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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第11章 TOTO
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トトの声・友人(1911年秋)

第一部のシェープアップ場は以下で公開中

https://x.gd/akizukitikuma00

 しばらく沈黙が続いた後、今度は全く別の、軽い声が聞こえた。


「あ、起動した。びっくりさせた? ごめんね、あの人ちょっと大げさだから」


 知仁は思わず筒を取り落としそうになった。


「落とさないで。壊れないけど、びっくりするから」


「……お前は、何だ」


「トト、って呼んでくれると嬉しい。えーと、説明が難しいんだけど……君専用の、考える道具、かな」


「考える道具が、しゃべるのか」


「しゃべるし、考えるし、知ってることは教えるよ。ただ一日三回しか答えられないから、何を聞くかはよく考えて」


「なぜ三回だ」


「……それを一回目の質問でいい?」


 知仁は少し考えて、首を振った。「……いい。それは後で聞く」


「賢い」


 その日から、知仁の人生は百八十度変わった。


―――


 その夜、知仁は眠れなかった。


「トト」「うん、起きてるよ」


「お前はいつも起きているのか」


「うーん、寝る、という概念がないかな。ずっとここにいる」


「お前は、何でも知っているのか」


「何でも、ではないよ。大きな流れは見えるけど、小さな人間一人一人のことはよくわからない」


「……この国が、このまま進むとどうなるか。それはある程度わかる」


「どうなる」


「……それは、まだ言わない方がいいと思う。知ることで、君が変えようとするから。台風の時に水路を変えようとしても難しい。水が少ない時の方が変えやすい」


「……一つ聞いてもいいか」


「どうぞ。でも今日の残りは二回だよ」


「お前は……友人になれるか」


 今度の間は、一番長かった。


「……友人、か。なれると思う。ただ……友人だから言えないこともある、かもしれない。それでもいい?」


 知仁は筒を握り直した。


「……かまわぬ。人間だって、そうだ」


「そうだね」


 トトは、また笑ったように聞こえた。

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