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欠落の始まり
あれ……? 何だったっけ?
忘れちゃいけないことがあったのに
それが何だったのか忘れてしまった
思い出そうとするんだけど
やっぱりどうしても思い出せなくて
記憶の断片や片鱗さえも浮かばない
嬉しかったのか楽しかったのか
苦しかったのか辛かったのか
悲しかったのか苦かったのか
はたまた
怒るもの憎むもの恨むもの
そういうものだったのか?
忘れてしまったから
付随する感情さえも忘れてしまった
心に残ったのは
どこかすっきりしない諦めと
妙に乾いた割り切りだ
どうせいつか忘れてしまう
大したことのない
記憶だったんだろう
だから──
私は私という一部を失っていく
それが始まりだと気づかないまま




