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第46話 間に合わない世界


空は、まだ落ちている。


一つ止めても、次が来る。


終わりが見えない。


リョウは息を荒げながら走っていた。


「……キリがねえ……!」


サクヤは前を見たまま言う。


「最初から分かってる」


冷静すぎる声。


だが、その足も止まらない。


次の落下地点へ向かう途中――


遠くで、爆音。


ドォォォン!!


リョウが振り向く。


「……あっちもか」


煙が上がる。


別の神堕ち。


別の街。


サクヤは言う。


「行かない」


即断。


リョウの足が止まりかける。


「……でも!」


サクヤが振り返る。


その目。


迷いはない。


「ここも落ちる」


目の前。


次の祠。


すでにひび割れている。


「どっちもは無理だ」


リョウは歯を食いしばる。


「……くそ」


分かっている。


頭では。


だが――


心が追いつかない。


遠くの爆発。


悲鳴は聞こえない。


聞こえないだけで、ある。


リョウは目を閉じる。


そして。


開く。


「……こっちだな」


サクヤが小さく頷く。


「そうだ」


決断。


切り捨て。


それが、続く。


祠が崩れる。


ドクン!!


次の神堕ちが、落ちてくる。


だが――


さっきより、小さい。


リョウが言う。


「規模は低い」


サクヤが言う。


「速く終わらせる」


二人は同時に動く。


連携は、もう迷わない。


リョウがまとめる。


サクヤが斬る。


無駄がない。


短時間で、処理が終わる。


ボッ!!


焼却。


消滅。


リョウが息を吐く。


「……よし」


だが。


その直後。


さらに二つ、三つ。


別方向で落下。


リョウが顔をしかめる。


「……増えてる」


サクヤも気づく。


「連鎖してるな」


一つが崩れると。


周囲も引きずられる。


まるで。


限界が一斉に来ている。


リョウが呟く。


「……もう持たないのか」


神のシステムが。


サクヤは答えない。


だが。


否定もしない。


その時。


リョウの視界に、強い光。


一つの祠。


他と違う。


巨大。


そして――


落ちていない。


浮いたまま。


リョウが指差す。


「……あれ」


サクヤが見る。


「……でかいな」


規模が違う。


周囲の祠の、数十倍。


そして。


中心にある。


リョウの鼓動が速くなる。


「……嫌な予感しかしねえ」


核が、強く反応する。


ドクン!!


『中枢反応 検出』


リョウの目が見開かれる。


「……中枢?」


あの巨大な祠。


ただの神じゃない。


もっと上。


サクヤが言う。


「原因か」


リョウは頷く。


「……多分な」


あれがある限り。


この連鎖は止まらない。


だが。


距離がある。


そして――


その間にも、神堕ちは落ち続ける。


リョウが言う。


「どうする」


サクヤは即答しない。


珍しく、ほんの少し考える。


そして。


「行く」


リョウが目を見開く。


「マジか」


サクヤは続ける。


「あれを止めれば」


「全体が止まる可能性がある」


合理的。


だが。


その間、他は放置。


リョウが苦笑する。


「……また大きい選択だな」


サクヤは言う。


「選べ」


静かに。


リョウは空を見る。


落ちてくる神。


崩れていく街。


そして。


浮かぶ巨大な祠。


全部は無理。


だから――


リョウは決める。


「……行こう」


サクヤが頷く。


「決まりだ」


二人は走り出す。


中心へ。


巨大な祠へ。


その背後で。


また一つ、街が崩れる。


振り返らない。


振り返れない。


リョウは呟く。


「……後で、取り返す」


その言葉が、現実かどうかは分からない。


それでも。


進むしかない。


サクヤが言う。


「前を見ろ」


リョウは小さく笑う。


「分かってるよ」


視線の先。


巨大な祠。


その中に――


“何か”がいる。


世界の中心。


神の中心。


そして。


物語は、次の核心へ進む。

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