三日目~準備~
ジランの手に集まった霧が日本刀の形になっていく。影も同じく、黒い霧が集まり、ジランと同じものになる。
剣の片面だけ刃がついており、切先が少し曲がっている。剣は素朴な見た目で、装飾は特にされていない。
《では、始めよ。》
低い声が辺りに響く。
影が前に剣を両手で構える。ジランも同じように構える。二人はそのまま動かなくなる。少しの時間が経ってから
ジランが前に踏み込み、剣を横にし、影に斬りかかる。影は剣を縦にして受け止め、ジランの腹部を蹴る。
ジランは吹っ飛ぶ。が空中で受け身
をとり、体勢を立て直す。
サナは黙って戦闘を見ている。
声をあげると集中を乱す可能性が
あるからだ。
「ぐ...」
腹部が痛み、呻き声をもらす。
影はジランとの距離を縮めようと、
剣を両手で持ったまま横にえ、突っ込んでくる。そしてジランから見て、左前の位置から斬りかかる。
ジランは横振りの剣を食らう前に
後ろに下がり、剣を振りきった影
に向かって縦に斬りかかる。
影は剣を離し、ジランから離れるように上に飛んでかわす。
剣は後ろに飛んでいく。
影は着地し、そのまま後方に下がり、剣をとる。
ジランは影が飛んだ後、すぐに駆け出し、影が剣をとったと同時に
頭に斬り下ろす。
影はそれを剣で防ぐ。
キィンと剣がぶつかる。ジランは
すぐに後ろに下がる。
ジランの呼吸が少しずつ荒くなる。
「ふぅ。」
ジランは短く息を吐く。
影が立ちあがる。
ジランが影に向かって走り出す。
影が構える。
ジランが斬りかかり、影もそれに
あわせて斬りかかる。
キィンと金属音が辺りになり響く。
そこから、斬っては防ぎ、防ぎは
斬る。
数十回そんなことをくりかえし、
剣がぶつかり、ぎりぎりと音がなり、影とジランがガキィンという
音と同時に離れる。
「はぁ...はぁ...」
ジランが息を切らす。
影は動かない。
ジランには限界が近づいていた。
おそらく次が最後だろう。
影が動き出し、それにあわせてジランも動く。
二人は互いを斬り、そのまま通り過ぎる。
少し距離を開け、止まる。
少しの間が開く。
そして、ジランが膝をつく。
「ジラン!」
サナが叫ぶ。
ジランは影に目をやる。
影は倒れず、そのまま立っていた。
手に持っていた剣が黒い霧となって
消える。
ー終わり...か。
ジランはそう呟くと倒れる。手に持っていた剣が霧になって消える。
《青年よ。またここにくるがいい。呪いは解いておいてやる。》
影が霧となって消えた。
声を聞いた後、ジランは意識を手ばなした。
「ジラン!」
サナがジランに駆け寄る。
俯せに倒れているジランの体を
回転させ、顔が空をむくようにする。
体は深く斬られ、服が赤くなっていた。
サナはそれを見て涙目になる。
「う...すぐに治してあげるから。」
サナの声は震えている。
ジランの横に正座し、胸に手を当て、ヒールをし始める。その手は震えている。
「....」
サナは手が震えながら、ヒールを
使い続ける。今にも泣き出しそうだ。十分たったとき、ジランが目
を覚ます。
「...サナ?」
ジランが体を起こす。サナが手を
どける。
「ジラン!?ダメだようごいちゃ!まだ傷ぜんぜん治ってないのに!」
サナはジランが目を覚ましたことは
うれしかったが、怪我がぜんぜん
治っていないのに起き上がったので
すぐに心配になる。
「ヒールしてくれてたのか。ありがとな。あとは自分でやるから。」
と言いジランは自身に緑の光をかけ
はじめる。斬られた服が直り、
赤い服がもとの色にもどっていく。
「...体の怪我は治ってないよね?」
「このヒールは付着した血の量が多いほど回復するんだ。ブラットヒールっていう名前らしい。服はべつのヒールで直した。見た目でごまかしたわけじゃない。」
「でも、完全には回復してないよね?」
「傷口がふさがったからいいんだよ。あとは宿屋に帰ってからやるさ。」
ジランは立ち上がる。
「いくぞ。リーナ達が待ってるかも知れないからな。」
そして歩き出す。
「うん」
サナも立ち上がってついてくる。
「あ!ジラン!どこ行ってたの?」
さっきの場所に戻ると、すでに
リーナ達が戻って来ていた。
「適当に散歩してた。妖精は無事に捕まえたようだな。」
ジランがリーナにリュックを受けとる。
「これで五万ゼンくれるの?」
「今やるよ。」
ジランはリュックから小包を取り出し、その小包から紙幣を五枚取り出す。
「うわ〜。これが一万ゼン札か〜。
」
リーナは一枚の紙幣を両手で持って
眺める。
ジランは小包をリュックにしまう。
「帰るぞ。」
そういってジランは歩き出す。
PM12:30 所持金10000
「そろそろこの町から出るか。」
報酬金を受け取り、昼食をとり宿屋に帰る途中にジランが口を開く。
「どうしたの?急に。」
後ろを歩くリーナが言う。
「もっと広い発展してる町あるから。そっちのほうがいろいろと都合がいいだろ?」
少し考えてからリーナが言う
「うん。そうかもね。」
「お前らもそれでいいな?」
「うん!もともと外のいろんなとこ見たかったんだし!」
リオンが急にはしゃぎだす。
「私も。」
サナは少しうれしそうに、小さく言う。
「よし。じゃあ明日の朝出発な。
今日はもう一つ依頼こなしてからだな。いいのがあればいいが。金ももうないし、二組に別れて受けようか。」
「お金ないんなら貯めてから出ようよ。焦る必要もないし。」
リーナはジランの提案に賛成はしない。自分のを渡そうとも思わない。
「なんとなく。いざとなったらお前の金借りるよ。」
「えー。」
嫌そうにリーナが言う。
「しょうがないだろ。宿屋に帰ったらいつでてもいいから。十時までに帰ってこれば。」
「...明日出るのを止めればいいんじゃ」
「どういうふうに組む?俺は一人
でもいいが。一番いい組み合わせはさっきのだな。」
「なんで?」
「力。」
さっきのとは森の時の組み合わせだ。リーナは意見を無視されたので、もう明日のことは諦めた。ジランは理由の単語だけ言う。
リーナは力を隠そうとしたい
ため、その組み合わせを承諾する。
子供達も特に不満は無さそうだ。
そうこう言ってるうちに宿屋に着く。
「とりあえず、準備するぞ。」
ジラン達は部屋に入る。
「ふぅ。」
部屋の椅子に座り、リュックを横に置き、一息つく。
サナが横にちょこんと座り、ジランのほうを向く。
「怪我、治すよ。」
両手を前に出し、緑の光を灯す。
「大丈夫だ。自分で治すから。」
ジランはサナが疲れてしまったら
困るので、自分で治そうと思っている。
「でも、私、なにもできてない...」
「ヒール使ってくれたろ?それだけで十分だ。傷を治したらすぐに出るから十分に休憩しとけよ。」
ジランはそういうと、椅子にもたれて目を瞑る。
「怪我なおさないの?」
その様子を見て、寝たくなりながらも、ジランに聞く。
「寝りゃ治るさ。お前も寝とけ。」
ジランは目を瞑ったまま答える。
サナはもう耐えられなくなり、
畳にコロンと寝転がり、すやすやと
眠った。
ジランは三十分ほどすると、目を開け、なにも持たずに部屋から出ていった。
これからテストなので、しばらく更新できません。みてくれている人がいたなら
すみません。




