奇妙な戦争・日英の危機(1939年秋)
九月、ドイツがポーランドに侵攻した。イギリスとフランスが宣戦布告した。しかし戦闘は起きなかった。双方が国境線で睨み合ったまま、動かなかった。
世界が「奇妙な戦争」と呼び始めた。
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SSS司令部で、竹中は地図を広げていた。
「フランスへの情報提供は準備できているか」
「ドイツの侵攻計画書を三つのルートに分けて流します。『ドイツ内部からのリーク』に見せかけて」
「ドイツには伝えろ。英・独の戦端は同盟に修復不可能な疵を残す。フランスも備えている。備えたフランスには電撃戦が通じない。戦争が長引く、レーベンスラウムは遠のく、とな。独仏英戦になれば、アメリカも動く。日本もシベリアに兵を張り付けておかなくなる」
「ここが一番の勝負だ。もし独仏英戦が起きれば、日本は危機だ。全員知恵を振り絞って考えてくれ」
「独仏英戦になれば、日本は負けると?」
「直ぐには負けないが、ジリ貧になっていく。アメリカが何癖をつけてくる。海軍が黙っていると思うか?イギリスが鍵だ」
「どっちにしてもイギリスは出口を探し始める」
「日本が、その出口になる」
「そうだ」
―――
「海軍はどう動かしますか」と竹田。
「地中海の東まで行かせる。現代版『Great White Fleet』だ。あくまでも親善ということを全世界にアピールして回るんだ。ドイツは『日本は海軍も動かせる』と知る。イギリスは『組む価値がある』と感じる。アメリカは焦る。一度の航海で三つのメッセージを送る。最小コストで最大の効果だ」
第一部のシェープアップ版は以下で公開中
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