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召喚五日目|誰も疑わない手順

五日目。


王様って忙しい。


何してるかわからないくらい忙しい。


昨日見た王、

ずっと書類見てた。


本当にずっと。


途中で窓見たりもしない。


肩こらないのかな。


体あるのに。


謁見室は静かだった。


声はいっぱいある。


でも音は少ない。


靴音も小さいし、

咳払いも途中で消える。


みんな大きな声出さない。


たぶん高い天井のせい。


大声出すと負ける気がする。


あの部屋そんな感じだった。


書類の話、

最初は何言ってるのかわからなかった。


第三とか第二とか第一とか。


数字減ってるのに、

手順は増えてた。


不思議だった。


紙一枚が旅してる。


人間より移動してる。


俺よりはしてないけど。


侍従長って人、

ずっと疲れてた。


顔には出してない。


でも返事の速さが少し遅かった。


一拍だけ。


たぶん気づいてたんだと思う。


変だって。


でも変だと思うのと、

変えるのは別なんだよな。


俺も最近少しわかる。


王は面白かった。


怒るかと思った。


怒らなかった。


代わりに止めた。


「続けなくていい」


あれ結構好きな言い方だった。


全部聞いてから考える人じゃなくて、

途中で理解する人の言い方。


たぶん頭いい。


根拠はない。


でも六十年って言われた時、

目だけ少し動いた。


人間、

驚いた時に顔じゃなくて視線だけ動く時ある。


あの王そうだった。


あと気になったのは、

誰も「なぜ」を持ってなかったこと。


手順はあった。


役職もあった。


書類もあった。


でも理由だけ消えてた。


理由って、

紙より先に無くなるらしい。


初めて知った。


帰る時、

王が俺の名前聞いた。


あれ少し嬉しかった。


この世界来てから、

名前確認されたの二回目くらいだし。


スライムはたぶん聞いてない。


村人は途中で忘れてた。


盗賊は変な声って呼んでた。


剣士は最後まで呼ばなかった。


だから名前聞かれると、

少しだけ存在した気分になる。


体ないけど。


王は最後、

迷惑な声だったって言った。


たぶん褒め言葉だと思う。


違うかもしれない。


でも今のところ、

一番気に入ってる評価。


根拠はないけど。

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