予定決定
「美鶴話があるんだ」
宿に帰って、僕の空間に入って美鶴に今後の事を提案する。
美鶴はしばらくこの街に残って常識を学びつつ戦闘の基礎を築くという方針を推している。
僕としてもその考えには賛成だ。
だから僕はその考えを掘り下げる。
「二日後に敵馬車がこの街を発つ。
それには乗らないが10日毎にその馬車は出ているそうだ。
そこで、この街にいる期間を決めたい」
「期間……そうだね。
たしかにだらだらとこの町に滞在し続けるのはあまりよくないかも」
「そう、そこで僕はひと月滞在したいと思っているんだ」
ひと月、という期間に特に理由はない。
しいて言うなら区切りがいいというだけだ。
「ひと月……私と春樹の戦闘の基盤固めと常識の勉強。
それから街の探索だよね、少し長くない」
「そこにもう一つ、商人としての仕入れを加えたらちょうどいいくらいじゃないかな」
「でもそれは街の探索とかぶらない? 」
「いい商品を安く仕入れる、となると探索とは分けたほうがいいでしょう」
僕の言葉に美鶴が顎を抑えて考え込む。
それから数十秒が建って顔を上げた。
「明日からの二日間で徹底的に街を探索します。
それから10日、本当はもっと時間が欲しいけれど戦闘の基盤固めをします。
更に二日かけて再び町の探索。
五日間で仕入れを行います。
残った三日を常識の勉強に使います」
美鶴は自分の考えを、しっかりと練り上げた状態で伝えようとすると敬語になる癖がある。
だからと言って今までは思い付きだったというわけではない。
「そのスケジュールならまぁ……けれど20日にこだわる理由は? 」
「……えーと」
美鶴はとにかく期限を詰めたがる。
要するに余裕を持って行動することを嫌う性格だ。
それは期限ぎりぎりに行動をするという事ではなく、ぎりぎりまで仕事を詰めたがる。
夏休みの宿題を7月中に終わらせたいタイプ、とでもいえばわかりやすいだろうか。
「美鶴の性格は理解しているけれど、今回は少し余裕を持って行動しよう。
ここは僕達の勝手が通用しない世界なんだ」
「そう、だね」
「けれどスケジュールはさっき美鶴が提案したものを使おう。
しいて言うなら常識の勉強と戦闘技術を最優先に……そうだな、常識をいの一番で戦闘技術はその次に。
それが終わってから街の探索と買い出しを行おう。
それで残った十日で足りていない部分を補う感じにしようか」
「うん」
僕の提案に美鶴は深く頷いてくれた。
その表情は悲しげでも切なげでもなく、今後の方針が決まったことに対するひとまずの安堵と、その先を案ずる不安が見て取れた。
恐らく今僕も同じような表情をしているのだろう。
少し見詰め合って、互いに微笑んでしまったが気を引き締めていこう。




