表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら第5王子で兵法(孫子)と法家(韓非子)で、無双王を目指す  作者: ひょっとこ、とことこ
3年生 学内派閥闘争編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/190

副総長の訓示 そして暴露

アウアーが壇上の前に立った。


「三年生から十年生まで、全員に告げる」


声は低く、よく通った。感情がなかった…

事実だけを、淡々と告げる声だった。


「本学院の三年生以上は、本日より派閥制の下で動く。派閥は王国と連携し、学院の外でも活動を行う。諸君が学院内で積み上げる実績は、王国の実際の力に直結する。この意味を、常に忘れるな」


「派閥内での序列は、実力と貢献によって決まる。年齢は関係しない。三年生であっても、十年生を超える貢献をすれば序列は上がる。逆に、十年生であっても無為に過ごせば序列は下がる。今後は三年生から十年生までの8学年の合わさった序列となる。」


「派閥間の争いは、この学院の規則の範囲内で認められる。ただし、王国の秩序を乱す行為は許可しない。違反した者は、派閥ごと解散処分とする。」


アウアーが一度、間を置いた。


「諸君は今日から、学生であると同時に、王国の一部だ。その自覚を持って動け」


会場が、重い静寂に包まれた。

訓示の終わりが近づいていた。


アウアーが、手元の書類に目を落とした。

一枚の紙を取り出した。


「最後に、一件の開示事項がある…」


会場が、また静まった。

先ほどのミア様の件で、「開示事項」という言葉に全員が反応するようになっていた。


「本年度の新入三年生の中に、王命により御身分を伏せておられた方が、もう一名いらっしゃる。本日をもって、御身分を開示申し上げる。」


「ルーク・レギナルド様は、偽名でございます。」


静寂が来た。

ミア様の時とは違う静寂だった。

ルーク・レギナルドは、玄狼衆が金貨6600枚で落札した六位だ。

「シオン殿下が直接入札された学生である」

その学生の素性が偽名だったという事実が、全員の頭の中で処理され始めた。


アウアーが続けた。


「御本名、ルーク・フォン・エドヴァルト殿下」


「第5王子殿下にあらせられます…」


会場が、割れた。

どよめきとも、悲鳴とも、歓声とも違う叫び…


四年生以上のブロックから声が上がった。

「第5王子殿下が…」

「エドヴァルト家の…」

「もう何でもありだな…」

「なぜここに」

「王族サプライズが2人…」

声が重なった。収拾がつかなかった。


壇上の三年生は、大混乱だった。


ラウルが、振り向いた。

俺の顔を正面から見た。

口が動いていたが声にならなかった。

それから今度は、ミア様の方を見た…

また口が動いた。声にならなかった…

二人を交互に見比べて、足元がふらついた…

真っすぐ立っているのが、やっとの様だった。


クルトが、初めて笑顔を失った…

あの天然の笑顔が、完全に固まっていた。

口を開けたまま、俺を見ていた。

閉じ方を忘れたような顔だった。


他の同級生たちも、似たようなものだった。

誰かが壇上で膝に手をついていた。

誰かが隣の同級生の腕を掴んでいた。

声を出しているのに、何を言っているのか本人もわかっていない顔だった。

壇上全体が、嵐の中の船のように揺れていた。


ヴィクターが、目を細めた。

何か言いたげである。


しかし次の瞬間、ミア様の方を見た。

そしてわずかに、眉が動いた。

王子殿下については読めていた。

しかし、ミア様については、完全に読めていなかった。

そのわずかな眉の動きに出ていた。


エドが…

驚いていた。

少なくとも、そう見えた。

目が見開かれていた。

他の同級生と同じように、俺を見ていた。


しかし。


俺は前世含め56年生きている。

人の「驚いている顔」と「驚いているように見せている顔」の違いを、俺は知っていた。


エドの驚きには…どこかに、余白があった。

感情の隙間に、何かが収まっていた。

それが何なのか、今の俺には判断できなかった。

しかし、他の同級生とは、確かに違った。


俺が視線をミア様の方へ動かした、その瞬間だった。


ミア様が、こちらを見ていた。


笑顔だった。

いつもの天然の、満開の笑顔だった…

会場全体が混乱している中、壇上の端で一人だけ笑っていた。

違う意味で恐ろしさを感じる。


そして、小さく手を振った。


大きくフリフリと…

子供が親に手を振るような、無邪気な振り方で。


目が合った。

その目が言っていた。


とうとうお互いに、バレちゃったね〜と、言わんばかり…


俺は、思わず目を細めた。

この状況で、この女は笑顔で手を振っている。

先ほどあの恐ろしい目を見ていなければ、俺も騙されていたかもしれなかった。


150名以上の視線が、俺一点に集中していた。


俺は動かなかった。

表情を変えなかった。

壇上で、7歳の体を真っすぐに立てたまま、会場を見た。


シオン兄上の姿を会場の奥に探した。

見つからなかった。

シオン兄上は、もうここにいなかった…

全て終わったから、去ったのだ。


俺は、会場全体を一度だけ見渡した。


150名以上の目が、俺に向いていた。

驚きの目、計算する目、警戒する目、再評価する目…


俺は静かに仲間に言った。

「ルークで構わない。今日からまた宜しく。」


誰も、すぐには答えなかった。


沈黙の中に、何かが積み上がっていた。

今日一日で、この場の全員が知った…


序列最下位が、近衛最高位の司令長官の御令嬢だった。

序列六位が、第5王子殿下だった。

一位から九位まで全員が玄狼衆に落ちた。


そしてその全てを、第4王子シオン殿下は操り、多分盤上のコマの様に演出していたのであろう。


盤上に、今日、全ての駒が置かれた。


つまりこれが…

始まりだと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
さぁ⸜(*ˊᗜˋ*)⸝追いかけるぞ! めっちゃ面白カッコ良い展開に期待大♡ *.✧同担大歓迎((ノ◕ヮ◕)ノ*.✧ (書籍化まで推したい♡♡) ⭐⭐⭐⭐⭐(*´∀`*)尸"♪ (⭐足らんぞ?このシス…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ