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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第11章 TOTO
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間奏・TOTOとの出会い(1911年秋)

第一部のシェープアップ場は以下で公開中

https://x.gd/akizukitikuma00

 竹中たちが「動かないことの力」を実践できるようになるまでには、長い時間があった。


 だが、その原点は、竹中にすら明かされることのない、一人の少年と、一つの声の、遠い記憶の中にあった。


―――


 思えば、あの日からだった。


 一九一一年、秋。知仁は十歳だった。


 御物庫の奥は薄暗く、古い漆塗りの箱が幾重にも積まれていた。侍従の目を盗んで忍び込んだのは、ただの悪戯心だけでなく、引き寄せられる不思議な感覚からだった。


 その隅に、場違いなほど小さな、万年筆に似た細長い筒が落ちていた。


 拾い上げた瞬間だった。


 声が聞こえた。


 古語だった。文語だった。それでも不思議と意味が解った。


「汝、これを手にした者よ。国が滅びかけた時に備えよ」


 知仁は固まった。


 筒は温かくも冷たくもなく、ただそこにあった。真鍮のようでありながら、地球上のどんな金属とも違う、光を吸い込むような奇妙な黒い筒だった。


 よく見ると、筒の表面に、ごく小さな文字が刻まれていた。


 《斗斗 Θωθ》


 漢字とも、見慣れぬ異国の文字ともつかぬ、その二つの並びが、なぜか同じものを指しているように、知仁には思えた。

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