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転生したら第5王子で兵法(孫子)と法家(韓非子)で、無双王を目指す  作者: ひょっとこ、とことこ
富国強兵

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海の契約

 あれから2週間が経つ。


 俺はまだキングマリンにいる。


 海の王の妹御の回復を待っている。これに関しては、急かすつもりはない、いや急かしても何も良い事はない。待てるだけの時間は持っている。


 ヴィクターが「殿下、そろそろ……」と言う。


「わかっている」と俺が言う。「回復まで、もう少しだ。もう少しのはずだ…」



 その翌朝。


 海賊王の使いの者が俺を呼びに来る。夜明けとほぼ同時であった…


メモには…「妹に会ってくれ」とだけ書いてあった。


 妹御の部屋に通される。


 窓から海が見える…

 潮の匂いがする…


 妹御は…、起き上がっている。


 顔に血の気があり、目がイキイキとしていた。


「王子…」と妹御が言う。「よくおいで下さいました。」


「お呼びいただき、ありがとうございます」「どうですか、体は?」


「不思議なくらい……良くなりました。毎日レモンとオレンジを食べていたら…、1週間で体のだるさが取れてきました。疲れにくくなって、気力も戻ってきた気がします」


「良かったです」と俺が言う。


「本当に…、ありがとうございます」と妹御が言う。


 海賊王が俺を黙って見ている…



 部屋を出ると、廊下で海賊王が止まる。


「……3ヶ月ぶりだった」と海賊王が言う。

「あいつがあんな顔をするのは…」



「……わかった。俺はお前のとこの条件を飲むよ。」


「それは、本当ですか?」と俺が言う。


「ただし…、一つだけ付け加えさせてくれ」と海賊王が言う。


「何でしょう?聞かせてください…」


「キングマリンの船乗りが、王国の港を自由に使えること。いつでも…、どこでも…」


「承知しました」と俺が言う。「むしろ……俺からもお願いしたいことです。キングマリンの船乗りが王国の港を使えば……交易が広がります。どちらにも利があります」


「……話が早いな。」と海賊王が言う。


「早い方が良いことは、さっさと決めますから…」と俺が言う。


 海賊王が……笑う。


「気に入った。決めよう!」



 その日の昼、正式な契約が結ばれる。


 キングマリン海洋連合が…、王国の海上自治区になったのだ。


 1割税金、9割利益。王国から塩、柑橘類、穀物を供給。キングマリンから海産物と海上輸送を提供。王国の港をキングマリンの船乗りが自由に使える。海上輸送の独占権は王国が持つ…。


 海賊王が署名をし、俺も署名する。


「これで……俺たちは同じ国の仲間だな」と海賊王が言う。


「そうですね」と俺が言う。「これからも、よろしくお願いします」


「よろしくな、いや、宜しくお願いします。ルーク王子」と海賊王が言う。「しかし…、一つ聞いていいか?」


「何ですか?」


「なぜキングマリンを選んだのだ?他の国でも、あるいは自国でする事も出来たんじゃないのか?お前はどの知恵者がうちを出し抜く事だって出来ただろうに…」


「仲間と海が欲しかったからです」と俺が言う。「陸だけでは国は完結しない。海があれば……どこへでも行ける。どこへでも運べる。そしてキングマリンは……海で生きている人間の集まりです。俺には真似できない。だからこそ……仲間として一緒にいる意味がある」


「……なるほどな」と海賊王が言う。


「それと…」と俺が言う。


「何だ?」


「9国会議の時……キングマリンだけが本当に中立だったからです。みんな腹に一物を持っていた。しかしキングマリンだけは、本当に損得だけで動いていた。それが正直で、俺は好きでした。そして仲間にしたいと思いました。」


「……はっきり言うな」と海賊王が言う。


「はい」


「まあいい。お前みたいなやつと組むのは…、嫌いじゃない」



 港を出る時。


「妹が良くなったら…、また飯でも食いに来いよ!」と海賊王が言う。


「是非、行きます!」と俺が言う。「その時は…、オレンジジュースを用意してください」


「あぁ、腹一杯になるまで用意してやる。オレンジジュースも海産物も!」と海賊王が豪快に笑う。


 波の音が聞こえる。潮の匂いがする。


 海が…、広がっている。


…………


 帰路の馬上で、俺は地図を思い浮かべる。


 9国の地図。その東南部に、王国の色が広がっている。


「水は低きに流れ、人は徳に集まる…。しかし海は全てを受け入れる。低い場所に流れ込み、全てを抱える。海を味方にした者は、強い」


 俺の心の師の言葉が、頭の中で響く。


 海が…、王国のものになる。

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