愛しき君がため
愛ゆえの愚かさなれど
常識の範囲と倫理を超えたるは
残酷な狂気の罪人
“愛しき君がため”
贈り物は常々
金は惜しみなく
時間は暇なく
尽くし尽くして
寄り添い侍る
君の瞳が関心が感情が
わずかでも他者に移れば
憤怒と嫉妬に燃え上がり
強烈な殺意を抱く
それが耐えきれなくて
ついに人の道を外した
そうすべては
“愛しき君がため”
君は私を恐怖し拒絶し
忌避から逃げようとする
理解ができない
なぜ逃げるのか
そんな瞳で見るのか
私を遠ざけようとする
ああ
閉じ込めてしまえばいい
籠の鳥とすればいい
君は
私だけを見つめ
私だけを愛し
私だけに尽くしてくれるだろう
もちろん
私は変わらない
永遠に君だけを愛し
君に尽くし
君が欲しがるものを
すべて捧げよう
毒を飲ませ
足の腱を切り
手足を鎖で縛る
君のためだけに作った
豪華な牢獄の寝台に
そっと寝かせる
目覚めた君は──
この場所が気に入ってくれたようだ
愛しい私がいることに喜んでいる
感極まったのか震えながら
私に微笑み
私を抱きしめ
私に愛をささやく
私はようやく安心した
これで君は私だけのもの
ここにいれば安心だ
他者からの
如何なる害意悪意から
君を守ろう
そうすべては
“愛しき君がため”




