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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第一部 兆し
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6/75

05:15

竹田は皇居を出た。


 雪はまだ舞っていた。空が白み始めていたが、街はまだ暗かった。


 足音を殺して路地を進む。完全武装の兵が動いている気配がそこかしこにある。近づかない。目的地は決まっている。


 事前に決めてあった合流地点は、皇居から二十分ほどの小さな料亭の裏手だった。


 竹田が角を曲がると、暗がりの中に人影があった。


 軍服。背筋が真っ直ぐだが、どこか周囲に溶け込んでいる。


 竹中だった。


 二人は無言で並んだ。しばらくそのまま、周囲の気配を確かめた。


 竹中が先に口を開いた。


「遅い」


「須知が茶を淹れていた」


 竹中は何も言わなかった。


 竹田はそれが笑いをこらえているのだと、長年の勘で分かった。


「状況は」


「概ね読み通りだ。ただ……」


 竹中はわずかに間を置いた。


「鈴木侍従長が」


「聞いた」

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