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名も無き星の冒険者  作者: 流水斎
第ニ章
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水の中の灯

『死ね、死ね死ねええ!!』

 ゴッ、ガキ!

 攻撃されたのか、4番目の操る呪文によって土の壁で作ったドームに亀裂が入る。

 既に相当な水で周囲が埋まっているらしく、徐々に水が浸み出して…。

 つーか、奴の呪文の連発によって音が聞こえるレベルだ。

「外は完全に水で埋まってない分、流れが強いから気をつけろよ!!」

「貴様も流されて死ぬな!絶対に生きて…」

 あいつの声がした後で、メキメキと崩れる音。

 そして流れ込む水が、冷たさでもって実感できた。

 まだだ…、まだこっちから攻撃を仕掛けるんじゃねえ。

 どうせ4番目には攻撃呪文が効かないんだ、奴が連れてる水中型の位置が判るまで…。

 攻撃どころか、灯りも…っ!


「速く倒せよ!わしは水が苦手…っ」

「おやっさっ!!」

「う……わあぁぁ!!!」

 冷静に対処できたのは、そこまでだった。

 4番目が論理的に行動してくる分、推測は出来る。

 だが、圧倒的な量の水の前には無力だ。

 思わず呪文を使いそうになるが、水によって周囲に溢れる干渉波で発動すらしない。


「(くそっ。モジュールどころか、身動きすらっ。あいつらは無事な……っぐああ)」

 冷たい感触と、濁流による強烈な水圧。

 どこまでも続く暗闇と、入り口は上の方から漏れる光の柱。

 俺は自分で作った土壁に押し付けられて、閉じていた口から絶叫するほどの痛みを感じた。

 おやっさんに俺達たちにも装甲呪文を掛けてもらったと思う間もなく、濁流の流れによって、今度は外に押し出されて行く。

 …それとも、土の壁が壊れて、そのまま流されているのか!?


「(やべえ…。右も左も判ら、ねえ。水ものんじまったし…、上…いや、空気のある場所を探さないと!)」

 もみくちゃにされながら、俺は空気を求めて明るい方へ向かった。

 だが、洞穴いっぱいではなく、中途半端に水で埋められている為…、供給先からドンドン流れが来やがる。

 そここそが確実に空気があるというのに、俺はむしろ反対側へと流されて…。

 こうなったら、入り口の方へ…。


「がっあああ!!!」

 っ何か、忘れてないか?

 ヤバイ!

 我に返って、そう思う前に、俺は食いつかれて強烈な痛みを受ける。

 絶叫すれば当然の様に、口いっぱいの水が入り込んでしまう。

 したたかに水をのみ、意識があっという間に…、狩り取られる時が来た。

「(向こうに灯が?、あれは…。だめ、だ。もう意識が…)」

 あれはあいつか、それとも伯爵たちか、確認するよりも前に…。

 俺は別の震動によって、打ちのめされる事になった。


『弾けろ!?』

 強烈な閃光と爆音が…、彼方から俺の視界を埋め尽くす。

 その言葉は、聞こえるはずの無い声だ。

 …だが、俺は不思議と、あいつの声であるような気がした。

 違っても構うもんか…、どうせ死ぬなら…、最後にはあいつの声を…。

 せめて、もっと…。


 ここで視点は、再び、ガラリと入れ替わる。

 気絶したアドベンチャーから、この場に有る別の視点へ。

 それがサルマンデルやエキスマキナであるのか、それとも別の何かであるかは、置いて置こう。



「さっ、サルマンデル!?どうして君がここに!」

「私は頭がおかしいんだって?だから此処にいるんじゃないか?ひとまず、そこの目障りな奴は……。消えろおおお!!!」

 ゴウン!

 強烈な攻撃呪文によって、水中型の生物は少なからぬダメージを受けた。

 …もし、直撃さるつもりであれば、エキスマキナと呼ばれる情報体も巻き込まれていたはずだった。

 もちろん、物理的な肉体がないからというのもあるが…。

 怒りに燃えるサルマンデルが覚えているとも思えない。つまり、もっと優先する事があったのだ。

「弾けろ、弾けろ!…くそっ、こんなんじゃ威力が足りない…。周囲一面、砕け散れ」

「うわっ!モジュールのユニットがあるって言ったのに…。遠慮なく攻撃して。…何を考えてるんだ!?……いや、待てよ?なんでサルマンデルの声が…」

 次々に叩きつける攻撃呪文は、素早く動く回る水中生物にの周囲を薙ぎ払う。

 だが、狙いが甘いのか、それとも別の理由があるのか、直撃したのはほんの一部だ。

 一見狂乱したかに見える行動に不信感を覚えていたエキスマキナは、ようやく本命に気がついたのである。

「き、君は…。岩肌を壊そうとしたのか!…ばっ、馬鹿じゃないのか!そんな事をしたらこの洞穴が完全に崩れかねないぞ!…ボクはともかく君たちは…」

「モジュールの干渉波で直接的な破壊が出来ないのが残念だ。…判らないか?それで良い、貴様に判る必要は無い!」

 驚きながらも、エキスマキナは攻撃呪文を打ち放つ。

 それがサルマンデルに直撃し、少なからぬ傷を与えるのに…。

 彼女は躊躇なく呪文を連発する。

 外苑の一部で破壊できれば、周囲を埋める水が、もっともっと外へ流れ出るからだ。

 そうすれば、自分がしているようにアドベンチャーにも空気が渡るかもしれない。

 そう祈って、彼女は呪文を打ち続ける。


「なんだ。水中戦用といっても、こんなものか…。ああ、そうか、貴様…。あのドラゴンクラスが用意できなかったんだな?」

「きぃぃ…。うるさい、溺れかけの癖に!確実に殺してやる!」

 そうして先に墜ちたのは、逃げ回っていた生物の方だった。

 どんな外見か確認するよりも先に、攻撃呪文でたたき落とされる。

 サルマンデルの言葉はエキスマキナは痛い所をついたようで、激昂しながら更なる攻撃呪文を撃とうとした。


 それが、エキスマキナの、最大の失敗だったろう。

 この時点で足止め出来たと判断し、さっさと逃げ出せば…彼の勝利だったのだから。


ゲーム風解説第36回


ジュエル素材によるモジュール属性の取得:

頻繁に手に入れる事のできるコモンのモジュールの中で

属性に指定できるのは、ほんの一部です。

これは、全ての属性を取得可能な場合、選択に時間が掛かるからですが

よく使う属性に絞ることで、ミスし難くなっています。

 ジュエル素材の対応は、パワーストーンの専門家ではない者がイメージで決めた物ですので

違和感がある場合や、他の属性の方が相応しい場合は

提案し、説得力があれば入れ変えたり、新しく追加する事が出来ます。

その場合は、生徒ならば教師並の委員長。普通のエージェントならばアークエージェントに昇格できます。


ルビー:火属性:攻撃(サイコロ2つぶんのダメージ)

サファイア:風:浮遊(強化値次第では、飛行も可能)

エスメラルダ:水:回復(サイコロ2つ分の回復)

琥珀:木:機構起動(鍵を掛ける・車輪が回るなど。道具のイメージ)

ダイヤモンド:土:5p分の装甲値

(石でHP、クリスタルでMP)


他に、ジュエル系ではないものの、アイテムとして取得可能な属性があったり

将来的に追加される物もあります


他に可能な例:

光:生成(指定した自然物が発生する)

金:効果値+1(効果が+1される強力な物だが、欠点も多い):シナリオ報酬限定?


追加される候補例:

アレキサンドライト:ルビーとエスメラルダの同時属性。少し希少性が高い

ムーンストーン:月:精神への干渉変更

オリハ・リ・コン:太陽:物理への干渉変更。これはインゴットとしても計算可能。少し希少性が高い

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