九二式の傍で・合流(1939年3月)
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飛行場の端、草むらの中に九二式偵察機が隠してあった。
竹田がその機体に座って、ハンドマイクを握っている。スピーカーから麻子の声が聞こえた。
「……待つ方が辛いです」
「そうだな」
「みほさん、大丈夫でしょうか」
「あいつは大丈夫だ」
「なんでそう言い切れるんですか」
「飲み屋でクダ巻いてた女が、CQB(近接戦闘術)の教官からアルバイトで習ったと言った時から、わかってた」
「……竹田少佐、最初からわかってたんですか」
「大虎だと思ってた」
「でも猫って言ったじゃないですか」
「猫の振りをしてる大虎だ」
麻子の溜め息がノイズの間から聞こえた。
―――
皇居。知仁は私室でトトと話していた。
「みほは」
(書類のずれを見つけた。次回以降の証拠収集の方針も決めた)
「竹田と麻子は」
(飛行機と臨時司令部の間で愚痴っている)
「まあ贅沢な愚痴だな。内容は」
(みほが心配だとか、毎回待つ方が辛いとか)
知仁は笑って聞いた。
「それは黙っておいてくれ。本人達のためだ」
―――
車が集合地に着いた。竹田と麻子が待っていた。
「大丈夫でしたか」
「大丈夫です。書類のずれを三箇所確認しました」
「次回と次々回で完成します」
「三番と七番が怪しい」と竹中。
「証拠は」
「三回で取る」
みほが竹田に言った。
「竹田少佐、心配してくれてたんですか」
「してない」
「顔に出てますよ」
「心理分析するな」
(俺はどうして女運が悪いんだろう。猫を被った大虎と、バトルジャンキーの女だけだ)
みほはわずかに笑った。麻子が内心思った。
(犬が笑った。珍しい)
その夜、竹中が言った。
「次は一ヶ月後だ。同じ方法で入る。麻子、次回の分析項目を整理してくれ」
「はい」
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