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転生したら第5王子で兵法(孫子)と法家(韓非子)で、無双王を目指す  作者: ひょっとこ、とことこ
流水の陣、影に宿る名 偽りの王子と、沈黙の黒幕

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レオンという男

「攻めずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」

ーー孫子ーー

「人主は臣の情を見ること、臣の主を見るが如くにして、然る後に善悪を知る」

ーー韓非子ーー


戦わずして敵を屈服させるのが最善だ。

君主が臣下の本心を見抜くには、臣下が君主を観察するほどの目が必要だ。

心を開いた者の言葉には、剣より鋭いものが宿る。



翌日も、俺はレオンの部屋に来た。

フリッツが外で待っていた。

入る前に一言言った。「15分です」

俺は頷いた。


レオンは昨夜と同じ壁に背を当てて座っていた。

縄は外していた。廃屋の中で、外は水に囲まれている。


俺が座ると、レオンが言った。

「……また来たか。」


「はい。」


「今日は何を聞く?」


「昨日の続きを。反王権派の構造を、聞かせてください。」


レオンが、少し目を細めた。

「……構造、か。大きく出たな…」


「聞けるだけ聞きたいのです。」


レオンが、天井を見た。

しばらく黙っていた…

それから、静かに話し始めた。


「……連中は、思想で動いているわけではない。「王権を倒す」という旗はある。しかしそれは、表向きの旗だ…」


「では実際は?」


「金だ。利権だ…。王が変われば、今の権力構造が崩れる。そこに食い込める者たちが、裏から動いている。」


思想ではなく、利権。

反王権派の旗の裏に、金の計算がある。


「貴族がいます。王城に出入りする貴族が…」


俺が言うと、レオンが少し目を動かした。

「……昨日の話を、覚えているか?」


「全部…」


レオンが、少し笑った。

「……そうか。なら話が早い。その貴族は1人ではない。」


…1人ではない。


「何人ですか?」


「俺が直接確認できたのは3人だ。但し、氷山の一角だと思っている。連中の動きを見ていると、情報が複数の経路から流れてくる。1人の貴族だけでは、説明がつかない量だ。」


「どういう貴族ですか。家格は?」


「様々だ。大きい家もある。小さい家もある。共通しているのは全員、陛下の前では完璧な忠臣を演じていることだ。宴席では王家を称える。議会では王権を支持する…。しかし、

夜になると、金が動く…」


夜になると、金が動く…

この国の内側に、俺が知らない回路がある…


「商人は?」


レオンが、少し止まった…

「……商人の話をするか?!」

「できる範囲で…」


レオンが考えた。それから続けた。

「王都に、大きな商会がある。表向きは穀物と織物を扱っている。王家とも取引があるから、怪しまれない。しかし、その商会の荷馬車が、時々、別の荷を運ぶ。」


「別の荷、とは?」


「武器だ。それから食料の横流し。反王権派の拠点に、定期的に物資が届いていた。俺がいた拠点にも、その商会の荷が来ていた…」


「商会の名前は?」


レオンが、少し間を置いた。

「……今は言えない。」


「昨日も、そう言いました。」


「あぁ…。今も、同じ答えだ。」


俺は少し考えた。

「……なぜですか。言えない理由は何ですか?」


レオンが俺を見た。

少しの間、黙っていた。

それから、静かに言った…

「……お前が動けば、連中に伝わる。お前はまだ8歳だ。今の状態で動いても潰される。連中の根は、お前が思うより深い。名前を教えるのは、お前に力がついてからでいい。」


俺に力がついてから。

この男は、俺を生かす気で話している。

処断されるかもしれない立場で、俺の先を考えている。


「……その「力」とは、何だと思いますか?」


レオンが── 少し考えた。

「……剣だけじゃない。法だ。金だ。人だ…。連中が動かしているのは、全部そこだ。剣だけで勝てる相手ではない。」


ーー剣だけじゃない。

ーー法と、金と、人。

ーーこの男は 俺に、必要なものを教えている。


「時間です…」


フリッツの声が扉の外から聞こえた。

俺は立ち上がった。

「……また来ます。」


「あぁ…来るなら、茶の一杯でも持ってこい。」


俺は少し止まった。

「……茶は出せませんが、水なら…」


「水か?今は腹いっぱいだ…」


外の水音を聞きながら、レオンが小さく笑った。

俺も少しだけ、笑った…


部屋を出た後、フリッツが静かに歩き出した。

俺はその背中に言った。


「フリッツ。この国の内側には、思ったより深い穴がある様だな…。」


フリッツが── 振り返らずに答えた。

「……殿下。それが、わたくしがノートを燃やした理由でございます…」


そうだ。

漏れることが、最大の悪。

深い穴は、見えないところにある。


父王の返答は、まだ来なかった。

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― 新着の感想 ―
大規模な陰謀( 〃▽〃)で益々面白く♡♡♡
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