21.5 復学祝いと、乙女の本音〜マリエッタと、リリアナの女子会〜
これはおまけ話です。
本編とは少し離れたお話のため、
飛ばしていただいても大丈夫です(*´꒳`*)
マリエッタのことが気になった作者。
おまけエピソード書いてみました。
「マリエッタ、復学おめでと〜!」
「ありがとう!」
二人はグラスを軽く合わせ、乾杯する。
◆マリエッタとリリアナの女子会◆
同じ子爵家の令嬢として、幼い頃エルヴィン家のパーティーに招かれたことがきっかけで仲良くなった二人。
そして同じ学院に入学した時は、まるで奇跡のようだと思った。
そんな風属性の二人による女子会である。
あの時、エルヴィンに一目惚れしたマリエッタは、
子爵家であるにも関わらず相当な努力を重ねた。
気がつけば周囲からは「筆頭婚約者候補」とまで言われるほどになっていた。
「あんたのその一途さはすごいと思うわ〜」
リリアナは素直に感心したように言う。
「えぇ、本当に」
それは努力の証。
自分で認めていいものだし、謙遜などする必要はない。
マリエッタはそう思っている。
「でも、私は選ばれなかった……」
マリエッタは悔しそうに視線を落とす。
「でも……」
ふっと顔を上げ、頬を赤らめた。
「あの時のエルヴィン様、本当に格好良かったですわ……」
遠くを見るような目。
「至近距離で囁かれましたのよ!
あの声で囁かれたら……」
「きゃー!」
両手で頬を覆うマリエッタ。
「何が格好いいよ〜!」
その言葉に、リリアナがむっとする。
「あの討伐訓練の時、ちょー可愛く仕上げたのよ!
人生で一番上手く髪も巻けてたし!メイクもバッチリだったのに、ずーーっと不機嫌な顔してて〜!」
普通、可愛くしてたら「可愛いね」の一言くらいあってもよくな〜い?お世辞の一つもないのよ〜!
と、愚痴が止まらない。
「挙句に、魔獣がいつ出てもおかしくない森に一人にされたのよ!
どこが優しいのよ、あんな人〜!!」
誰よ、“春風の君”なんてあだ名をつけたの!
優しさも、紳士のカケラもない!
怒りは止まらない。
「エルヴィン様は昔から誰にでも優しかったけれど……」
マリエッタは遠い目をする。
「あの子が来てから、変わったのよ」
「どういうこと?」
リリアナが首を傾げる。
「……あの子だけを助けに行ったのよ」
マリエッタは小さく微笑んだ。
「そういう一途なところが、また素敵なのよ」
頬を赤くする。
「ふーん……」
リリアナは少し呆れた顔をする。
「で、復学したらどうするの?
また嫌がらせでもするの?」
「するわけないじゃない」
マリエッタはきっぱり言った。
「あの子、本当に四属性の適性があって。
しかも、きちんと魔法を使えていたのよ」
しかも。
「高度な技術まで持っていたわ」
その実力は認めている。
ただし——
「まぁ……もし……」
マリエッタはふっと不敵に笑った。
「エルヴィン様に相応しくないのであれば、
いつでも代わって差し上げてもよろしくてよ」
「あ〜ぁ」
リリアナは大きくため息をつく。
「私は卒業までに優良株を見つけないとな〜」
「公爵家や王家なんて玉の輿はありえないんだから、とっとと切り替えないとね〜」
学院卒業後、女性が進学や就職をすることはほとんどない。
学生の間に結婚相手を見つけるのが普通だからだ。
「そういえば」
マリエッタが思い出したように言う。
「翠風のサロンで婚約相談会があるとか。
もう夏ですし、最高学年の方とお知り合いになるチャンスだそうですわ」
学院では属性ごとに、縦割りの会が定期的に開かれている。
試験の過去問のやり取り。
婚約相談。
就職の推薦まで。
様々な情報が集まる場所だ。
「もう、風属性の人はコリゴリなの〜」
リリアナは肩をすくめた。
「なんていうか、女タラシが多いのよね」
少し考えてから言う。
「次は土属性にしようかしら」
そして、にやりと笑う。
「でも、火属性の人と燃えるような恋も素敵よね〜!」
「えぇ、そうですわね」
マリエッタはそう頷きながらも、
窓の外の翠を静かに見つめていた。
風が、枝を揺らす。
女子会は——まだまだ続く。




