと現れたのである。


「あの後、凄く絞られた」

まるで遺言のような言葉を発した直後、彼がその場でうつ伏せに倒れる。


数秒後に狼の着ぐるみを着たままの服屋の店主が現れて

「この子、今日は家に泊めて看てやるから、あんた達は帰りな。

  大丈夫、国王にはきちんと許可は取ってるから、それじゃあな」

彼女は多越をお米様抱っこして、転移で姿を消した。


残されたみんなは

(なにこれ面白い)

呆れながら、こう思ったのであった。


その後、僕が部屋に戻る頃には日が落ちていて、

慌てて食事を摂る事にした。


テーブルに置いていたのは鰻の蒲焼と

「ひゃあああ」

生きた鰻の頭が食器の外で動いていた。

僕は人に聞かれたくない変な奇声を上げて、思考が止まる。


数秒経ち、正気を戻した。

おそらく気を失っていたのだろう。

鰻の蒲焼自体は湯気を発していたのである。


僕は生きた鰻と目が合いながら、食事をした。


風呂に入って、ベッドに潜っても、その光景が頭に残る。

夕食を出したのはス、何とかさんだろうけど

(こんな事される覚えは、な……あっ)

彼女に初めて会った時、理由も無く意地悪をした事を思い出す。


そして、改めて

「根に持ってたんだろう、今度改めて謝るか」

基本的に城下町の人間は名前を知られては駄目なのかもしれない。

配慮に欠いた行動を悔いながら、僕は寝る事にした。


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