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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第11章 TOTO
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ポテンシャルという概念(1920年晩秋)

第一部のシェープアップ版は以下で公開中

https://x.gd/akizukitikuma00


 それから九年が過ぎた。一九二〇年、晩秋。


 突然、トトが言った。


「統治とは何だと思う?」


「統治とは、ある集団の持つポテンシャルの方向を決めることよ。感情や欲望が積み重なったもの、と思って。人という種は、それを異常なまでに溜め込める。溜め込んだものは、いつか、どこかへ流れ出る」


「戦争とは、そのポテンシャルを、二つ以上の集団が武器で一気に発散させる行為。一時的には軽くなる。でも、結果としては、むしろ増える」


「増える……」


「憎しみも、恐怖も、また積み重なるから。統治者の役目は、それを、暴発させずに、ゆっくり逃がしていくこと」


「僕には、それができるのか」


「わからない。でも、一つだけ言えることがある」


 トトの声が、少しだけ、いつもより真剣に聞こえた。


「知識は、最も軽い武器であるが、最も冷厳な武器でもある。戦車も、銃も持てないあなたが、唯一持てる、一番強い力。これだけは、覚えておいて」


 知仁は、その言葉を、何度も心の中で繰り返した。


 すぐには、飲み込めなかった。


 それでも、いつか分かる日が来る、という予感だけはあった。

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