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機甲戦騎キャバリアー  作者: クロイモリ
第二章:オーストラリア縦断編
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05-アーガイル湖防衛戦

「ロナさん! 皆さん! キャバリアーの整備、終わっていますか!?」


 イスカは格納庫を駆け、キャバリアーの下へと向かった。ほんの数時間前まで点検が行われていた機体だが、既に装甲の取り付けは終わっていた。


「問題ない、すぐにでも出られる。いまヘイゼル少佐に確認を取っている」

「くそっ、許可を取らなきゃあいつらと戦うことさえ出来ないなんて……」

「それが軍隊というものだ。聞き分けろ、イスカ。すぐに許可は出るさ」


 少し遅れて航空機用のパイロットスーツを着込んだアスタルが現れた。


「珍しくやる気じゃないか。戦う理由を見つけたみたいだな……」

「……分かるんですか? そんなこと」

「分かるさ。長年戦っていれば、一皮むけた男の顔くらいは分かるよ」


 アスタルはイスカの胸を拳でポン、と叩いた。


「一緒に戦って、生き残るぞ。まずそのことを考えろ、イスカ」

「分かっていますよ。僕だってこんなところで死ぬ気はないんですから」


 イスカとアスタルは真正面から視線を交わし、そして不敵に笑った。その時、地震めいた振動がその場にいた全員を襲った。同時に聞こえて来たのは何かがガラガラと崩れ落ちる音、そして金属と金属とがぶつかり合う不快な音。音がした方向を見てみると、ハッチが滅茶苦茶に歪んでいた。


「アレは……まさか、火星軍による攻撃ですか!?」

「そうらしいな。あいつら、こっちの手口をちゃんと分かっているな」


 アスタルは努めて冷静さを保とうとしていたが、こめかみを伝う冷や汗だけは隠せなかった。ハッチを開くことが出来なければ出ることさえ出来ない。

 どうすべきか思案している時、ヘイゼルの声がスピーカーから聞こえた。


『こちら国連軍機甲歩兵小隊司令官、ヘイゼル・クルーガー大佐だ。同隊所属の人員に告ぐ、現在我々は火星軍の攻撃を受けている。オーストラリア方面軍と協調し、戦闘を開始せよ。各々の行動については状況に応じ、臨機応変に判断せよ』

「この状況で冗談を言うとはな。臨機応変に……その場の状況を見て、か」


 アスタルは苦笑したが、とにかく戦えるようになったのは確かだ。バトルウェアならばこの状況を打開することが出来るかもしれない、そう考えて二人は乗機に乗り込んだ。

 乗り込み、機体を起動するのと同時にロナから通信が入った。


『イスカ、キャバリアーの右手に搭載されている武装についてなんだけど……』

「ビームイレイザー、でしたよね? あれがいったいどうしたんですか?」

『集積したデータを元に改修を行った。まだテストも行っていないけど、理論上は一発撃っただけで腕を損壊するようなことはなくなっているはずだよ』

「まったく頼りにならない情報をありがとうございます。いつも通りってことだろう? ぶっつけ本番、こいつを使うしかないってワケだ!」


 ビームイレイザーなら崩落した土砂を消滅させ、ハッチをこじ開けることが出来るかもしれない。イスカは右手を構えながらハッチの方に進んだ。

 アスタルはその後ろに続く。何があってもイスカを守れるように。


「ビームイレイザー起動……頼むぞ、頼むちゃんと保ってくれよ!」


 右掌に青白い光が収束、イスカは右手をハッチに向けた。重力制御フィールド展開、エネルギー充填、発射。形成された重力フィールド内をエネルギーが循環し、球形の高エネルギーフィールドが完成。触れた鋼材を、岩石を即座に溶解させ、この場から消し去る。イレイザーの名にふさわしい破壊力。


「イレイジング・フィールド崩壊ッ……! おおおおおおお!」


 ビームイレイザーは構築した重力フィールド内でビームのエネルギーを循環させることによって、ビーム兵器の弱点であるエネルギーの変換を阻害し威力を確保する。ロナはそこに新たな一手を加えた、意図的な重力フィールドの崩壊だ。

 サーキットを循環していたエネルギーが拡散して行く。球体が前方に向けて膨張していく。五メートル、十メートル、二十メートル……百メートル!


『は、ハッチを塞いでいた堆積物の消滅を外部から確認しました!』


 イレイジング・フィールド、消滅。だがゆっくりもしていられなかった。ビームイレイザーの派手な閃光が敵を呼び込んだのだ。砲弾と銃弾が殺到し、進行を阻む。イスカはシールドを構え攻撃を防ぎつつ、切れ目を待った。

 アスタルは初めての実戦とは思えないほどの俊敏さでイスカの隣に回ると、両腕のシールドで攻撃を凌ぎつつ両肩のキャノンを展開した。


『イスカ、俺が撃ったら進め。敵の目を引きつけるんだ』

「へいへい、結局一番面倒なところは僕任せってことね……!」


 ふっ、とアスタルは薄く笑った。否定してほしかったところだが、仕方がない。両肩のキャノン砲が唸りを上げ、リボルビング弾倉が回転する。

 弧を描くように頭上へと飛んで行った砲弾は空中で炸裂し、細かな散弾の雨を降らせた。硬化チタン散弾砲、比較的至近距離で狙いを付けずに撃つため開発された兵器だ。十二ある弾倉にはそれぞれ別々の砲弾が装填されており、コンピューター制御で搭乗者が望む弾を瞬時に使用することが出来る。


『押し返すぞイスカ。我々の力で奴らをここから追い出す!』

「分かっています、アスタルさん! ここを落とすわけにはいかないんだ!」


 アスタルが作り出した隙を突き、イスカは一気に敵陣へと駆けた。

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