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召喚術の支配者  作者: 人間失格
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屋台と反省

フルーツ串のおかげか美鶴の機嫌は良くなった。

とはいえ食事を中途半端に切り上げてしまったため、まだ腹五分目にも満たない。

仕方ないので近くの屋台で腹を満たすことにする。


「春樹、あれ食べない? 」


美鶴が指さした先にはセン鳥の串焼きと書かれた屋台がある。

焼き鳥のようなものだろうか、なんにせよ腹を満たすにはちょうどいいかも知れない。


「二つください」


店主に表示された金額を二つ分払い、代わりにセン鳥の串焼きを二つ受け取る。

焼き鳥、という解釈ではあっていたがその見た目はだいぶ違っていた。

羽をむしったままの小さな鳥が3羽まるごと串刺しにされていた。

見た目から少し食欲が失せたのもあるがどう食べればいいかわからずまじまじと串焼きを眺める。


「おや、兄ちゃん方コイツは初めてかい?

骨もさっくり食えるからまるごといってくれ。

味は保証するぞ」


僕たちの様子を見てか店主が教えてくれた。

少し忌避感はあったが、思い切って1羽口に含んで咀嚼する。

まず肉の弾力を感じ、次に骨にはが当たったがシャリッという小気味のいい食感を残して内蔵に届く。

そして噛み切ると口の中に鳥の味とソースの味が広がる。

ソースのせいか、内蔵や鳥の臭みは一切ない。

美鶴を見ると既に2羽目を食べ終えていた。


「……うん、うまかった」


僕が3羽目を食べ終えると美鶴に手を引かれる。

それに流されるままに屋台をめぐって腹を満たした。


最終的に腹が満たされてから、美鶴と宿に戻ることにした。

部屋に戻り、鍵を閉め、僕の部屋への扉を召喚する。

中に入って台所でコーヒーを二人分用意して美鶴と向き合うように座った。


「美鶴、さっきの酒場での件だが」


僕がそう切り出す。

美鶴が怒る気もわかる。

けれど、あそこで僕が間に入らなければあの人たちは死んでいた。


「反省しています……持っている獲物を忘れていました」


今美鶴が持っているのは両刃の片手剣が二本だ。

普段美鶴が持ち歩いていた竹刀や木刀に比べて殺傷能力が高すぎる。

こうなってくると刃を潰した剣でも渡しておいたほうがいいかもしれない。


「ごめんなさい」


美鶴は目に見えて凹んでいる。

目の前のコーヒーにすら手を付けようとしない。

普段であればマグカップから手を離すことすら希なのにだ。


「気にするな、とは言えないけど気負いすぎてもダメだよ」


僕に言えるのはこれだけだ。

カードの中には美鶴が望むような武器があるかもしれない。

武具店で特注で頼めばどうにかなるかもしれない。

けど、今回は美鶴に現状を把握してもらおう。

今自分が持っている獲物の殺傷力。

僕たちが有している力。

こちらの世界の常識。

どれか一つでも忘れたら大惨事になりかねない。

そのことは身を持って知ってもらうしかない。

そう考えると今回の暴走は悪くないタイミングだったのかもしれない。


もしこれが美鶴が単独行動をとっているときに起こっていたら、転がる死体と捕まる美鶴という構図になっていたかもしれない。

僕としてはそうなったら美鶴を連れて逃げるつもりだけど、右も左もわからない今そんな逃亡生活はお断りだ。


「わかっているならそれでいい、対処法もわかっているなら何も言わない。

正当な理由があって危害を加えるなら黙認する。

けど、あまり無茶はしないでね」


僕に言えるのはこれだけだ。

美鶴もこくりと頷いて、冷めたコーヒーをすすった。

それからは再び宿の部屋にデコイ、チャプター、ハンターを設置して、僕の部屋でカードを眺めたり筋トレに励んだりとそれぞれの時間を過ごした。


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