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間奏・TOTOとの出会い(1911年秋)
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竹中たちが「動かないことの力」を実践できるようになるまでには、長い時間があった。
だが、その原点は、竹中にすら明かされることのない、一人の少年と、一つの声の、遠い記憶の中にあった。
―――
思えば、あの日からだった。
一九一一年、秋。知仁は十歳だった。
御物庫の奥は薄暗く、古い漆塗りの箱が幾重にも積まれていた。侍従の目を盗んで忍び込んだのは、ただの悪戯心だけでなく、引き寄せられる不思議な感覚からだった。
その隅に、場違いなほど小さな、万年筆に似た細長い筒が落ちていた。
拾い上げた瞬間だった。
声が聞こえた。
古語だった。文語だった。それでも不思議と意味が解った。
「汝、これを手にした者よ。国が滅びかけた時に備えよ」
知仁は固まった。
筒は温かくも冷たくもなく、ただそこにあった。真鍮のようでありながら、地球上のどんな金属とも違う、光を吸い込むような奇妙な黒い筒だった。
よく見ると、筒の表面に、ごく小さな文字が刻まれていた。
《斗斗 Θωθ》
漢字とも、見慣れぬ異国の文字ともつかぬ、その二つの並びが、なぜか同じものを指しているように、知仁には思えた。




