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名も無き星の冒険者  作者: 流水斎
第ニ章
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詰将棋の行方

「随分と粘るじゃないか。穴熊のように閉じこもって、他の仲間達が来るまで籠城する気かい?」

「ぬかせ。てめえこそ逃げるに逃げられねえで、どうしようか迷ってんだろ」

 土壁で半分覆ってる~、形の上では籠城戦で間違いがないんだが…。

 俺たちは後先を考えないハイペースで、獣たちを一体ずつ潰して行く。

 4番目はそれを判って居て、土壁の中に隠れきらない様に、言葉で攻め立て…。

 俺達の方も、奴が態度を変えない様に、見える範囲に姿を晒していた。


「それだけ多汗をかいて、無理しない方が良いんじゃないかい?君はともかく、クロガネの方は御年を召している。伯爵にも協力してもらった方が良いんじゃないかなぁ?」

「わしが年寄りだと!?」

「おやっさん、安い挑発に乗らねえでくれよ。それとだ、『伯爵』は4番目対策の為にも動かねえでくれ」

 勝負の決め手は伯爵を守れるか、より正しくは、伯爵が奴を封じられるかだ。

 4番目としては殺すなり重傷に追い込めば勝ちだし、本当に籠るなら逃げ出せば良い。

 逆に俺たちは、伯爵をフリーハンドにして温存する限り、奴の行動を封じておける。

 その上で、どちらがより上を行くかが…問題なのだ。

 ズズン……! パラパラ…。

 先ほどから何度も聞こえる、強大な呪文の炸裂音がカウントダウン。

 時間は残り少ねえ、そろそろ勝負を掛けたいんだが…。


「さて、そろそろ決めてしまうとするかな。…このレベルの呪文を連発できるなんて、サルマンデルって頭おかしいんじゃないかな。あんな化け物に殺されたくはないんでね」

「…っ!」

「(止せ、俺が話す)。…そっちには尻に火がついたみたいだな。獣どもは沢山いる上に、物理攻撃が効かない癖に良く言うぜ」

 轟々と唸る洞穴の入り口に対し、4番目は肩を竦めて苦笑いを浮かべやがった。

 奴が本当に恐れているのは、獣たちを一掃されて伯爵がフリーに成る事。

 …そして、何を考えているか判らないアマデウスが、奴と俺たちのどちらかに協力する事だった。

 まあ、俺としてもアマデウスが来てから勝負を掛けるのは止めて欲しいがね。


「ここで質問です。なんでボクはノコノコと君たちの前に姿を現したでしょう?1番、獣で殺したかった。2番、君たちが警戒している呪文を使える獣で追いつめたかった。3番…」

「…ん?(伏せておいた獣で狙うんじゃねえのか?てっきり奴の切り札は、二枚目の…)」

 自慢げに4番目は指をクイズタイムと洒落込みやがった。

 その途中で、アッサリネタばらしをした時、俺は首を傾げる。

 表で戦ってるドラゴン級のモンスターを、俺たちが疲弊するなり、油断した処を狙うと思ったんだが。

 …勘違いを前提としていた事で、俺の心に初めて焦りが浮かぶ。

 奴は一体全体、何をやらかすつもり…。

「なんだ、この音は?呪文の炸裂音じゃねえ?」

「そのとーり!ボクはねえ、最初っから君達と命のやり取りをする気なんて無いんだよ。罠が動き出すまで時間を稼げれば、それで良かったんだ!」

「なんじゃと!?大きなモジュールの反応はせんかったぞ!?」

 呪文の炸裂音や、獣たちの唸り紛れて奇妙な音が入り始める。

 洞窟全体を揺らす震動音…。

 だがそれはゆっくりと大きく、時間が経つごとに加速度を増す強さだ。

 おやっさんは改めてモジュールの反応を確認していたようだが、何の反応も無い事に驚愕を現している。


「ばーか。最新技術だからって、何でもかんでもモジュールに頼るわけが無いじゃないか。…ああ、勿論。呪文を使える生物は用意したよ。『水中戦』に特化した奴をねええ!!」

「なっ!天井崩しか!?やべえ、鉄砲水か何かを誘発しやがった!さっさとズラかるぞ!」

「無茶を言うな!獣に囲まれては逃げられる物も逃げられやせんわ!」

 やられた!

 俺とした事が…。

 いつもモジュールに頼らない方が良いとかいって、未知の相手には警戒し過ぎるほど警戒していたのに。

 歯ぎしりする思いで、俺は追い詰められている事を悟った。

 洞窟の重要基部を崩すなり、呪文を使うにしても、そこで大量を水を作り続けるなりしてたのだ。

 4番目が物理的に死なない事を考えると、攻防一体型で、水中戦を考えると万が一にも間違いの無い方法だっただろう。


「くそっ。単純な読み合いは俺の負けか…。てめえと心中する事になるとはな…」

「はあぁ?ピンチになって頭がおかしくなったのかな。君がいったんだろ、ボクは物理的には死なないってさ」

 負け惜しみだが、4番目が確実に倒せるなら悪い結末じゃないのか?

 いや、俺たちの全員が生きて帰らなきゃ、絶対にシコリが残る。

 何か考えないと。

 でねえと、せっかく伯爵を連れて来ていない事が、全て無駄になっちまう!

 それに俺を信じて黙っていてくれる『あいつ』にも、悪いしな…。


「っ!そうかその方法があった。間に合ってくれよ!」

 俺は必死の思いで呪文を繰り出した。

 間に合ってくれ!!


ゲーム風解説第34回


@呪文の組み方

作中で何度か書いて居るのですが、現代風に説明を。

まず呪文は基本的に、次の主要部3つと強化項目で構成されます。


判り易く考える為に

色の違うビー玉などを用いて考えてみます。


もっとも重要なのはコマンドで、これを現すビー玉(硝子玉)を先頭に据えてみます。

表を作って、何が何に対応するか調べないといけないとしたら、この欄になります。

 何の呪文にしたいかで選びましょう。

コモンだと火なら攻撃、風なら浮遊。

アンコモンだと重力は内容加算(コマンドでも射程でもいい)、雷は情報伝達です。

最も重要だけに、代用が効きにくいのが特徴に成ります。


2つめは属性で、コマンドの後ろにビー玉を置いてみましょう。

気にしない場合は、ビー玉の色が属性と考えてみます。

これを入れ変えることで、火の呪文、風の呪文となります。

エネルギーそのもので代用できますし、属性を気にしないならそれほど重要でも無いでしょう。

ここで意味を見出し、重要だと思うのは使い手の方です。

生成呪文を使う場合は、ここの属性の物が発生しますし、上位下位の属性に影響を与えるスキルもありますので。


3つ目が投射パターンで、この部分で射程や範囲が変わります。

火なら弾丸で射程30m、風なら放射状の三角形、空間ならその周囲全体になります。


最後に、強化項目があり

この項目に追加すると、ダメージ+2だとか、射程+2だとか、少しずつ強化されます。

効果自体は少ないのですが、この項目は加算系がなくとも追加できるので、便利にな強化が可能です。

(だだし、エネルギーを使い果たして6時間の待機が必要なのは、その場で組み合わせる場合と同じ)


@オマケ:クラス:学生

クラス特典:学園のアイテムを、借りる事が出来る。教師の許可があればクラスチェンジ可能。

 初期クラスの1つで、フリーな能力振り分けポイント3p。

特典は学園が用意した教材を使って、呪文の実演や、探索活動が可能な事です。

ゲームに慣れない内は、学生から始めて、ルールを覚えてからクラスチェンジすると良いかもしれません。


なお、学生とは言え

基本的に全員がエージェントなので、研究分野や近場の探索が役目と成ります。


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