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超ドSな地球の陰謀  作者: 新井S蓋
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第19話 「緑」

翌日木曜日。

2日後に陸上競技会を控えたこの日。

朝のニュースや新聞はこぞって隕石の話題を取り上げ、学校内も、その話でもちきりだった。

そして、この隕石に関して妙な噂が流れていた。

「知ってる?あの隕石墜落現場で露出狂が出るらしいよ」

「しかも女なんだって」


あいつら…。

まだ懲りずに、あそこでう●こをしようといてるのか…。

そう疑った勇太は、昼休みに蒼生と紅緒を体育館裏に呼び出した。

「隕石の場所に露出狂が出るっていう噂…二人じゃないよね?」

「違いますよ」

「なぜ私を疑うんだ」

「だって二人は、あの穴の中にうん…をしようとしてたじゃないか」

「でもそれは、山吹さんが私たちのカプセルを放り込んでくれたんですよね」

「ちゃんと穴に投入できたのなら問題ない」

それは大丈夫だと答えたら、それなら解決していると。

「まさかのぞみ…」

ってことはないよなあ?


「きっと誰か来たんですね」

と蒼生。

「地球に来たのが私たちだけとは限らないからな」

紅緒も、他の星からも来訪者が来ている可能性がある言い出した。

「地球は今、そんなことになっているんだ…」

「地球は注目の的ですよ」

ほかの星の人間が集まってきている…。

「ちょっと確かめよう」


部活帰りに、のぞみも含めた4人で隕石墜落現場に向かった。

穴の周囲には昨夜よりも厳重に黄色いテープが張られ、警察官とニュースを見た野次馬がたくさん集まっていた。

見回した限りでは、全裸で立っている人は見当たらない。それはそうだ。この警察だらけの人混みの中にいたら、すぐに捕まってしまう。

「露出狂って…いわゆるロングコートを着て、その下が裸、みたいな人なのかな」

そしておもむろにコートの前を開いて自身のイチモツを見せる…俺はそんな漫画で見るような典型的な露出狂を想像した。

「でも、女性なんだよな…」

どういう状況なんだろう、俺が想像しあぐねていると蒼生が、

「噂になったのは、昨日の夜ですよね」

「たぶん地球の常識をまだ理解していない奴が、いきなり下着を下ろしてうんこをしようとしたんだろうな」

紅緒はそう分析していた。

「すぐに警察に静止されただろうから、それで学んだはずだ」

「そうすると、何か作戦を考えて来ているはずですね…」

 そんな推測をしながら、蒼生と紅緒は穴の周りの野次馬を注意深く見ていた。

 すると、

「あっあの人怪しいですね」

蒼生が、群衆の中の一人を指さした。

ショートカットの女の子が、手に小さい紙袋を持っていた。まるで鳩にえさをやるように、その袋の中に手を突っ込むと、えさのような粒を穴に向かって投げてこんでいた。

でもあの位置では届かないよな…。

「あの袋に入ってますよ」

俺たち4人は、土手を降りていき、紙袋を持った少女の元まで下りて行った。

そして蒼生がその子に、小さな声をかける。

「うんこが臭いのはなぜでしょう?」

「うんこが臭いのは、人間が食べてしまわないように、という地球の配慮です」

そう答えた紙袋の女の子は、驚いた表情で蒼生と目を合わせた。

これが異星人たちの合言葉なんだな。紅緒との出会いの時もそうだったけど。

確かに地球の人間はこんなこと言わないし…。

蒼生は、野次馬から少し離れた場所までその子を連れていくと、自己紹介をして、俺たちのことも紹介した。

「それで、あなたのことを教えてもらえますか?」

紙袋を手にしたショートカットの女の子は自己紹介を始めた。

「わたしは、緑川若葉って名前です!Ggg345jyから来ましたー」

若葉というショートカット少女は、明るくはきはきと答えた。

「昨日露出狂をしていたというのは、お前なのか?」

紅緒がストレートに聞いた。

「いやあ、ズボンとパンツを脱いでロープをくぐろうとしたら、捕まっちゃったんですよ~」

あっけらかんと笑いながら答える若葉を蒼生がたしなめる。

「地球ではルール違反なんですよ」

「みたいですね!勉強になりました。変な星ですよね~」

若葉が言うには、

地面をアスファルトで覆っていること自体がおかしい。

トイレを水で流すのがおかしい。

トイレだって、なぜ密室になってるのか。恥ずかしがっているのがおかしい。

街頭にうんこがお供えされていないのは不謹慎。

など、昨日地球に来てから色々と許しがたいものが目についたそうだ。


「それで…」

蒼生が若葉に確認した。

「あの穴にうんこを投げ入れようとしてたんですよね?」

「そうなんだけどさ、なかなか届かなくてね…。警察官が見ていないタイミングを見計らって投げてはいるんだけど。あとは手前で落ちたものを、風が運んでくれることを期待するしかないな…」

残念そうに若葉が答えた。

 「あっ緑川さん、色は、うんこは何色なんですか?」

「あぁ、名付けた通り、緑色だよ」

緑…。

蒼生が動揺するのが見て取れた。

それは蒼生が地球の人間と生成しようとしていた色だからだ。


「緑川、地球が緑を求めているかは分からないだろ」

地球が青を求めているというのは、緑川若葉も知っていた。

「でも…」

若葉はそんなことは承知の上なのだという。

「緑に覆われた大地とか、地球にグリーンを取り戻そうとか、意外と地球は緑が好きですよ」

と自信を持ってそう言った。

「でもそれは、植物の緑のことじゃないのか?」

と俺は指摘したのだが、若葉は気にするそぶりも見せない。

「それに…」

蒼生と紅緒を見据えると

「人工競技会第一位のクリエイターである私の作品を、地球がほおっておかないと思うんですよね…」

「えっ」

「人工競技会一位!」

蒼生と紅緒に、明らかな動揺が見えた。

「えっ人工競技会って以前紅緒が言っていた、うん●を比べる宇宙大会とかいう」

「そうですよ」

若葉が笑顔で答えた。

「銀河系ブロックの緑色カテゴリー、工芸ブロックの現タイトルホルダーなんですよ」

「人工競技会で一位って…、地球でいう所のオリンピックの金メダルレベル?」

「まあそうですね。参加人数が全然違いますけど」

「その大会は銀河系レベルだからな」

「人工競技会に参加したことがない地球の人が、想像できないのも仕方ないですね…。

でも、地球そのものは、人工競技会のことを知ってると思いますよ。

しかも、自分の星からは、まだ誰も参加者がいないことを相当悔しく思っているはず…」

地球にとっては憧れの大会で、そこに参加するまで人類が成長していないことを、地球は歯がゆく感じているはずだと若葉は言った。

「そのレベルのうんこを地球は欲しがっていると思うんですよねー」

若葉の言葉に、蒼生と紅緒は頷くしかなかった。

 「私は年齢制限があって、人工競技会は、ジュニアの大会までしか出たことがありません」

蒼生が答えた。

「そこでは上位に入賞させてもらっていましたが、本大会は…」

「本大会の参加資格は16歳以上だからな」

紅緒が補足した。

「まだ私たちには無理だ…」

「じゃあ私の方が一歳お姉さんなのかな…」

若葉は二人を見回しながら言った。

「私は地球に、人工競技会クラスの作品を届けにやってきたんですよー。

いいものを知ることで目覚めてもらうというか…。

絶対地球は、喜んでくれると思うだけどなー」


「確かに」

紅緒は若葉の言い分を認めた。

「地球に人工競技会優勝作品を持ち込むというのは、蒸かしたジャガイモしか知らない田舎の人に、高級レストランのビシソワーズを飲んでもらうようなことだからな…」

色に関係なく、地球が作品そのものになびく可能性は大いにある、と

「私もそう思います」

蒼生が続けた。

「人工競技会一位というブランドに、コンプレックスを抱えた地球の目がくらむ可能性は大いにありますね」

突如現れたライバルに、蒼生と紅緒は動転しているようだった。

だがそこには対抗心はなく、相手の特徴をリスペクトする潔さがあった。

「私は確かに緑色の人間ではあるんですけど、自分の色をどうこうというより、地球への宣教師みたいな感じなんですよー。この価値観のズレた地球という星に、宇宙のスタンダードを伝えたいんです」

それが若葉の地球に来た目的だった。

「地球に新しい文明を受け入れてもらうためには、宇宙でも最高のものをお見せして、そこから理解してもらうしかないんです」

三人は大きくうなづき合った。


俺は、相変わらずこの人たちの言っている事はよく分からなかったが…。

だが…宇宙で一位を取ったという、う●こにはちょっと興味があった…。

そんな俺の内心を見透かしたのか、若葉は

「地球の人たちも、見てみたいでしょー?私の作品」

と誘い水をかけた。

「いや、でもうん●だよな、ちょっと勘弁させ…」

俺はさすがに、う●こが見たいとは言いずらかった。のだが。

「見たいです!」

のぞみがはっきりと返答した。

「銀河系で一番になったっていう、そのうん…見てみたい」

「私もお前のうんこ見せていただきたいな」

紅緒が続いた。

「めったに見られるものじゃないぞ」

「私も…」

蒼生も興味津々だった。

「ぜひお願いします」

三人の目は輝いていた。



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