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転生したら第5王子で兵法(孫子)と法家(韓非子)で、無双王を目指す  作者: ひょっとこ、とことこ
富国強兵

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情報という名の武器

 王都に戻る。


 1年が経った。


 父王の号令により、城の大広間に人が集まっている。大臣たち、武将たち、ヴィクター、エリカ、ミア姉様。それぞれが1年間動いた成果を持ち寄っている。


 父王が上座に座っている。俺がその隣に座っている。



「エリカ、報告を…」


 エリカが立つ。地図を広げて話し出す。


「1年間、8国の内情を探りました。主な動きをお伝え致します」


 大広間が静まりかえる。


「ラングリア連合国。シオン殿下は北東部の基盤固めに集中。外には動いておりません。しかし、内部の蛮族との軋轢が少しずつ出始めています」


「イーレン公国。ランブルグが軍備増強を進めています。多くの傭兵の雇用が確認されています。王子と対話した際の会議での件を、まだ引きずっています」


「リンデン公国・ホーリーグレイル公国。2国とも動きが鈍いです。国内の産業がなく、農業も特産物がなく、内部の財政が苦しくなっています。独立を維持するのが精一杯の状態です」


「聖バルドル神聖国。各国への布教活動を強化しています。戦わずして影響力を広げようとしています」


「ユニティ連合。イーレンの動きに完全に依存しています。独自の判断をする力が、全くありません。」


「ノーザンランド連合国。ブレストが第5部族の統一を完了しています。6部族全てが従いました。ほぼ北部の覇権が固まっています」


 大広間がざわめく。


「ブレストが統一を…?」と誰かが言う。


「はい、その様です」とエリカが言う。

「最後になりますが、キングマリン海洋連合ですが……」


「それは俺から話をします」


 エリカが頷いて、座る。



「キングマリン海洋連合ですが…、王国の一部になりました…」


 大広間が……、凍りつく。


「利益の中より、1割税金、9割利益として契約致しました。王国から塩、柑橘類、穀物を供給する約束も致しました。継続的な海洋活動の約束と共に、キングマリンから海産物と海上輸送を得ます。海上輸送の独占権は王国が持ちます」


 しばらく誰も何も言わない。


「これが何を意味するか……海は我らが押さえたことになります。また敵の収入源を断ったことにもなります」


「いつ、契約を取り付けたのだ?」と父王が言う。


「2週間前です」


「どうやって、海賊王を落としたのだ?」


「壊血病の解決策を持っていきました。レモンとオレンジです。海賊王の妹御が壊血病の初期症状を出していました。それが……決め手になりました」


 父王が…、少し間を置く。


「……情報を制する者は、世界を制するとはよく言ったものだな」



 大広間がまた動き始める。


「他国は、この情報をまだ知りません」とエリカが言う。「しかし…、遠からず知れ渡る事と存じます。特にイーレン公国の反応が…、読めません」


「ランブルグは動きますか?」とヴィクターが言う。


「動きます。しかし…、海路を失ったイーレン公国に、できることは、ほぼ限られています。海上輸送を使えなければ…、商業国家としての強みが完全に半減します」


「リンデン公国とホーリーグレイル公国は」とミア姉様が言う。


「財政が苦しい。いずれ…外に求めて動きが出ます。今は放置でいいです。指揮する者がどこまで我慢できるのか…、また国民も含めて我慢出来るのかという感じです。」



「1年間の成果報告を続けましょう」とミア姉様が言う。


「財政から報告します」とミア姉様が言う。「税制改革の効果が……少しずつ出始めています。民の手元に残る金が増えた分、商業が動いています。キングマリンとの交易が加われば……来年はさらに動きます」


「農業は?」


「開墾した農地で初収穫がありました」とハイベルク伯爵が言う。「備蓄が少し増えています。来年には……さらに増やせます」


「軍は?」


 父王を見る。


「それを聞くか?」と父王が言う。少し笑う。「まあいい。練兵の成果は…、1年前とは別物だ。実戦演習を重ねた結果、動きが変わっている。しかし…、まだ足りない。後1年くれ!」


「後1年で?」


「もう半年あれば、最強軍5000名が出来る」と父王が言う。「その5000名を20部隊に分け、それを頂点にして20万の軍隊を作る。残りの半年で動きはできるようにする」


 大広間が…、また静まる。


「しかし…」と父王が続ける。「その為にも動きを指揮する人間が必要だ。将軍、副将、8人の部隊長の10人、それを20組。200人の人間が必要になる…」


「200人?!」と俺が繰り返す。


「最低半分は現在の王国軍の中より出す…」と父王が言う。「更に、優秀な奴は上にも挙げよう。ハーゲンとクラウスの両名より選出し、報告させよう。残り約50名のうち…、学院から何人候補に挙げれる」


「学院からならば……20、いや30名といったところです」と俺が言う。


「では、残り20名強といったところか…」と父王が言う。「それを王国中、いや他国含めてどこでも良い、探して参れ。男でも女でも問わない…」


 大広間が、再度ざわめく。


「女でも、ですか?」と誰かが言う。


「2度言わすな…、問わんと言ったのだ!」と父王が言う。「強ければ…、指揮できれば…、優秀な者に性別や年齢は問わない…。それだけだ」



 会議が終わる…。


 大広間から人が出ていく…。


 父王が俺の隣に残る。


「キングマリンの件、よくやったな…」と父王が言う。


「ありがとうございます、父上」


「しかし…」と父王が言う。「海路を押さえたことで…、他国が必要以上に動く可能性がある。特にイーレンだ…。追い込みすぎると、手痛い事を喰らうこともあるぞ、備えておけ」


「はい!」


「2年目も同じようにやれ。但し、1年目より大きく動け…」


「大きく、とは?」


「1年目は海を取った…」と父王が言う。

「2年目は…他の国に先立てて、人を取れ!」


「人材ですか?」


「そうだ。強い国は強い人間で動く。人材を獲れ。どこからでも…。誰からでも…」


 父王が立ち上がる。


「1年後に、また会おうぞ…」と言う。


「望むところです!」


 父王が歩いていく。


 大広間に俺だけが残る。


 窓の外に城下が広がっている。灯りが点き始めている。


「2年目が……始まる」と俺が呟く。

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