29.6 知らなかった真実と、翠色〜フィリアの瞳〜
これはおまけ話です。
本編とは少し離れたお話のため、
飛ばしていただいても大丈夫です(*´꒳`*)
魔力共有で変わるフィリアの瞳。
おまけエピソード書いてみました。
「フィリアって、元々の瞳の色、灰青なのよね」
そう言って、まじまじと瞳を覗き込むヴェルナ。
「元々も何も、ずっと灰青だよ?」
フィリアは当たり前のように答えた。
「え?」
「へ?」
しばしの沈黙。
そしてヴェルナは、大きくため息をついた。
「フィリアって、鏡で自分を見たりしないの?」
「うーん……お化粧もしないし、あんまり見ないかなぁ」
少し視線を上げて考えるフィリア。
そののんびりとした様子に、ヴェルナは確信する。
――この子は、自分のことに本当に鈍い。
これは、はっきり言わないと伝わらない。
「いい?驚かないで聞いてね」
一呼吸置いてから、告げた。
「フィリアの瞳は、魔力を受けた人の色に変わるのよ」
沈黙。
次の瞬間、フィリアの顔色がさっと青ざめた。
「そ、そういえば私……エルヴィン様と魔力共有してるって言ってないのに、ヴェルナは知ってたよね……?」
ヴェルナは静かに頷く。
「とても綺麗な翠色だったわ」
ぼんっと音がしそうなほど、フィリアの顔が真っ赤になる。
――そして。
思い出が一気に繋がった。
クラウス先生と初めて魔力共有したこと。
ラグナに魔力を入れられたとき、瞳を見て笑われたこと。
その後、エルヴィンが瞳を見て怒ったこと。
窓ガラスに映った、自分の黒碧の瞳。
全部、全部――繋がった。
「わ、私……今まで……」
エルヴィン様の魔力で満たされているって、
みんなに知られてた……!?
恥ずかしさで、死にそうになる。
両手で顔を覆い、うずくまるフィリア。
「だ、大丈夫よ!他の人はカラーコンタクトだと思ってるだけだから!」
「そもそも魔力共有は同属性しかできないし、瞳が変わるなんて普通ありえないし!」
「私だって、実際に見たから分かっただけだし!」
慌ててフォローするヴェルナ。
その必死な様子がおかしくて、フィリアはふっと笑った。
「ヴェルナ、ありがとう」
「びっくりしたけど……教えてもらえてよかった」
微笑むフィリア。
――翠色の瞳。
心地よい風の魔力を思い出し、胸がきゅっとなる。
きっと、これから先も。
その魔力を拒むことはない。
次に魔力共有したら、ちゃんと見てみよう。
彼の色に、ちゃんと染まっているか。




