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12/16

王子からの廃棄物をリサイクルする事になるのだが

翌日。

香ばしい匂いに目が覚めた僕はテーブルを見る。

(どう考えてもその場で作ったようにしか見えない)

カレーが熱々の状態で置かれていた。


しかし、料理をするスペースも無い。

いや、転移でここに移動すれば可能なはずだ。


毎日のように、城下町の人達が転移で色々してるのを見ると、

さすがに変わった事が起きるのが容易に想像が付く。

(慣れたらダメなんだろうけど、気にしたら負けだ)

前世を基準にすると、頭が混乱するので気にしない事にした。


いつものように朝食を食べ、部屋の匂いを気にしつつ、

外に出ようとすると

「ブレスクリア」

部屋の中に小声で誰か唱えた、ような気がする。

(聞かなかった事にしよう)

僕は幻聴だと言い聞かせて、改めて部屋を出た。


部屋を出た後、姿を隠していた人が隠密スキルを解除して姿を現す。

「赤津の反応見たら、ちょっと面白かった」

彼女は水のような体をしていた、服は着てなさそうだ。


おそらく、城下町の誰かだろうが、赤津が知る由も無い。

だが、敵でも無い為、知ったところで無意味である。


工場までの道中、珍しく城下町の住人に遭遇する。

彼女は銭湯の店主をやっていて、付近は局所的豪雨が良く降っている。

それだけでも意味不明だが、格好は上下分離型のタンキニと言われる水着である。


銭湯に居るだけでも違和感だが、今も同じ格好でここに立っている。

僕を見た彼女は

「おはよう。今日は豪雨が来るみたいだから、周辺の国に雨雲を移動させたよ」

挨拶をしたかと思えば、天候を操った旨の言葉を発した。これには僕も

(これが本当ならとんでもない人なんだが)

実際とんでもない人である。

(人?いや、人ではこんな事は出来ない)

人智を超えた得体の知れない存在でしかないが、

敵意があるようには見えなく、聞かなかった事にした。


今日も無事に工場に着き、作業場に入る。

僕の到着を待つと、道上は

「今日は、クロス王子から引き取った廃棄製品のリサイクルをしようと思う」

オパール製の高台皿だが、なぜかその日の内に本来の色が失われた物である。


道上がさらに説明を続けようとして中断し

「しかしな、オパールからだとせいぜい作られるのは限られてくるが」

なぜか頭を悩ましていた。

「何か問題でも?」

声をかけたのは、『破砕機』のギフトを持った細見の人である。


彼の名前は照比本帰生てるひもと きせい

ギフトは『破砕機』。リサイクルは出来ないが、前準備だけは出来る物。


道上はまだ、頭を抱えていて

「オパールは二酸化ケイ素を含んでいるから石英にもなるんだが、

  石英ガラスとなると、作るのが面倒だから、

   結局は乾燥剤や消臭剤が出来ればいい代物なんだ」

彼の中では、再利用品の完成図が見えているらしい。


続いて見切も

「いいんじゃないかな。最初は試しの部分もあるし、

  魔力を乾燥剤と消臭剤に変えられるなら十分だと思う」

凝った物を作っても仕方無いと思い、無難に相槌を入れる。


道上も半ば諦めるように

「そうだな、じゃあ流れは照比本が『破砕機』でオパールを粉砕して、

  見切が『乾燥剤』と『消臭剤』で、リサイクル品を作る……うん?」

終わりの言葉を言いかけた時にふと、疑問が沸く。そして

「見切。ひょっとして、このギフト使いようではどうにもなるんじゃないか?」

突然の見切への問いかけに、彼は

「そうかもしれないけど、多分、魔力の消費が激しいから多用は出来ないと思う」

言葉を返す。道上は

「まあ、いいか。とにかく、今日は以上の流れでやってくれ」


一同は作業は始める。とは言っても、やる事はオパールを粉々にして

見切がいい感じで粒状にするので、予め用意したプラスチックの箱へ集めるだけ。


問題が起きたのは、見切が接頭語生成器を使用した際に

乾燥剤と消臭剤へ変化する時間が異常にかかった事である。


待つだけで、かなりの時間がかかり、

峰渕がリサイクルした品を小袋の大きさに分け、

『密着梱包』が終わった頃には、日が沈む時間になっていたのだった。


今日の仕事で最も疲れていたのは見切である。

本人の宣言どおり、魔力の消費が激しかったらしく、

彼の部屋までは多越が肩を貸しながら、横並びに歩いたのである。


他の人達も各部屋へと戻り、僕はと言うと、

(あ、粉砕した物を箱にして成形すれば良かった)

後の祭りである。


魔力を込めて作った製品でも、金型と同じ材質になる為、

いくらでも形状変更すれば、無限に作れる事に気付いた。

(明日、みんなにこの事を話そう)

気落ちしながら、食事をし、ベッドに寝るのであった。


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