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06:00(皇居 天帝の私室)
知仁は動かなかった。
是清も動かなかった。
須知が定期的に部屋を出て、また戻ってくる。その度に短い言葉を耳元で告げる。
「岡田邸、完了」
知仁は頷かなかった。ただ聞いた。
少し経って、また須知が戻る。
「牧野別邸、完了」
是清が静かに茶を一口飲んだ。
また須知が戻る。
「斎藤邸……」
須知が一瞬だけ間を置いた。
「犠牲が出ております」
知仁は目を閉じた。
しばらく、誰も何も言わなかった。
知仁が目を開いた時、表情は変わっていなかった。
「そうか」
それだけだった。
是清はその横顔を見た。
長年、多くの政治家を見てきた。
しかしこれほど静かに重いものを背負う者を、是清は知らなかった。
(俺はこれまで天帝の何を見てきたんだ。これほど有能な部下を言葉無しに・・・神はこれほどの才を天帝にお与えになったのか・・・でも重い)




