ハンナ・逆レンドリース工作(1940年)
「日本の天帝に会ってみてくれ。どんな国か、肌で感じてきてほしい」
「私がパイロットをして外交使節ですか」「君だから頼む」
「わかりました」
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ハンナの機がボンベイに降りた。出迎えた連絡員が言った。
「日本の軍艦が来たときの話はまだ残っています。甲板を開放した、と。子供たちが砲身を触った」
ハンナは港を眺めた。「日本人はうまくやるわね」
「現地の有力者への挨拶も済んでいます。空路の中継地として使わせてほしい、という打診は受け入れてもらいやすい状況です」
「先に道を作っておいてくれたわけね」
意図したわけではないだろう、とハンナは思った。しかしそうなっている。
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1940年。フランスへの情報提供が効いていた。ドイツは何とか対仏戦を自重した。
しかしイギリスも自国防衛に疲弊し始めていた。みほが分析書を持ってきた。
「イギリスの財政状況です。このままでは二年以内に限界が来ます」
「今だ。逆レンドリースの提案を、非公式に届ける」
「誰に届けますか」
「チャンバレンに直接届く経路を作れ。ただし日本が出所だとわかってはいけない。ロンドンのユダヤ系金融家経由で」
「チャンバレンは受け取りますか」
「受け取る。チャンバレンは何よりもイギリスを愛してる小心者だ。生き残るためなら、どんな選択でもする」
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艦隊が帰国した後、竹中は商社の幹部たちを集めた。
「航路が開いた。使え。人の往来が増えれば情報が自然に流れる。航路は血管だ。血管があれば、物も人も情報も自然に流れる。戦争をしなくても、存在できる。昔のシルクロードも同じだ」




