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第48話 統合体


無数の神が、一斉に動く。


だが――バラバラじゃない。


一つの意思。


一つの流れ。


まるで巨大な生き物のように、連動して襲いかかってくる。


リョウが歯を食いしばる。


「……全部繋がってる!」


サクヤはすでに踏み込んでいた。


「なら、まとめて斬る」


最短距離。


一直線。


だが。


途中で軌道を変える神。


遮る神。


囮のように動く神。


完全に“戦術”を持っている。


サクヤの一撃が、空を切る。


「……厄介だな」


リョウが叫ぶ。


「個別じゃない! 中枢が全部動かしてる!」


つまり。


本体は一つ。


あれを止めない限り、終わらない。


サクヤが言う。


「道を開けろ」


リョウが頷く。


「任せろ!」


核を握る。


ドクン!!


今までとは違う。


数が多すぎる。


だが――


やるしかない。


流れを見る。


無数の線。


それを一つずつじゃない。


まとめて掴む。


「……来い!!」


ドクン!!!


強引に干渉。


神の動きが、一瞬止まる。


完全ではない。


だが。


連携が乱れる。


サクヤがその隙を突く。


「――斬る」


ザン!!


まとめて数体が裂ける。


だが、すぐに再構成される。


リョウが叫ぶ。


「キリがねえ!!」


中枢神が言う。


『無意味』


『個別破壊 非効率』


冷たい声。


その通りだ。


サクヤも理解している。


「……直接行く」


リョウが叫ぶ。


「援護する!」


だが。


その瞬間。


視界が歪む。


中枢神が、手を動かす。


空間そのものが変わる。


サクヤの足元が、沈む。


リョウの体が、引きずられる。


「……っ!?」


重力が、狂う。


上下が曖昧になる。


中枢神の声。


『環境制御』


サクヤが舌打ちする。


「……空間ごと来るか」


リョウが歯を食いしばる。


「チートすぎんだろ……!」


だが。


止まらない。


中枢神がさらに手を動かす。


神たちが、一つに集まり始める。


圧縮。


融合。


巨大な塊へ。


リョウの顔が変わる。


「……まずい」


サクヤが言う。


「何が」


リョウは叫ぶ。


「さっきのよりデカいの来る!!」


しかも。


中枢制御付き。


比べ物にならない。


サクヤが構える。


「壊す」


リョウが叫ぶ。


「だから簡単に言うな!!」


だが。


その言葉に、迷いはない。


リョウは笑う。


「……ほんと、ブレねえな」


核を握る。


ドクン。


「じゃあ、合わせる」


視界を深くする。


神の流れ。


中枢の流れ。


すべて。


一つの巨大な循環。


それを――


「……断つ」


中枢神が言う。


『干渉 検知』


リョウが叫ぶ。


「遅え!!」


ドクン!!!


今までで最大の干渉。


全体に。


一瞬だけ。


完全停止。


世界が止まる。


サクヤの目が見開かれる。


「……!」


その一瞬。


時間が、与えられる。


リョウが叫ぶ。


「今だぁぁ!!」


サクヤが動く。


全力。


最速。


最短。


中枢へ一直線。


巨大な統合体の中心。


そこにいる“核”。


中枢神。


振りかぶる。


「――斬る」


ザン!!


一閃。


世界が、割れる。


中枢神の体に、深い亀裂。


空間が揺れる。


統合体が崩れる。


神たちの連携が、切れる。


だが――


中枢神は倒れない。


ゆっくりと顔を上げる。


『……損傷』


その声に。


わずかな“怒り”。


初めての感情。


リョウが息を荒げる。


「……効いてる」


サクヤが言う。


「もう一回だ」


だが。


リョウの体が崩れる。


「……っ!」


限界。


さっきの干渉で、ほぼ使い切った。


中枢神が手を上げる。


空間が、再び歪む。


今度は、さっきより強い。


サクヤの動きが止まる。


「……っ!」


拘束。


逃げられない。


中枢神が言う。


『排除』


リョウが叫ぶ。


「サクヤ!!」


だが。


動けない。


力が足りない。


その時。


リョウの中で、何かが揺れる。


さっき、神に言われた言葉。


「代わるか」


あの選択。


もし、受け入れれば。


もっと深く、干渉できる。


もっと強くなれる。


リョウの手が震える。


「……くそ」


サクヤが言う。


「やめろ」


リョウが顔を上げる。


サクヤは動けないまま。


それでも。


はっきりと言った。


「踏み越えるな」


リョウの心臓が鳴る。


ドクン。


選択。


ここで、何を選ぶか。


力か。


それとも――


リョウは歯を食いしばる。


そして。


叫ぶ。


「……まだ、人でやる!!」


核が、暴れる。


ドクン!!!


限界を超えて。


もう一度、干渉。


不完全なまま。


無理やり。


中枢の流れに、割り込む。


「動けぇぇ!!」


空間が揺れる。


拘束が、わずかに緩む。


サクヤの目が動く。


その一瞬。


サクヤは、迷わない。


動く。


踏み込む。


振りかぶる。


「――斬る」


ザン!!


二度目の一撃。


中枢神に、さらに深い傷。


空間が悲鳴を上げる。


統合体が、大きく崩れる。


だが――


まだ、終わらない。


中枢神は、立っている。


リョウは膝をつく。


「……まだかよ」


サクヤも息を荒げる。


「しぶといな」


中枢神が、ゆっくりと二人を見る。


その目に。


明確な敵意。


『……危険対象 認定』


空気が、さらに重くなる。


まだ、終わらない。


むしろ――


ここからが本番。


リョウは顔を上げる。


ボロボロだ。


それでも。


笑う。


「……いいね」


サクヤが言う。


「何がだ」


リョウは答える。


「終わりが見えてきた」


サクヤも、わずかに笑う。


「そうだな」


刀を構える。


核が光る。


最後の段階。


中枢との決着が、迫っていた。

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