中の話
俺は芳佳の中に入ってしまった、いや…物理的に
闇の中で目が覚めると、俺を踏んで起こすと言うご挨拶な奴に会った「これが噂のヘタれか、僕はヤエだよ人が名乗ったんだから君も名乗りなよ」と長めの黒髪の少年が俺に言った「俺は中原昭だよったく…」と溜息を吐いて居るとヤエの後ろには般若のような顔をした女が仁王立ちしていた、俺は内心とも思ったが、後で訂正しよう…(生きて帰ってこい)
何故なら女はその般若のような顔で胸ぐらを掴んで「見知らぬ人に何失礼な事してんの、アンタ…」とどすの利いた声で奴…もといヤエに脅すように凄んでいた、関係無い筈の俺も竦み上がった
「あら、ごめんなさい私はミヅキって言うのよ。って言うかシンジは外へ出てっちゃったの?」「シンジって…あの黒髪の目付きの悪い?」「何だ、知ってるんだ」と友人の中身で中の人と喋るって酷くややこしい状態で何を落ち着いているんだ、俺は…
「なあ、外から来たんなら俺も連れってってくんない?」とがっくりしている俺を余所に色素の薄い髪の長い男が俺に訪ねてきた、彼も「昭って聞いて居たけどあの昭?」「俺を有名人みたいに言わないでくれよ…」「だって芳佳と家族の次に近しい奴だからそりゃ解るよ」「はぁ…」
俺は此処からの出方が解らないので、どうやら出方を聞くしかないらしい。芳佳も自分の背中の中身を引きずり出すなんて事も出来なさそうだし…俺は向こうに居るシンジに向けて大きく声を出した。
「腕を入れてくれ!俺が外に出ないと困る!」と叫ぶと「芳佳と楽しんでるぜ!」と楽しんでいる…お前は良いのか!中身丸出しのまま人(?)と喋ってて…案じていると微かに「シンジマジでアレな奴だよなー」と笑いながら喋って居るのが伺えた、危機感のない奴め…
「俺も俺もーって俺の名前はハヤトだから宜しく!」と話して居ると後ろでモジモジしている少年が居る、コイツなら真面に話を聞いてくれることを願って話しかけたら「ボウだよ…」って言っておずおずと自己紹介していた。俺はこのメンツの中では異端なのは十分に伝わっている。
仕方ないので暗闇の歪の凸凹をよじ登るしかないようだ、後でハヤトが言っていたんだが精神的な常識や偏りによって凸凹が出来るので子供であれば有るほど少ないと言っていた。そんなファンタジーな構成が有ってたまるか…と言いながら登って行くと出口が見えてくるが俺はとんでもない失態を犯していた。
何故ならハヤトが俺のみならず全員を外へ出そうとしているのを見ていなかったからである。




