表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら第5王子で兵法(孫子)と法家(韓非子)で、無双王を目指す  作者: ひょっとこ、とことこ
王令と、盤上の再編 8歳の立法者、誕生す

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/190

「殺」と「守」 三日間

「先ず勝てざるを為して、以て敵の勝つべきを待つ」

ーー孫子ーー

「法は禁じるためにあらず。人を正しく動かすためにある」

ーー韓非子ーー


まず負けない状態を作り、敵が崩れる瞬間を待つ。

法は人を縛るためにあるのではない。

正しく動かすためにある。



翌朝から、フリッツとの1対1の稽古が始まった…


場所は、王城の地下にある小さな稽古場だった。

石造りの壁。明かりは燭台だけ。

外の音が、まったく聞こえなかった。


「今日から三日間、「殺」と「守」の第一段階を学んでもらいます。但し、今日は剣を持ちません。」


「……剣を持たないのですか?」


「はい。第一段階は考え方の問題です。体より先に頭に入れる必要があります。」


フリッツが、椅子を二脚向かい合わせに置いた。

俺たちは座った。

「殿下。1つ聞きます。殺すことと、守ることは、矛盾しますか?」


俺は少し考えた。

「……場合によっては、矛盾しません。誰かを守るために、別の誰かを殺す場面がある…」


「その時、殿下は…迷いますか?」


……学院封鎖戦。

……あの夜、俺は命令を出した。

……迷ったか。


「……迷いました。但し、迷ったまま、決めました。」


フリッツが静かに頷いた。

「それが、第一段階の答えです。」


「……迷ったまま、決めること、ですか?」


「迷わない者は、何かを切り捨てています。迷って動けない者は、誰かを見捨てています。迷いながら、それでも決める者だけが、「殺」と「守」を同時に持てる。」


……迷いながら、それでも決める。


「……「殺」の剣と「守」の剣は、別の技術ですか?」


「技術としては、違います。しかし、 根は同じです。「殺」は相手の動きを読んで最短で制する。「守」は守る者の動きを読んで最速で間に入る。どちらも相手を見ることから始まります。」



二日目は、木刀を持った。


フリッツの動きは、速かった。

しかし、それより静かだった。

無駄な動きが、一切なかった。


「「殺」の構えを見せます。よく見てください」

フリッツが構えた。

特別な構えではなかった。

ただ、重心が低く、どこへでも動ける位置にあった。


「「守」の構えを見せます」


フリッツが少し動いた。

構えは、ほとんど変わらなかった。

しかし、体の向きが、わずかに変わった。

守るべき「誰か」がいる方向へ、わずかに向いていた。


……構えそのものは、ほぼ同じだ。

……違うのは、意識の向きだ。


「……構えはほぼ同じですね。」


「そうです。「殺」は敵に向く。「守」は守る者に向く。体は同じ構え。しかし、何を中心に置くかが、違う」



三日目。


フリッツが言った。「今日は殿下が、私を「守」って下さい。」


「……フリッツを、ですか?」


「はい。私が敵役になります。殿下は、私の後ろにいる、見えない誰かを守って下さい。」


見えない誰かを守る。


……ミア姉様の顔が、頭に浮かんだ。

……エドの顔も。派閥の仲間たちの顔も。


フリッツが動いた。

速かった。

しかし、俺は動いた。


三日間で、体が少し変わっていた。

技術ではない、意識が変わっていた。

守るべき誰かを、頭の中に持って動く。

その違いが、体の反応を変えた。


稽古が終わった時、フリッツが静かに言った。


「……三日で、ここまで入りましたか…」


「……足りていますか?」


「第一段階としては、十分です。本格修行の時に、体にも染み込ませます。しかし、考え方の土台は、もう入っています。」


「フリッツ。1つ聞いていいですか?」


「何なりと…」


「あなたが守るために剣を振った回数は、何回ですか?」


フリッツが、少し止まった。

それから答えた。

「数えていません。数えるものではないと思っています。」


「なぜですか?」


「守った数より、守れなかった数の方が、重いからです…」


「……そうですか。」


フリッツが退出した。


核心、迷いながら、それでも決める者だけが2つを持てる。

構えは同じ。違うのは、意識の向き。

守るべき誰かを、頭の中に持って動く。

学院に戻る。

討伐の後、仲間たちと本格修行へ



三日間で、何かが変わった。

技術ではない。

俺の中に守るべき顔が、増えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
一緒に受講してるwみたいに(*´艸`*) 結構( ・`д・´)真剣に読んじゃいました~♪ 今、どっかとどっかが紛争中でもあるセイか? 色々考えてちゃいながらw拝読しました♪ でも(*^^*)コレって…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ