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第21話 試作神

都市の上空。


巨大な影が、ゆっくりと形を作っていく。


白い光の中から現れたのは――


神だった。


だが。


今まで見てきた神とは違う。


身体は人型。


高さは二十メートルほど。


その胸には、いくつもの光が埋め込まれている。


リョウの顔が固まった。


「……核」


サクヤが聞く。


「何だ」


リョウは震える声で言った。


「神の核」


「……十個以上ある」


沈黙。


サクヤの目が細くなる。


「合成か」


「うん」


リョウは都市を見上げた。


「神を混ぜてる」


塔の周囲では、白い装束の研究員たちが慌ただしく動いていた。


光る装置。


流れ込む災気。


巨大な円形の魔法陣のような構造。


その中心で。


神が目を開く。


ドクン。


ドクン。


胸の核が同時に脈打つ。


都市の空気が震えた。


サクヤが言う。


「起きたな」


リョウは嫌な予感に顔をしかめた。


「……暴れる」


次の瞬間。


試作神の腕が動いた。


ドォォォン!!


塔の横の建物が吹き飛ぶ。


研究員たちが悲鳴を上げる。


「制御できません!」


「災気が多すぎる!」


リョウが呟く。


「やっぱり……」


サクヤが聞く。


「何だ」


リョウは言った。


「神は」


少し言葉を選ぶ。


「バランスで動く」


都市を見る。


「核が多すぎる」


サクヤが言う。


「壊れる」


「うん」


リョウは頷いた。


「神堕ちになる」


その時。


塔の上のバルコニーに、あの男が現れた。


白い装束。


神祀庁の男。


リョウが睨む。


「……あいつ」


男は都市を見上げていた。


暴れ始めた試作神を。


そして。


小さく笑う。


「なるほど」


研究員が叫ぶ。


「暴走です!」


「停止させますか!?」


男は首を振った。


「いや」


静かに言う。


「続けろ」


研究員が驚く。


「ですが都市が――」


男は答えた。


「問題ない」


そして。


空の神を見る。


「データが取れる」


リョウが怒鳴った。


「またそれか!!」


サクヤは静かに刀を抜いた。


キィン。


金属の音が山に響く。


リョウが見る。


「……行くの?」


サクヤは答える。


「止める」


リョウが都市を指差す。


「ここ敵の本拠地だぞ!」


サクヤは言った。


「神がいる」


つまり。


斬る。


それだけだった。


リョウは苦笑した。


「……まあ」


空を見る。


暴れる試作神。


「放っておいても都市ごと壊れるな」


サクヤが聞く。


「核は」


リョウは観察した。


胸。


複数の光。


「……中心」


サクヤが頷く。


「わかった」


そして。


地面を蹴った。


山道を駆け上がる。


城壁へ。


リョウが叫ぶ。


「正面!?」


サクヤは止まらない。


城壁の手前。


兵士が気づく。


「侵入者だ!」


「止めろ!」


サクヤが跳ぶ。


壁へ。


さらに跳ぶ。


一瞬で城壁の上へ。


兵士たちが驚く。


「なっ――」


サクヤの刀が光る。


ザン!!


武器が弾き飛ばされる。


リョウも慌てて登る。


「ちょっと待って!」


都市の中へ入ると。


混乱はさらに大きかった。


研究員。


神官。


兵士。


全員が空を見ている。


暴れる試作神。


ドォォォン!!


腕が振られる。


塔の一部が崩れる。


リョウが言う。


「本当に壊れるぞ」


サクヤは塔を見る。


「上だな」


リョウが頷く。


「核に近い」


その時。


前から兵士の集団が来た。


「止まれ!」


「ここは神祀庁の中枢だ!」


サクヤは答えない。


ただ。


刀を構える。


兵士たちが一斉に動く。


だが。


次の瞬間。


ザン!!


一閃。


武器が落ちる。


兵士たちは倒れない。


だが、誰も武器を握れない。


リョウが呟く。


「……容赦ない」


サクヤは言った。


「急ぐ」


そして。


塔へ向かう。


その上で。


試作神が咆哮した。


ドォォォォ!!


都市が揺れる。


リョウは空を見た。


「……時間ない」


サクヤが言う。


「わかってる」


その時。


塔の上。


バルコニーから。


あの男が二人を見下ろしていた。


神祀庁の男。


彼は静かに言った。


「来たか」


リョウが叫ぶ。


「お前!」


男は微笑む。


「中枢神」


そして。


サクヤを見る。


「神喰らい」


少し楽しそうに言った。


「ちょうどいい」


空の神を指差す。


「止めてみろ」


都市の上空で。


試作神が。


ゆっくり二人を見下ろした。

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