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第20話 神祀都市



三日後。


サクヤとリョウは山道を歩いていた。


街道を外れた、ほとんど人の通らない道だ。


周囲には深い森が広がっている。


リョウは息を吐いた。


「……遠いな」


サクヤは前を歩きながら言う。


「近い」


リョウが顔を上げる。


「え?」


サクヤは森の奥を指差した。


「見ろ」


リョウは目を細める。


木々の隙間。


遠くの山の斜面に、白いものが見えた。


最初は岩かと思った。


だが違う。


建物だ。


巨大な壁。


塔。


橋。


それが山を覆うように広がっている。


リョウの口が開いた。


「……都市?」


サクヤが言う。


「神祀庁」


リョウは呆然と見上げた。


山そのものが都市になっている。


白い建物が何層にも重なり、巨大な階段のように連なっている。


中央には、ひときわ高い塔。


その先端には――


光る球体。


リョウの背筋が冷えた。


「……あれ」


サクヤが聞く。


「何だ」


リョウは小さく言った。


「神の核」


沈黙。


サクヤの目が細くなる。


「一つじゃないな」


リョウが頷く。


「うん」


塔の周囲。


小さな光がいくつも浮かんでいる。


神の核。


つまり――


神。


リョウが呟く。


「……集めてる」


サクヤは歩き出した。


「行くぞ」


リョウが慌てる。


「ちょっと待って!」


サクヤが振り向く。


「何だ」


リョウは都市を指差した。


「見たろ!?」


「神の核があんなにある!」


「つまり」


少し言葉を探す。


「敵の本拠地!」


サクヤは答えた。


「そうだ」


リョウが頭を抱える。


「正面から行くの!?」


サクヤは少し考えた。


「……裏から」


リョウはため息をついた。


「そういう問題じゃないんだけど」


だが。


それでも歩き出す。


山道を下りながら、都市へ近づいていく。


近づくほど、その大きさが分かる。


城壁は何十メートルもある。


門には兵士。


白い装束の神官。


そして。


神祀庁の紋章。


円の中に、三つの光。


リョウが呟く。


「……管理の印」


サクヤが聞く。


「知ってるのか」


「うん」


リョウは目を細める。


「神を管理する組織の印」


そして。


小さく言う。


「昔の」


サクヤが止まる。


「昔?」


リョウは少し黙った。


そして言う。


「……神祀庁」


「たぶん」


都市を見る。


「俺が作った」


沈黙。


風が吹く。


サクヤはしばらく何も言わなかった。


やがて聞く。


「どういうことだ」


リョウは困った顔をした。


「うまく思い出せない」


頭を押さえる。


「でも」


都市を見る。


「この配置」


「塔」


「神の核」


ゆっくり言う。


「全部」


「俺が管理してた頃のシステムだ」


サクヤは短く言った。


「つまり」


リョウが頷く。


「うん」


「ここは」


都市を指差す。


「中枢神の管理都市」


サクヤの目が鋭くなる。


「お前の城か」


リョウは苦笑した。


「……そんな感じ」


その時だった。


都市の塔。


上空。


光が一つ強く輝いた。


リョウの心臓が跳ねる。


「……まずい」


サクヤが聞く。


「何だ」


リョウは言った。


「神の起動」


都市の中心。


塔の周囲。


浮かんでいた神の核が、一斉に光る。


サクヤが呟く。


「……警戒か」


リョウは首を振る。


「違う」


空を指差す。


「実験」


塔の上。


巨大な光が集まり始める。


災気が流れ込む。


都市全体が震える。


リョウの声が震える。


「……作る気だ」


サクヤが聞く。


「何を」


リョウは塔を見上げた。


無数の神の核。


集まる災気。


巨大な装置。


そして。


言った。


「新しい神」


その瞬間。


塔の上で光が爆発した。


ドォォォォン!!


都市の空に。


巨大な影が現れる。


人の形。


だが。


普通の神とは比べ物にならない。


リョウが呟く。


「……人工神」


サクヤは刀を握った。


「大きいな」


リョウが言う。


「違う」


サクヤが聞く。


「何が」


リョウは静かに言った。


「あれは試作だ」


都市の上空で。


新しい神がゆっくり目を開いた。

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