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竹田は皇居を出た。
雪はまだ舞っていた。空が白み始めていたが、街はまだ暗かった。
足音を殺して路地を進む。完全武装の兵が動いている気配がそこかしこにある。近づかない。目的地は決まっている。
事前に決めてあった合流地点は、皇居から二十分ほどの小さな料亭の裏手だった。
竹田が角を曲がると、暗がりの中に人影があった。
軍服。背筋が真っ直ぐだが、どこか周囲に溶け込んでいる。
竹中だった。
二人は無言で並んだ。しばらくそのまま、周囲の気配を確かめた。
竹中が先に口を開いた。
「遅い」
「須知が茶を淹れていた」
竹中は何も言わなかった。
竹田はそれが笑いをこらえているのだと、長年の勘で分かった。
「状況は」
「概ね読み通りだ。ただ……」
竹中はわずかに間を置いた。
「鈴木侍従長が」
「聞いた」




