教室を出て
教室を出て3時間は歩いた。
さっきのふくよかな男子生徒が言っていた通り、総合的に身体能力が強化されているらしい。
今のところ疲れは見えない。
「それで、そろそろ聞かせてもらってもいい? 」
「まず何故僕たちがここにいたのかを考えた」
さんざん考えたが情報がたりなさすぎて理由がわからない。
ただし人間の仕業とは考えにくい。
こちらの世界に転移する方法、という件については人間でも可能なのかもしれない。
仮に、こちらの世界に魔法があって異世界の人を呼び出す力があるという前提だが。
そこまでは人間でも可能だがその場合教室もろとも転移させる意味もわからないし、何より個々にそれぞれの私物や関係の深いものを持たせた理由。
それらは人間技だと難しいだろう。
「それじゃあ人間以外が引き起こしたと? 」
「魔法があるんだ、人間以外の介入なんて考えて当然だろ? 」
個人的に神という言葉は使いたくはない。
けどそれに近い者が今回の騒動の原因だろう。
ただしこれはあくまでも仮説に過ぎない。
それも最も可能性の低い、そして最も望んでない仮説だ。
「そのことから考えると、あの教室は一時的に用意された拠点とでも言うのかな」
「それに何か問題が? 」
あの教室はあくまでも『一時的な』拠点に過ぎない。
ゲームや小説、漫画の知識に起因してしまうところもあるが、おそらく今頃あの教室は何かしらの攻撃を受けているだろう。
おそらく、野生動物による物量作戦かなにかだろうか。
「それじゃあみんなは!? 」
「いや、多分大丈夫だろう。
さっきふくよかな彼がやってたけど椅子を素手でぐにゃぐにゃにまげていたからね
あんなことが素手でできるなら、野生動物くらいならなんとかできるだろう」
「ふくよかな……あぁ高橋くん? 」
「そうそう高橋、あいつがやってたけどね。
とりあえずあれだけできる人間が……人数的に20人は残っていたんだから問題はないだろうね」
これは表向きの発言だ。
実際野生動物の群れに襲われたら、たった20人が好き勝手に戦ったところで撃退はできない。
それどころか蹂躙されるには十分すぎる条件がそろっている。
「春樹がそう言うなら一安心だけど……
でもこれから街を探すんだよね。
どうするの? 」
「川を探す。
2時間ほど山を目指して歩いた。
それから1時間、今までは川を探した。
川が見つかったら、その川沿いに進む。
そうすればどこかで街なり村なりを見かけることができるかも知れない。
無闇矢鱈に歩きまわるよりはましだ」
その先のことは考えていない。
ただやれることだけをやるだけだ。




