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名も無き星の冒険者  作者: 流水斎
第ニ章
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暗闇の中で…

「壁よ、長城を築け!重ねて命じる、長城を築け!」

「はぁ!?そんな土の壁でふさいでも、外から崩したら終わりだよ?いよいよもって…」

 俺は4番目の言葉を無視して、土の壁を何枚か作り上げた。

 水が見え始めた辺りではなく、自分達の周囲を完全に塞ぐ為に…。

「…きこえ、てる?そんな物は…」

「聞こえてるよ…。ついでに意味はちゃんとあるから、てめえが騒ぐな!…おやっさん、一応装甲呪文で補強を頼む」

「判った。だが、奴が言う様にそれほど保たんぞ?」

 ドドド……。

 怒鳴り始める4番目の声よりも、いよいよお目見えしたらしい水音の方が強烈になって来る。

 見えて無いのにお目見えと言うのも変だが、視界を塞いだ事にも、壁を作った事にも大きな意味がある。

 奴にこっちを伺わせない事に、大きな意味がな!


「確認しとくが奴は本物だ。俺たちをはめる為に、一番良いタイミングを測る必要があったからな。伯爵が確実に死んだかどうかも含めて、確認しにくるはずだ」

「それで視界を塞いだということか?まあ獣どもの心配をせずに済むのはありがたいがな」

 壁で完全なドームを作った理由は三つある。

 第一に獣たちが先に片付くように仕向ける事、第二に4番目がこっちを確認できない事態を作る事だ。

 最後の一つは確認できないようにってのに似てるが……。

 突然の事態に、『幻覚』の方が保たないってのが最大の理由だった。

「だんまりはもう良いぞ。こっからの動きに設定が対応できないし、時間の方も怪しいもんだ」

「それは助かるが、大丈夫なのか?転移とか水中呼吸呪文の呪文を今から…」

「馬鹿モン。転移なんぞ用意してないし、水中呼吸なんて都合の良い技術があるか」

 我慢しなくても良いと伝えると、後ろに居た最後の一人は、ようやく口を開いた。

 暗闇だから判らないが、伯爵の姿と違和感が生じたはずだ。

 しかしなんだな、無理な事を平気で口にする辺り…。

 いつもの調子で、俺たちの緊張は解れたくらいだ。…ひいき目に見過ぎかな?


「転移は空間系を持ち出してないから無理。モジュールは物理現象だから、人間が不可能な水中呼吸だから無理じゃ。判ったか!」

「そんなに怒らなくても…。貴様も無いか言ったらどうだ?ピンチなのは代わりない」

「…奴はこっちが絶対に逃げれないほど水が溜まってから仕掛けて来る。穴を開けつつ、水中戦用とやらをけしかける為にな」

 元の調子を取り戻したのはおやさんもらしく、怒鳴り声で4番目に気がつかれないか不安だったくらいだ。

 その様子に俺が笑ったのを察したのか。あいつは俺に話題を振りやがった。

 良い機会だから、打開策を伝えておくか。

「おやっさんから聞いたんだが…。三重属性は水中や高重力下でも自分の呪文が使えるんだよな?じゃあ決まりだ、奴が仕掛けたら最大火力で水中用をぶっ放せ」

「確かに使える。前にアマデウスに騙されて、獣の群れに追われて湖の中に飛び込んだ覚えがある」

 何日のことだったとか捕捉するが、良く覚えてるもんだよ…。

 …再開する前日だと言われて、ちょっとだけ俺もドキっとしたけどな。


「これで問題は1つずつ消えてく。獣どもはそろそろ終了、水中用もてめえなら倒せる。…残りの問題はこれで片付くはずだ。『ドミネーターであるアドベンチャーは、同サルマンデルにフィギア・スタッフの全管理を許可する』…どうした?」

「…それって!どう言う事か判ってるのか!?私にその気があったら、今後に貴様のスタッフを…」

 俺はスタッフに搭載している、全ての呪文に関する権限を委ねる事にした。

 本当は、とある呪文1つで済むんだが…。

 呪文用のモジュールを渡して、組み直すだけの時間が無い。

 抱きしめる事で俺は黙らせると、証明が無い事に心の底から感謝する事にした。

 …伯爵の外見相手にしたくないからな。


「…良いから黙って俺の呪文を使え。判ってるな?生成呪文で空気を発生させろ。…ほら受諾はしてくれないのか?」

「いきなり何をすっ……。こんな所でキスなんてしなくても…」

「……」

 唇を奪って黙らせるという、昔ながらの手法で俺は重大な決定を了承させた。

 第三者が隣に居るのに恥ずかしいのはお互い様だが、一分一秒を争う事態だから仕方がねえ。

 おやっさんもその辺の空気を読んだのか、ずっと黙っていてくれてる様だ。

「判った。『ドミネーターである、我サルマンデルは、同アドベンチャーの委託を受諾する』…これからもずっと…で良いかな?」

「ばーか。今更なにをいってやがんだ。使い方が判らなかったら、加算系でてめえの火力呪文にでも上乗せするんだぜ?」

 そう言って俺は手を握りしめて、互いの位置を確認した。

 …時間があったらなーとか思う一方で、そんな状況だったら俺も決断出来て無いだろう。

 水中で俺が呪文を使えたらという過程と同じで、まあ今更に意味が無い想像だったな。


「…奇妙な音が混じってやがる。この音で誘導してんのかね?カウントダウンなんざ無いぞ。腹を括っとけ」

「それならもう出来ているさ。もう、怖い物なんて…」

「あのな。二人っきりの世界は、そこまでにしとけよ」

 キンキンと耳障りな音が、水の落ちる大きな音に混じって聞こえ始める。

 俺は4番目が仕掛けて来るのに気がついて覚悟を決めるように促すんだが…。

 最後の最後でおやっさんが台無しにしてくれた。

 …まあ、死ぬと決まったよりは、随分増しだがね。

 笑いとも苦笑ともつかない表情を、俺は浮かべる事にした。


 さあ4番目。これからてめえの最後だぜ?


ゲーム風解説第45話


@ハザード・ロケーション

 モジュール呪文は基本的に、他の干渉下が大きな場所で呪文は使えません。

これがハザード・ロケーションと呼ばれる場所で、例外は2つのクラスだけです。

初期のころから可能だと書いてある三重属性が一つ目で、二つ目は亜人種の場所指定が適応している場合です。

 今回の話の前に、サルマンデルは湖の中で火力呪文を使っていますが

同じ様に、同じ属性の三重属性ならば誰でも可能です(大抵の場合、クラス:精霊のみですが)

一方、クラス:亜人種の方は指定した属性である場合、二種類の特性を持ちます。

ハザードマップでも呪文が使えるほか、自分の属性として計算する事が可能です。

アマデウスはランダムなので一定しませんが、水中種族なら今回のような水中でも呪文が使え、むしろ強化される事に成ります。


多重属性の特徴より:

1つ:項目1つに使用可能。

2つ:全ての項目に、1つずつ使用可能

3つ:全てのペナルティを受けずに、使用可能。

オマケ:呪文の作成の続き

 前回のオマケで、呪文を作って見ると言う話でしたが、簡単な例をあげます。

回復呪文の初歩として、「手当て」の呪文です。

一番重要なのは、コマンドですので

まずは回復用の水モジュール(水から別に変わる可能性もあります)。

属性に関しては、特に強化しないのであれば、不要ですのでモジュール・エネルギーそのものを当て、代用します。

最後に投射パターンですが、直接触る事で代用できますので、接触呪文として使用する事にします。


「手当て」の呪文:コスト3

コマンド:回復(水):サイコロ2つ分

属性:M力(代用)

投射:接触(代用)

強化:なし

 この呪文を使用することで、サイコロ2つ分の回復が出来ます。

欠点としては、触らないと治癒できないので、仲間の治癒には向かない事になります。


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