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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第10章 宴会と戦場
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九二式の傍で・合流(1939年3月)

第一部完了版は以下で公開中

https://x.gd/akizukitikuma00

 飛行場の端、草むらの中に九二式偵察機が隠してあった。


 竹田がその機体に座って、ハンドマイクを握っている。スピーカーから麻子の声が聞こえた。


「……待つ方が辛いです」


「そうだな」


「みほさん、大丈夫でしょうか」


「あいつは大丈夫だ」


「なんでそう言い切れるんですか」


「飲み屋でクダ巻いてた女が、CQB(近接戦闘術)の教官からアルバイトで習ったと言った時から、わかってた」


「……竹田少佐、最初からわかってたんですか」


「大虎だと思ってた」


「でも猫って言ったじゃないですか」


「猫の振りをしてる大虎だ」


 麻子の溜め息がノイズの間から聞こえた。


―――


 皇居。知仁は私室でトトと話していた。


「みほは」


(書類のずれを見つけた。次回以降の証拠収集の方針も決めた)


「竹田と麻子は」


(飛行機と臨時司令部の間で愚痴っている)


「まあ贅沢な愚痴だな。内容は」


(みほが心配だとか、毎回待つ方が辛いとか)


 知仁は笑って聞いた。


「それは黙っておいてくれ。本人達のためだ」


―――


 車が集合地に着いた。竹田と麻子が待っていた。


「大丈夫でしたか」


「大丈夫です。書類のずれを三箇所確認しました」


「次回と次々回で完成します」


「三番と七番が怪しい」と竹中。


「証拠は」


「三回で取る」


 みほが竹田に言った。


「竹田少佐、心配してくれてたんですか」


「してない」


「顔に出てますよ」


「心理分析するな」


(俺はどうして女運が悪いんだろう。猫を被った大虎と、バトルジャンキーの女だけだ)


 みほはわずかに笑った。麻子が内心思った。


(犬が笑った。珍しい)



 その夜、竹中が言った。


「次は一ヶ月後だ。同じ方法で入る。麻子、次回の分析項目を整理してくれ」


「はい」

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