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転生したら第5王子で兵法(孫子)と法家(韓非子)で、無双王を目指す  作者: ひょっとこ、とことこ
流水の陣、影に宿る名 偽りの王子と、沈黙の黒幕

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父王の判断

「疾雷は耳を掩うに及ばず」

ーー孫子ーー

「賞罰を明らかにする者は、令を行うに難からず」

ーー韓非子ーー


迅雷は耳を塞ぐ間もない。

賞罰を明確にする者は、命令を通すのに苦労しない。

しかし、父が息子を信じる時、そこに賞罰はなかった。



密使が戻ったのは、翌日の夕方だった。


フリッツが、小さく折り畳まれた紙を持って来た。

父王の文字だった。短かった。


「軟禁・保護を許可する。極秘を徹底せよ。お前の判断を、信じる。」


お前の判断を、信じる。

俺はしばらく、その一行を見た。


父上は、命令ではなく、信頼を返してきた。

王命に背くかもしれない判断を信じると言った。

その重さが、静かに、体に入った。


「フリッツ!」


「はい…」


「軟禁場所の手配を。王都から離れた、人目につかない場所を…警護は最小限。しかし確実な者だけで。」


「……承知しました。一箇所、心当たりがあります…」


フリッツが場所を告げた。

王都の西、街道を外れた小さな村の外れにある、古い農家だった。

所有者は王剣騎士団の元構成員。

今は引退して農業をしている。信頼は保証できると、フリッツが言った。


「警護は何名で?」


「三名を考えています。わたくしの直属の者で。外部に名前が出ない者たちです…」


「情報の管理は?」


「この件を知るのは、殿下、わたくし、陛下、警護三名のみ。それ以外には、一切、知らせません。」


知る者を絞る…

漏れることが、最大の悪…

フリッツの言葉が、頭に響いた…


「わかりました。では、明朝、移送を…」


「はい。雨の中の移送になります。目立たない点では好都合ですが…」


「構いません。」


夜、レオンに告げた。

「父上の判断が出ました。軟禁・保護です。」


レオンが、少し目を瞬いた。

「……処断ではないのか?」


「今は、まだ…」


「なぜ生かす?」


俺は少し考えた。

「あなたが知っていることが、あります。まだ聞けていないことが。それを聞いた上で、判断します。」


レオンが、俺を見た。

長い間、見ていた…

「……お前は、何が欲しいんだ?」


「この国を、良くしたいのです。」


レオンが、少し笑った。

「……8歳が言う言葉か」


「8歳でも、言います。」


レオンが、また少し笑った。

今度は少し、温かい笑いだった。


「……わかった。行く先に、茶はあるか?」


「用意させます!」


「なら、文句はない!」



移送は翌朝の雨の中で行われた。

荷馬車に布をかけた。

レオンは商品の袋に見立てた箱の中に入った。

抵抗しなかった。むしろ、素直だった。


馬車が動き始めた時、箱の中からレオンの声がした。


「……狭いな?!」


「申し訳ありません。」


「いや、慣れている。5年間、いろんな意味で狭い場所にいた。」


フリッツが馬の手綱を引きながら、何も言わなかった。

しかし、その背中が、わずかに動いた。


フリッツが、笑いをこらえた。

……初めて、見た。


雨の中、馬車は街道を西へ向かった。


軟禁場所は、誰も知らない場所にある。

情報は、最小限の者だけが持っている。

これで、安全なはずだった。


……しかし。


その時の俺には、まだわかっていなかった…

「知る者を絞る」だけでは、足りないことが…

内側にすでに、穴があいていたことが…

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