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転生したら第5王子で兵法(孫子)と法家(韓非子)で、無双王を目指す  作者: ひょっとこ、とことこ
金の檻と、水底の龍

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侯爵の条件なき贈り物

「兵は詭道なり、しかし、真意を持つ者の言葉は、詭道ではない」

ーー孫子ーー


最も難しいのは、相手の言葉が本心かどうかを見極めることだ。



三日目の夕方、ハイルベルク侯爵から使いが来た。

「侯爵様が、殿下にお目にかかりたいと申しております。」


俺は少し考えてから頷いた。

「伺います。」


侯爵の客間は、王城の西棟にあった。

質素だったが、無駄のない室だった。

装飾は最小限…

しかし全ての調度品が、見る者が見れば価値のわかるものだった。


侯爵が立って待っていた。

「遠路おいでいただき、ありがとうございます、殿下…」


「こちらこそ。ミア姉様には大変お世話になっています。それからフリッツにも…今回の件は、侯爵のお力がなければ成り立ちませんでした。」


侯爵が椅子を勧めた。

俺は座った。


「単刀直入に申し上げます…」

侯爵が言った。

「殿下にお渡ししたいものがあります…」


侯爵が机の引き出しから、封書を一通取り出した。

俺の前に置いた。


「これは?」


「ご覧ください…」


俺は封書を手に取った。封蝋には、ハイルベルク家の紋章ではなく、見たことのない紋章が押されていた。

剣が二本交差しており、その上に王冠。


「……この紋章は?」


「王剣騎士団の紋章です…」


俺は顔を上げた。

侯爵の目が、静かに俺を見ていた。

「昨日、書庫でフリッツと会いました。」


「聞いております…」


「フリッツが調べていた巻物も、これと同じ王剣騎士団の記録でした。」


「存じています…」


俺はしばらく侯爵を見た。

「侯爵。これは…条件付きですか?」


侯爵が、少し目元を緩めた。

「条件はございません。ただ、殿下がこれを受け取るかどうかは、殿下が決めることです。受け取ったならば、中身をご覧ください。受け取らないならば、私が引き取ります。

どちらでも、私はそれを問いません…」


……条件なし。


俺はその言葉を疑った。条件がない取引は、存在しない…

しかし、侯爵の目を見た。

計算があった。

しかし、嘘はなかった。


「……受け取ります」


侯爵が頷いた。

「中身は、お部屋でご覧ください。今夜中にお読みになれば十分です。明日の朝、フリッツがご質問をお受けします…」



その夜、部屋で封書を開けた。

中には、薄い紙が数枚入っていた。


一枚目

王剣騎士団の設立から解散までの概略

100年前に王家直属の組織として設立され、60年前に公式には解散。

しかし、「公式には」という言葉が引っかかった。


二枚目

解散後の「残存組織」についての記述

公式記録には残らない形で、一部のメンバーが活動を続けていた。

その目的、「王家の正統な血脈を守護すること」


三枚目

現在の残存メンバーのリスト

名前は仮名だった。

しかし職業の欄に「執事」とあった。


……フリッツ。


四枚目

「現在の王城内における各勢力の動向」

第1の勢力

第1王子アルベルト派、正統な継承を求める保守勢力


第2の勢力

不明、水面下で動いている


第3の勢力

盤上を動かす者を、静かに待っている


盤上を動かす者?

俺はノートを閉じた。蝋燭の炎が、静かに揺れていた。


「……侯爵は、俺を試しているのか。それとも、誘っているのか?」


誰にも聞こえない声で、俺は言った…

答えは、明日フリッツに聞く。

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