↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚術の支配者  作者: 人間失格
PR
15/36

魔法店

「あぁそうだ、少し高くてもいいんで安全な宿はありませんか」


「この門から入った通りにある宿屋ならどこも安全だ。

往来の目の前でもめ事起すような輩はさすがにいないからな」


僕の質問に兵士が答えてくれたが、その回答から考えると裏通りにはもめ事を起こす輩がいるという事だろう。


「ついでで教えとくと一番お勧めするのは星の知恵という宿が一番安い。

その分壁が薄いから会話を聞かれる可能性はある。

逆に一番高いのは銀の夢という宿屋だ。

ここは飯もうまいし、個人情報も秘匿してくれる。

その中間は熊の荒野、何もかも中級の宿だ」


「ご丁寧にどうも、お礼にさっきの本でもいかがですか」


「う……いらん」


「そうですか、では熊の荒野に行ってみます」


僕のカードがあるので部屋はある程度安くてもいい。

ただし個人情報はある程度秘匿されていた方がいい。


「美鶴、そろそろ行こう」


まだ僕の服の裾をつかんで兵士をちらちらとみている美鶴を連れて街に入った。


まずはさっき兵士から聞いた熊の荒野を目指す。

辺りを見渡しながら大通りを歩いているとまず星の知恵と書かれた宿屋が見つかった。

兵士の話だと最も安い宿屋らしい。

その外観は、多少古いようだが別段汚くはない。

最悪の場合この宿屋に泊ろう。


それから数十メートル歩いたところで熊の荒野を見つけた。

星の知恵よりも幾分かきれいな建物だ。


「二人部屋を頼む、日数は決めていないがしばらく世話になると思う」


必要最低限の会話で受け付けを済ませる。

出来れば少し休んで、それから大通りだけでもどんな店があるのかを調べておきたい。


「三日分、420シンの先払いですがよろしいですか」


「すみません、ほかの国から来たのでこの国の貨幣がいまいちわからないのですが」


そういってポケットから、村長から受け取った金貨をとりだす。


「これ一枚で1000シンです。

お返しの方が……えっと……」


「580シンですよね」


「……はいそうです。

580シンのお返しです」


宿屋の店員から銀貨と銅貨を受け取る。

大体わかってきた。


「鍵はこちらをお使いください。

部屋は二回です」


鍵を受け取って僕と美鶴は二階に上がった。

そして指定された部屋に入ると荷物を床に投げ出し、二人でベッドに倒れこんだ。

最近はペガサスに乗っていたため、久しぶりの徒歩は堪えた。


「村長、ずいぶんたくさんお金くれたんだね」


「あれ一枚で1000なら10万くらいはあるんじゃないかな」


「それを断るくらいにセレナ王国が嫌いだったんだね」


「そうなんだね」


適当な会話をしつつ、ゆっくり起き上がる。


「荷物は僕の部屋において大通りの探索に行こうか」


そういってカードを使い、僕の部屋に荷物を投げ込む。

美鶴はぐったりしているが、見知らぬ人との会話が堪えたようだ。


「大丈夫?

つらいなら僕の部屋で休んでいてもいいよ」


僕の言葉に美鶴はうなずいて、扉の向こうにある僕のベッドで丸くなってしまった。


それから扉を消して、宿の従業員に出かける事を伝えて大通りに出る。

まずこの場所を確認して、周囲を見渡す。

最初に目についたのは魔法店という店だった。

今気づいたが、なぜか文字は読めるようだ。


それにしても魔法店、なにが売っているのか気になって店に入る。


「いらっしゃい」


店員が迎え入れてくれたが黒いワンピースの女性は妙な色気を放っている。

その姿から黒豹を思い浮かべた。


「ここは何を扱っているんですか」


「おや、何も知らずに入ってきたのかい坊や」


十代後半になって坊やと呼ばれるとは思わなかったが店員の外見から反論しにくい。

いや、相手が30を超えているなら僕は坊やなのかもしれないが。


「駆け出しの商人でしてね、いろいろな品物を仕入れるために世界を旅してこいと親に追い出されてしまったんですよ」


「あぁ、なんだい。

ってことは冷やかしかい」


「いえ、面白そうなものがあれば買っていこうかとも考えています」


「ふぅん」


そう言って店員の女性は胸元からタバコの入ったケースを取り出し、火をつけた。

店中にタバコの煙が充満するが、女性は気にする様子もない。


「この店の扱っている商品は魔法に関する物さ。

魔法使いの杖や、魔力の底上げに使う果実、ほかにも魔法に関係していれば大体の物は扱っている」


そういわれて店を見渡すと、確かにローブや杖、宝石なんかもおいてある。

そこでふと思い出して質問をぶつける。


「あなたも魔法使いで? 」


そう聞きながら彼女のステータスを数値化する。

すると魔力の欄は130と書かれていた。

これで彼女が魔法使いなら僕は規格外という事になってしまう。


「私は魔法使いだよ。

決まっているじゃないか、魔法使いじゃなけりゃここにある商品の取り扱いはどうするんだい」


やはり僕は少々規格外だったらしい。

ただ130で魔法使いとなると美鶴も魔力は100だから……。

いや、ステータスの基準が分からないから考えるのはもう少し待とう。


「それで、どうするんだい坊や」


「ふむ、これで買えるものは何がありますか」


そういってポケットから金貨を三枚取り出す。

たしか3,000シンだったか。

貨幣価値も少し学んでおきたい。


「それならこの店にある物の大半は買えるね。

けれどどれか一つだけだ」


「高価なんですね」


「そりゃそうさ、魔法使いなんて生まれついての才能と血のにじむような訓練を経てようやくなれるんだ。

そんな手間をかけるなら剣の方が楽だという人のが圧倒的に多いのさ。

そうなれば当然職人も少ないし、出回る数も減る」


「そして希少価値ばかりが高くなり、必然的に価格も跳ね上がる」


最後に僕が付け加えると先ほどまで顔をしかめていた女性は、その口元をゆがませて僕の肩をたたいてきた。


「わかっているじゃないか、さすが商人の卵だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。